2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

人はなぜ死にたくなるのか うつ病の自殺(2)

前回のブログでは、うつ病の精神病理について検討しました。うつ病は、秩序を愛したり他者への配慮を欠かさない人が、良い人でいられなくなるような状況に直面した際に、自分の生き方を維持できなくなって発症します。つまり、うつ病は、自分の生き方を喪失…

人はなぜ死にたくなるのか うつ病の自殺(1)

前回までのブログでは、死の欲動について、幼少期の親子関係に遡って検討しました。そして、死の欲動が生まれて増強される過程を、青年期までの対人関係という側面から分析しました。 今回からのブログでは、壮年期の自殺について検討したいと思います。壮年…

人はなぜ死にたくなるのか 死の欲動(4)

前回のブログでは、反抗期なのに反抗できない子どもたちの、対人不信感について検討しました。 反抗期のみられない子どもたちが、反発するなら世話しないぞ、さらには見捨ててしまうぞと匂わされて育った経験を遡ると、乳幼児期に「一切の理由なく、無条件に…

人はなぜ死にたくなるのか 死の欲動(3)

前回のブログでは、反抗期に生じる問題について検討しました。 人間は、文化で決められた規範を与えられて、社会の中で生きるルールを身につけてゆきます。しかし、その規範は人間が本来持っている性質ではないため、規範を与える際には強制力が伴います。規…

人はなぜ死にたくなるのか 死の欲動(2)

前回のブログでは、人を自傷や自殺へと誘う死の欲動を、文化への敵意という観点から検討しました。 人間は、文化を持つことによって、自然の脅威から守られて生活して行くことが可能になりました。その一方で、文化からの規制によって、広範な領域における欲…