2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

天皇はなぜ現人神になったのか(2)

明治維新以降、天皇の権威は徐々に高められました。そして、太平洋戦争において、ついに天皇の権威は神の領域まで達することになりました。 なぜ、天皇の権威は、この時期に究極の領域まで高められることになったのでしょうか。 一神教の戦争 太平洋戦争時に…

天皇はなぜ現人神になったのか(1)

天皇は、日本という国を一つにまとめるために不可欠な存在として、建国当初から連綿と受けつかれてきました。しかし、武家が実権を握ってからは事実上は権力を失い、権威のみを有する象徴的な存在となっていました。 明治の時代になると、天皇は権威に権力を…

日本はなぜ近代化を達成できたのか(3)

これまでのブログで検討してきたように、日本は擬似古代国家として再出発したのですが、明治の日本には、ここでさらに新たな要因が加えられることになりました。その要因とは、欧米と同様の社会制度と行動様式でした。 今回のブログでは、この要因が加えられ…

日本はなぜ近代化を達成できたのか(2)

近代化を目指した明治政府は、欧米諸国に倣った中央集権国家を創り上げました。しかし、その実態は、日本国の創成期に出現したものと同様の、天皇を中心とする中央集権国家でした。 ではなぜ、日本社会において、国家の創世期に起こった出来事が理想視され、…

日本はなぜ近代化を達成できたのか(1)

近代化を達成した欧米諸国が世界の植民地化を競っていたころ、日本は他国との繋がりを断ってまだ太平の眠りについていました。世界の喧噪から身を置き、250年も続いた平和な時代を満喫していました。しかし、欧米諸国の世界進出への波は、ついに遠く離れた極…

江戸時代の子育てはどこが優れているのか(2)

江戸時代の子育ての際立った特徴は、体罰をしないのはもちろんのこと、親が子どもを服従させることも、自分の意に添った教育を押しつけることもないことでした。そして、ただただ温かさと平和で包み込みながら、性格の悪いところは抑え、あらゆる良いところ…

江戸時代の子育てはどこが優れているのか(1)

前回までのブログで、江戸時代に平和な世が保たれた理由を様々な側面から捉えてきました。ところで、平和を考えるうえで忘れてはならない、隠れた要因があります。それが、その社会で行われている子育てです。 三つ子の魂百までと言われるように、幼少のころ…

江戸時代にはなぜ戦いのない世が実現したのか(3)

パックス・トクガワーナ(徳川の平和)が実現した要因として、これまでに江戸時代の人々の気質の変化と、社会の均質化という側面を概観してきました。 今回は、平和な社会が実現するために、江戸時代にどのような経済が営まれていたのかについて検討を行いた…

江戸時代にはなぜ戦いのない世が実現したのか(2)

前回のブログでは、五代将軍綱吉の治世の前後で「世の中のことはすべて武力で解決すればいい」という常識から、「すべて物事はおだやかに法と道徳にのっとって解決すべきだ」という常識へと大転換が起こったことを検討しました。それは戦いのない世の中をつ…

江戸時代にはなぜ戦いのない世が実現したのか(1)

近代化が始まるまで、日本では江戸幕府によって、265年もの間安定した社会が維持されてきました。特に、島原の乱(1637~38年)が鎮圧されてから大塩の乱(1837年)が起こるまでの200年間は、まさに戦争のない平和な社会が実現されました。 これは、世界史を…

なぜ善人よりも悪人の方が救われるのか(3)

前回のブログでは、親鸞が悪人正機説や絶対他力の思想を構築する過程で、聖徳太子が重要な影響を与えたことを述べてきました。 今回のブログではさらに、親鸞の思想の背後に、和の文化がどのような影響を与えているのかについて検討したいと思います。 悪人…

なぜ善人よりも悪人の方が救われるのか(2)

前回のブログでは、善人でも往生できるのだから、当然悪人は往生できるとする悪人正機説について概観しました。そして、善人とは自分の悪に気付いていない人であり、悪人とは自分の悪に気付いている人であるという親鸞の人間観についても検討しました。 今回…

なぜ善人よりも悪人の方が救われるのか(1)

これまでのブログでは、日本仏教が独自の変化を遂げ、戒律の意義が失われていった経過をみてきました。その結果、僧が肉食妻帯や飲酒を公然と行うことになったことを検討しました。 肉食妻帯を最初に公にした親鸞は、さらに独自の境地に達します。それが有名…

日本仏教ではなぜ肉食妻帯が許されるのか(2)

前回のブログでは、日本仏教から戒律が失われていく過程を概観してきました。そして法然によってついに、南無阿弥陀仏と唱えるだけで極楽浄土に生まれ変わることができるという、専修念仏の思想が誕生するに至りました。この思想は、親鸞によってさらに深化…

日本仏教ではなぜ肉食妻帯が許されるのか(1)

日本のお坊さんは普通に結婚して食事では肉を食べ、そしてお酒も飲みますが、これは仏教徒として当たり前のことではありません。肉食妻帯や飲酒は日本仏教だけにみられる特殊な現象であり、海外の仏教徒、特に修行僧では決して認められることではありません…

日本人は無宗教なのか(2)

前回のブログでは、一見無宗教にみえる日本人は、和の文化の規範に従って生活していることを検討しました。そして、その規範の根底には、対人恐怖が存在することを指摘しました。 今回のブログでは、この規範によって、日本人の集団がどのような行動をとるの…

日本人は無宗教なのか(1)

日本人は無宗教だと言われます。あなたの宗教は何ですかと尋ねられた時に、信じている宗教は特にありませんと答える人が多いでしょう。日本人はこれを当たり前のことととらえていますが、無宗教と答えると、外国の人からはきちんとした考えを持たない、倫理…