2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

無差別殺傷事件はなぜ起こるのか(5)

加藤のいう孤立への恐怖は、「世界からたったひとり取り残された感覚」として経験されました。彼は、「孤立の恐怖は耐えがたく、それよりも肉体的な死の方がまだ救いがある」とさえ述べています。それは孤立の恐怖が、幼少時の記憶、すなわち自らが消滅する…

無差別殺傷事件はなぜ起こるのか(4)

秋葉原無差別殺傷事件を起こした加藤智大の両親は、加藤が母親の意向に添っているときを除いて、彼が存在する意義を認めないかのように振るまいました。つまり両親は、彼の存在そのものを否認し続けました。そして、彼自身もまた、このような扱いをする両親…

無差別殺傷事件はなぜ起こるのか(3)

前回のブログでは、成育環境における母性の働きについてみてきました。 もし母性が乏しければ、安全な胎内から危険に満ちた世界へと投げ出された子どもの不安は、解消されるどころか増幅されることになります。それは、無力な子どもにとって、母親からの世話…

無差別殺傷事件はなぜ起こるのか(2)

前回のブログでは、秋葉原無差別殺傷事件を起こした加藤智大の成育環境について検討しました。加藤の幼少時代はまさに、母親からの驚くべき虐待と父親からの救われることのない無関心に、常に晒されていました。 こうした養育環境が個人の精神形成にどうのよ…

無差別殺傷事件はなぜ起こるのか(1)

6月9日の夜、東海道新幹線「のぞみ」で、刃物を持った22歳の男が突然乗客を襲い、3人が死傷する事件が起きました。この事件の全容はまだ明らかになっていませんが、容疑者の男は、「誰でもよかった」と述べているとのことですから、この事件は無差別殺傷…

日本人が誇りを取り戻す日は来るのか(5)

東日本大震災で人々が示した言動は、和の文化に基づいたものでした。多くの人命を奪い、東北のインフラを破壊し、原発の水素爆発と放射能被害をもたらした大震災は、日本社会に甚大な傷痕を残しました。しかしその一方で、人々の振る舞いは世界の人々を感動…

日本人が誇りを取り戻す日は来るのか(4)

東日本大震災は、日本に壊滅的な爪痕を残しました。しかし、社会秩序が崩壊した状況の中で、人々は和の文化に従って行動します。その行動は世界の人々を驚かせ、世界から賞賛を受けました。そのことで日本人は、和の文化の存在に気づき、和の文化の価値を再…

日本人が誇りを取り戻す日は来るのか(3)

太平洋戦争の壊滅的な敗戦から、日本は奇蹟的な復興を遂げました。経済的にさらなる成長を遂げ、世界有数の経済大国となった日本は、経済でアメリカを凌駕しようとしました。この野望はバブル期に達成されたかに思われましたが、結局アメリカに敗れて第二の…

日本人が誇りを取り戻す日は来るのか(2)

これまでもブログで検討してきたように、「バブルショック」は日本人の自尊心を大きく打ち砕きました。バブル崩壊が単なる経済的な問題にとどまらず、日本人の精神的な問題にまで大きな影響を与えたのは、そこに至るまでの長い歴史が存在するからです。その…

日本人が誇りを取り戻す日は来るのか(1)

バブルが崩壊し、日本社会は長い停滞期を迎えました。日本人は自信を失い、日本社会はうつ状態に陥りました。1,990年台から、失われた10年とも失われた20年ともいわれた時代は、なぜこれほどまでも長く続いたのでしょうか。そして、日本人がうつ状態から脱し…