2019-01-01から1年間の記事一覧

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(12)

前回までのブログで、近代以降の子育てにおいて生じる、子どもへの影響について検討してきました。 今回のブログからは、親の側の問題、すなわち子育てにおいて親がなぜわが子を虐待し、さらには殺害にまで至ってしまうのかを探りたいと思います。 育児は文…

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(11)

前回のブログでは、ウィニコットの提唱した移行対象の意味について検討してきました。 これはウィニコット自身が描いた、移行対象が現れることを説明したシェーマです。今回のブログでは、移行対象がどのように発展して行くかについて、このシェーマをもとに…

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(10)

前回のブログでは、ウィニコットが提唱した移行対象という概念について説明しました。移行対象は、赤ちゃんが一人ぼっちのときに感じる死の不安と恐怖から逃れるための、お母さんの代替物です。つまり赤ちゃんがお母さんを感じられる、お母さんの代わりにな…

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(9)

前回までのブログで、ウィニコットの母子関係論のうち、動物の子育てにも共通する母子関係の概念につて述べてきました。 今回のブログでは、人間に特有の母子関係と、そこから生じる子どもの精神世界について検討したいと思います。 人間は未熟な状態で生ま…

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(8)

前回のブログでは、一般女性の身の丈に合った母性のモデルとして、ウィニコットのほど良い母親という概念を取り上げました。 今回のブログでは、ほど良い母親の持つ母性的機能について、動物の子育てと比較しながら検討したいと思います。 環境としての母親 …

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(7)

前回までのブログで、ヨーロッパにおいて、近代化によって母性文化が消退した経過をみてきました。その結果として、母親が育児に関心を示さなくなり、多くの子どもが里子に出され、満足な育児を受けられずに放置されていたことを指摘しました。そして、母性…

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(6)

宗教改革以降、母性神話を支えていた聖母マリア信仰が消退し、それに伴って西洋社会から母性文化が失われて行きました。母性文化が失われた西洋社会では、母親が育児に無関心になり、多くの子どもが里子に出されたり満足な育児を受けられずに放置されました…

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(5)

前回のブログでは、18世紀のヨーロッパでは、母性文化が消退して母親が子育てに無関心になり、多くの子どもが里子に出されていたことを指摘しました。そして育児放棄が公然と行われ、乳幼児の死亡率が非常に高かったことも取り上げました。 そこで18世紀後半…

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(4)

前回のブログでは、近代化によって、ヨーロッパの女性及び母性文化が大きな打撃を被った過程を概観してきました。 今回のブログでは、母性文化の消退が、子育てに及ぼした影響について検討したいと思います。 子育ての放棄 近代の幕開けと共に、ヨーロッパ社…

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(3)

前回のブログでは、人間の子育てでは、親子が離れ、子が仰向けで安定していられることが特徴であるという松沢哲郎氏の説を紹介しました。 親子が離れることによって、赤ちゃんは泣いたり笑ったして親に自分の状態を伝える必要が生じ、それが後に言葉によるコ…

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(2)

前回のブログでは、子を虐待すのは人間だけであることを指摘し、加えて哺乳類の子育ての進化についても検討しました。 今回のブログでは、哺乳類と比較した、人間の子育てについて検討したいと思います。 哺乳類としての人間の子育て 前回のブログで、松沢敏…

人はなぜわが子を虐待し、殺してしまうのか(1)

今年の1月24日、千葉県・野田市で小学4年生の栗原心愛(くりはら みあ)さん(10)が、父親の栗原勇一郎容疑者(41)から、冷水のシャワーをかけられるなどの虐待を受けて死亡しました。事件の直前には、心愛さんの危機を知らせるシグナルが出ていたにもかか…

沖縄は琉球特別自治区になってしまうのか(8)

前回のブログでは、沖縄の米軍基地問題に関する、我那覇真子さんと橋下徹氏の論争について紹介しました。そして、突如沖縄について語りだした橋下氏の狙いについても検討しました。 今回のブログでは、沖縄と日本を守るために奮闘を続ける我那覇さんの最近の…

沖縄は琉球特別自治区になってしまうのか(7)

前回のブログでは、沖縄にも普天間基地の辺野古移設に賛成し、国防を真剣に考え、さらには日本と日本文化を守ろうと考える人々がいることを紹介しました。彼らは自らを、沖縄における真正保守と位置づけています。そして、その活動を沖縄だけでなく本土に向…

