4回目のワクチン接種は、本当に必要なのか(1)

 新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種が、60歳以上の人や基礎疾患のある人などを対象に5月25日から始まりました。
 mRNAワクチンは、2回で完了するはずではなかったのでしょうか。それが、補助や増強を意味するブースターなどという言葉を使って、しれっと3回目の接種を行い、それどころか「重症化を防ぐため」という理由をつけて、ついに60歳以上と基礎疾患を有する人に4回目の接種を始めています。その前に政府や厚労省は、2回で済むはずだったワクチン接種を、なぜ3回も4回も打たなければならなくなったのかの明確な説明をしなければならないでしょう。
 4回目のワクチン接種に、本当に感染予防効果や重症化を防ぐ効果はあるのでしょうか。そして、そもそも4回目の接種を行う必要はあるのでしょうか。今回以降のブログで検討したいと思います。

 

厚労省の改ざん問題
 厚労省が、ワクチンの効果に関するデータを、改ざんしていることが明らかになりました。
 この問題は、名古屋大学の小島勢二名誉教授が、「海外の報告を見ると、オミクロン株にはワクチンの予防効果がかなり減ってしまい、なかには予防効果が20%になったところがあるというのに、厚労省が出しているデータを見ると、日本ではまだ90%であるのはおかしい」と指摘したことから始まりました。 小島名誉教授が国会議員を通じでこの点を指摘すると、厚労省は、ワクチン接種の日付が「未記入」だった場合を全て「未接種」に分類していたとし、修正したデータを公開しました。
 これはどういうことかと言うと、ワクチンは打ったけれど正確な接種日時などがわからない新規陽性者”を、「未接種」の数に入れていたということです。すると、ワクチンを打っていない陽性者が、実際よりも増加していたことになります。この増加分を除くと、未接種者の陽性者数はもっと少ない数だったのです。
 その結果、4月11日から17日の新規陽性者数(正確には、PCR検査陽性者数)は、以下のようになりました。

 

                6月19日付け NEWSポストセブン より引用
                 図1

 

 図1のように、厚労省が修正した数値によれば、40代と60代から70代にかけては、2回接種者の方が未接種者よりも新型コロナ感染症にかかりやすいことが分かったのです。

 これは何を意味しているのでしょうか。

 

抗体の上昇は短期間

 ワクチン接種後2週間が経過すると、抗体価は著しく上昇します。しかし、その期間は短期間に限られています。

 昨年の8月25日に藤田医科大学が、同大学職員209名(男性67名、女性142名)を対象に行った調査結果を発表しています。それによると、ワクチン接種後3ヶ月の抗体価の平均値は、2回目接種後に比べて約1/4に減少していました。

 以下は、それを示したグラフです。

 

                    出典:藤田医科大学 プレスリリース 

                  図2

 

 図2のように、抗体価の平均値は2回目接種後に比べて3ヶ月後は大幅に低下しており、それは性別、年代を問わず全ての被検者で低下していることが分かります。

 さらに昨年の11月15日には、先端医科学研究センターが、医療従事者98名を対象に行った調査結果を発表しました。それによると、ワクチンを2回接種した6ヶ月後には、抗体価は接種ピーク時(1~3週間後)に比べて10 %以下に低下していることが分かりました。

 つまり、抗体価が上昇し、ワクチンが効力を発揮するのは、接種の2週間後から2ヶ月後までのわずか1ヶ月半から、多く見積もってもせいぜい2ヶ月の期間に過ぎません。有効率が94~95%という数字は、まさにこの「瞬間最大風速」を示した数値だったのです。

 

生体のホメオスターシスが作用する

 抗体価が短期間で減少するのには理由があります。急激に増加した抗体に対して、生体のホメオスターシスが働きます。新型コロナワイルス(のスパイク)に対する抗体だけが異常に増えすぎることは、生体にとって決して好ましいことではないからです。産生される抗体は、体内で無尽蔵に作られるわけではありません。抗体産生が新型コロナウィルスに偏っていては、他の細菌やウィルスに対する防備がおろそかになってしまいます。

