2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

資本主義はなぜ世界を席巻しているのか(4)

プロテスタンティズムの倫理から生まれた資本主義の精神は、西欧諸国の資本主義を発展させる原動力となりました。しかし、キリスト教の神はやがて、社会の表舞台から退場して行きます。では、神のいなくなった資本主義の社会は、どうなっていったのでしょう…

資本主義はなぜ世界を席巻しているのか(3)

前回までのブログでは、マックス・ヴェーバーに従って、営利の追求を敵視するプロテスタンティズムの倫理から、資本主義の精神が育まれてきた経緯を検討しました。 その後、資本主義の精神は大きく変貌を遂げていきます。それには、全能の神が社会の表舞台か…

資本主義はなぜ世界を席巻しているのか(2)

前回のブログでは、資本主義の成立に不可欠な「資本主義の精神」について、ルターの「天職概念」とカルヴァンの「予定説」に従って述べてきました。 カルヴァン派信徒においては、「神の栄光を増すため」に与えられた職業を全うすることが善行とされました。…

資本主義はなぜ世界を席巻しているのか(1)

マルクスは、かつて封建主義社会が資本主義社会に一掃されたように、労働者階級による革命によって資本主義社会が一掃される時が訪れると予言しました。そして、社会主義社会では、生産手段の社会的共有化によって平等主義の理念が達成され、新しい社会形態…

アメリカはなぜ自由と正義を主張するのか(6)

ソ連が崩壊したあと唯一の超大国となったアメリカ合衆国は、モンロー主義に回帰し、他国への介入から手を引くような外交姿勢をとりました。一方で、イデオロギーの対立軸を失ったアメリカの自由主義は、何からの自由であるのかという自由の意味を失って行き…

アメリカはなぜ自由と正義を主張するのか(5)

豊かになったアメリカ合衆国は、戦いと無縁になったわけではなく、アメリカ国民およびアメリカ本土が戦渦にさらされる危険が生じた際には、自由と民主主義を守るために自国の外でなら紛争に介入するという外交方針をとるようになりました。そして、米西戦争…

アメリカはなぜ自由と正義を主張するのか(4)

経済的に発展し、世界で最も豊かになったアメリカ合衆国は、抑圧された被征服者の国ではなくなりました。しかし、アメリカ合衆国は、戦いと無縁になったわけではありませんでした。アメリカ合衆国は、アメリカ国民およびアメリカ本土が戦渦にさらされる危険…

アメリカはなぜ自由と正義を主張するのか(3)

前回までのブログで、アメリカ大陸に移り住んだ移民たちは、インディアンを虐殺しながら進めた西部開拓や、黒人を奴隷にして発展した奴隷制度を通して、自らが征服者になり、初めて抑圧からの自由を実感してきたことを検討しました。 これらの行為を正当化す…

アメリカはなぜ自由と正義を主張するのか(2)

前回のブログで、アメリカ大陸に移り住んだ移民の多くは、他では生きていけない人たちであり、抑圧された被征服者であったことをみてきました。そして、新たな大陸で抑圧された生活から解放されたとしても、彼らは精神的には相変わらず抑圧された被征服者の…

アメリカはなぜ自由と正義を主張するのか(1)

トランプ政権になって内向きの姿勢が目立ちますが、それまでのアメリカ歴代の政権は、世界の警察として世界各地の紛争に介入してきました。その際にアメリカが主張するのが、自由と正義でした。「人民の自由を抑圧する独裁者を打倒する正義の戦い」というの…

共産主義社会にはなぜ独裁者が生まれるのか(4)

これまでのブログでは、マルクスの思想に導かれて革命が実現したソ連は、マルクスの予言した社会主義の社会ではなく、ユダヤ教と近似の社会に変貌したことを検討しました。今回はさらに、ユダヤ教近似の社会で、独裁者が生まれる要因を検討したいと思います…

共産主義社会にはなぜ独裁者が生まれるのか(3)

前回のブログでは、無神論者となってユダヤ教を否定し、さらには自らがユダヤ人であることすら忘れてしまったかのようなマルクスの言動と、それにも拘わらず彼の理論の深層にユダヤ教的な内容が垣間見られることの矛盾を検討しました。この矛盾はなぜ起こっ…

共産主義社会にはなぜ独裁者が生まれるのか(2)

マルクスの思想に導かれてソ連で社会主義革命が興り、世界で初めて共産主義を目指す国家が誕生しました。しかし、ソ連は人々の平等が目指されるどころか、スターリンという独裁者が支配する社会に変貌しました。今回と次回のブログでは、なぜこうした矛盾が…

共産主義社会にはなぜ独裁者が生まれるのか(1)

2017年は北朝鮮のミサイルと核開発が世界を騒がせました。これを主導したのが、北朝鮮の独裁者である金正恩です。ところで、忘れられがちですが北朝鮮は朝鮮民主主義人民共和国の名が示す通り、人民のための共和国、すなわち共産主義を掲げる国家です。共産…

キリスト教の神はなぜ殺害されたのか(5)

前回のブログでは、宗教改革によって生まれ変わった神の殺害がなぜ可能だったのか、そして、神の殺害が哲学や自然科学の分野でどのように行われたのかを検討しました。さらに、社会の変革と神の殺害の関係について、17世紀のイギリスで起こった清教徒革命と…

キリスト教の神はなぜ殺害されたのか(4)

前回のブログでは、キリスト教の神が殺害された理由を、精神分析学的に検討しました。今回は、なぜ全能の神の殺害が可能だったのか、そして、神の殺害が哲学や自然科学の分野でどのように行われたのかを検討したいと思います。 三位一体説 全能の神の殺害と…

キリスト教の神はなぜ殺害されたのか(3)

前回のブログでは、マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』をもとに、宗教改革によって、神の全能性が究極に高められた経緯を検討してきました。今回のブログでは、こうして誕生した全能の神が、なぜ殺害されなければならな…