2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

聖徳太子は実在したのか(3)

前回のブログでは、聖徳太子が怨霊になったという梅原猛の説に対して検討を加えました。大儀のない死で、しかも冤罪によって死に追いやられた人物、そして生前に他者に強い対人恐怖を抱かせるほどの力を持った人物が怨霊になるという観点から検討したところ…

聖徳太子は実在したのか(2)

前回のブログでは、聖徳太子は実在しなかったという史料による指摘に対して、宗教的な側面から反論を行いました。今回のブログでは、さらに聖徳太子怨霊説も加えて検討を進めたいと思います。 聖徳太子怨霊説 一般的に信仰には、尊崇と畏怖の両面が表裏一体…

聖徳太子は実在したのか(1)

大陸に隋や唐といった強大な中央集権国家が誕生し、その圧迫を受けて、日本社会が前方後円墳体制から中央集権的な律令体制に移行する過程で、武力の優劣を基準としない新たな文化が育まれました。それが、現在まで日本社会に連綿と受け継がれている和の文化…

日本の古墳はなぜ巨大化したのか

弥生時代の後期には、各地に大きな墳丘をもつ墓が現れ始めました。さらに3世紀後半になると、前方後円墳を中心としたより規模の大きな古墳が、西日本の各地に出現するようになりました。各地の有力な首長たちがこうした大規模な古墳を営んだ3世紀後半から…

弥生人はなぜ縄文人との棲み分けを選んだのか(2)

大陸や半島の戦いから逃れてきた渡来人は、日本列島で弥生文化を形成しました。彼らは、稲作だけでなく戦いの文化も日本列島にもたらしました。こうして弥生時代には、日本列島各地で本格的な戦いが始まりました。しかし、戦いの文化は、日本では大陸とは異…

弥生人はなぜ縄文人との棲み分けを選んだのか(1)

弥生時代の到来と共に、日本列島には戦争の文化が伝えられました。しかし、そのことによって、日本列島に戦乱の時代が訪れたわけではありませんでした。弥生時代の戦争の文化は、日本列島という特殊な環境や縄文時代に育まれた文化の影響を受け、大陸や半島…

縄文人はなぜ戦争をしなかったのか(3)

前回までのブログで、縄文人の祖先および縄文人は、戦争に対する有用な文化を持っていなかったことを指摘しました。そして、そのことが縄文人の祖先が大陸で駆逐された要因であり、日本列島にたどり着いた縄文人が、戦争とセットになっていた稲作文化を拒絶…

縄文人はなぜ戦争をしなかったのか(2)

前回のブログで、縄文人は、アフリカ人、ヨーロッパ人、アジア人のいずれからも独立した存在として位置づけられ、それは縄文人が、現世人類の中でより古い集団に属する存在であることを意味しました。そして、他の地域で駆逐された縄文人の祖先が日本列島で…

縄文人はなぜ戦争をしなかったのか(1)

これまでのブログでは、欧米文化とその源流の宗教に対して、精神分析による検討を行ってきました。ここからは、いよいよ日本文化について精神分析による検討を行ってみたいと思います。 まず、最初に取り上げるのが縄文文化です。縄文文化は、日本の原点を形…

民主主義はなぜ根付きにくいのか(4)

究極の全能の神を戴くことになったヨーロッパの人々は、原初の人類が原父を殺害したように神の殺害を実行することになります。そして、残った兄弟たちが平等の社会を作ったように、神なき社会で平等な社会を目指す試みが始まったのです。 キリスト教とルサン…

民主主義はなぜ根付きにくいのか(3)

前回までのブログで、フロイトがトーテミズムから紡ぎだした、原父殺害の物語について述べてきました。この物語は、近代のヨーロッパにおいて現実のものとして再現されます。 そして、この物語が再現される過程で、民主主義は誕生するのです。 中世ヨーロッ…

民主主義はなぜ根付きにくいのか(2)

フロイトは、トーテミズムの中にエディプス・コンプレックスを発見しました。では、なぜ未開社会において、エディプス・コンプレックスを孕んだトーテミズムという社会制度が形成されたのでしょうか。 フロイトはここで、大胆な仮説を提唱しています。それが…

民主主義はなぜ根付きにくいのか(1)

人民が主権を持ち、人々の自由と平等を尊重する民主主義は、現代における理想の政治体制であるように思われます。そのため、民主主義を掲げる国家は世界に数多く存在します。しかし、人民が主権を持てなかったり、選挙における選択対象がなかったり、事実上…

資本主義はなぜ世界を席巻しているのか(6)

神が社会の表舞台から退場すると、欧米社会には神の代替者が現れました。資本主義の精神は、神の代替者によってかろうじて支えられました。しかし、神の代替者が社会から失われれると、資本主義の精神は変節せざるを得なくなりました。 文化発展の最後にこう…

資本主義はなぜ世界を席巻しているのか(5)

神が社会の表舞台から退場したことによって、資本主義の精神が失われ、それは世界大恐慌を引き起こす重要な要因になりました。では、大恐慌から抜け出すにためは、どのような対応が必要だったのでしょうか。 ニューディール政策 こうした停滞を打ち破り、南…