 そこで免疫のバランスを調整する制御性T細胞が活性化され、増えすぎた抗体の産生を制御します。こうして抗体は、6ヶ月ほどでピーク時に較べて10%以下に低下します。当初2回で完了するはずだったワクチンが、6ヶ月ごとの接種が必要になり、ついに4回目の接種が始まったのはこうした理由によっていると考えられます。

 ところで、制御性T細胞が免疫の抑制を行うのは、抗体を産生する体液性免疫だけではありません。制御性T細胞は、細胞性免疫と自然免疫も同時に抑制します。ここで自然免疫も抑制されることは、重大な結果を招きかねません。自然免疫は、生体が外界から身を守るための最初の防波堤の役割を果たしています。自然免疫が抑制されると、新型コロナ感染症だけでなく、すべての感染症に罹患しやすい状態になることが懸念されるのです。この点については、後に検討することにしましょう。

 

免疫力の低下を示している

 ワクチン接種は、2021年2月17日に医療従事者から始まり、5月24日には大規模接種が開始されました。2回接種完了者が9月10日には50%、9月30日には60%、10月25日には70%になりました。そして、2022年6月23日の時点では、81.2%に達しています。

 ここでもう一度、図1をみてみましょう。

 図1で示されているのは、今年の4月11日から17日までの新規陽性者です。この6ヶ月前における日本のワクチン2回接種率は、10月11日が67.4%、10月17日が69.7%でした。この時期以前に接種した人びとが、ワクチンの効力がなくなっただけでなく、免疫力が未接種者より低下する時期に当たります。

 図1において、40代と60代から70代にかけては、2回接種者の方が未接種者よりも新型コロナ感染症数が多いのは、このことを示しているのではないかと考えられます。(80代のみ、未接種の新規感染者数が際立って多い理由は分かりません。80代にのみ、ワクチンが特別有効であるとは考えにくいのですが)。

 そこで、3回目のワクチン接種が必要になり、2021年12月から一般の接種が始まりました。その結果、3回接種者の新規感染者数は、いずれの年代でも低下しました。しかし、この現象もあくまで一時的なものです。半年が経過すれば、再び抗体価は低下し、さらに免疫力全体が低下します。そうなれば新型コロナ感染症に罹患しやすくなり、4回目の接種が必要になるのです。

 

台湾でも感染爆発が

 新型コロナ感染症の拡大防止に成功してきた台湾で、今年の4月中旬から感染爆発が起こっています。

 台湾といえば水際対策や隔離の徹底などでゼロコロナを目指し、実際に新型コロナ感染症の封じ込めに成功してきた「コロナ超優等生国」でした。それがオミクロン株の流行によって、感染爆発を起こすことになってしまったのです。

 

   新型コロナウィルス感染症 世界マップ 日本経済新聞社より

              図3

 

 図3のように、台湾では4月中旬から新規感染者数の急激な増加が認められました。5月27日には、新規感染者数が94,796人に達し、これは日本の人口で換算すると51万人以上に相当します。

 新規感染者数が1,000人を超えた4月15日時点での、台湾のワクチン2回接種率は77.2%でした。ブースター接種率も53.3%であり、ワクチンの接種は着実に進んでいました。

 それにもかかわらず台湾で感染爆発が起きたということは、オミクロン株に対しては、ワクチンに感染予防効果がないことを明確に示しています。

 それだけではありません。日本では5月25日から4回目のワクチン接種が始まっていますが、新規感染者数が6月20日から増加に転じているのです。オミクロン株に対してワクチンは、少なくとも感染予防効果がないことは明らかでしょう。

 

ワクチンに感染予防効果はない

 以上のように、ワクチンには感染予防効果がないことを示す結果が、次々に明らかになっています。それなのに、厚労省が4回目のワクチン接種を始めたのはどうしてでしょうか。

 その理由は、ワクチンの新型コロナ感染症の重症化を防ぐ効果にあるといいます。しかし、ワクチンの最後の砦である重症化予防効果も、実際にはどれほどあるのかが分からなくなっています。それどころか、副反応による死亡者数の増加が指摘されるようになっているのです。

 次回のブログでは、この点について検討したいと思います。(続く)