沖縄は琉球特別自治区になってしまうのか(6)

辺野古埋め立ての賛否を問う沖縄の県民投票が終わった後も、事態は刻々と動いています。2月28日の沖縄県議会の一般質問で、日本国際貿易促進協会が主催する4月の訪中団に参加するのか問われた玉城デニー知事は、「中国政府の要人と直接、意見交換ができる貴…

沖縄は琉球特別自治区になってしまうのか(5)

2月24日に沖縄で県民投票が行われ、「辺野古の埋め立てに反対する」という沖縄県民の意志が示されました。この県民投票はどのような意味を持ち、そして沖縄の今後の行く末にいかなる影響を与えるのでしょうか。 今回のブログでは、今回行われた県民投票から…

沖縄は琉球特別自治区になってしまうのか(4)

前回までのブログで、沖縄の米軍基地で反対運動をする市民運動家たちは、自己主張のために全国から集まり、それを自己実現のために利用していることを指摘しました。そして彼らは、ひたすら自尊心を追求しているために、自尊心をくすぐられると簡単に相手の…

沖縄は琉球特別自治区になってしまうのか(3)

前回のブログでは、沖縄での市民運動は、「米軍基地反対」「日米安保反対」といった自らの思想を主張することが目的であること、さらに同じ考えを持つ市民運動家が集まって国家や米軍に立ち向かうという構図には、社会を改革しようというヒロイズム的要素が…

沖縄は琉球特別自治区になってしまうのか(2)

前回のブログでは、基地移設反対運動を繰り広げている人々は、何を目指して移設反対を訴えているのかを検討しました。まず挙げられるのが沖縄の自然を守ることですが、自然破壊は何も基地建設に限ったことではないため、主な理由とは考えられませんでした。 …

沖縄は琉球特別自治区になってしまうのか(1)

去る1月25日に、普天間基地の辺野古移設への賛否を問う県民投票が、全41市町村で実施される見通しになったと報道されました。移設に賛成、反対の2択しかなことに宜野湾市などの5市が反発していたのですが、「どちらでもない」を加えた3択に修正されたため…

韓国はなぜ繰り返し賠償を求めてくるのか(12)

前回のブログで、日本が後ろめたさを感じる対象とは、自らのアイデンティティーを立て直すために朝鮮を併合し、そのことによって朝鮮の人々の自尊心を奪ったことなのだと指摘しました。 日本はこの後ろめたさのために、併合時代に朝鮮の教育を充実させ、イン…

韓国はなぜ繰り返し賠償を求めてくるのか(11)

前回のブログでは、今後さらに悪化するであろう日韓関係について、その原因と対処法について考えてきました。 今回のブログでも、その続きを検討してみたいと思います。 謝罪されれば満足するのか 前回のブログで、母親を非難し続け、自らの人生を嘆く女性の…

韓国はなぜ繰り返し賠償を求めてくるのか(10)

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、支持率の低下を受けて、いよいよ反日の姿勢を顕わにしてきました。文政権のもと、今後の日韓関係はどうなっていくのでしょうか。そして、反日の姿勢をとり続ける韓国に対して、日本はどのように対応したらいいのでしょう…

韓国はなぜ繰り返し賠償を求めてくるのか(9)

前回のブログでは、現在日韓の間で起こっている、いわゆる徴用工問題、従軍慰安婦問題、そして韓国海軍による自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射事件について検討しました。これらの問題は、現在の韓国社会では内的自己が前面に出ているために、現実検討…

韓国はなぜ繰り返し賠償を求めてくるのか(8)

この一連のブログを書いている間にも、また日韓で新たな問題が起こりました。それは、韓国海軍が起こした、自衛隊機への火器管制レーダー照射事件です。この明らかな問題行為に抗議した日本に対して、なんと韓国外務省は日本に謝罪を要求するという事態に発…

2019年もよろしくお願いします

明けましておめでとうございます。🎍 昨年はフクロウの精神分析を読んでいただき、誠にありがとうございました。おかげさまで、このブログも丸一年間続けることができました。 昨年一年間で投稿したブログは、120本になりました。1本がだいたい原稿用紙1…