4回目のワクチン接種は、本当に必要なのか(2)

 mRNAワクチンは、短期的には新型コロナ感染症を予防する効果を発揮しますが、半年後には効力を失うばかりか、免疫力全般を低下させることが分かってきました。そのため、却って新型コロナ感染症に罹患しやすくなるだけでなく、他の感染症に罹りやすくなったり、悪性腫瘍の発症や進行を促す可能性も指摘されています。

 政府や厚労省は、感染予防効果が失われることを隠すために、半年ごとのワクチン接種を繰り返しました。それにとどまらず、予防効果が失われることを隠すために、資料の改ざんまで行っていたことが明らかになりました。

 そうまでして、ワクチン接種を継続するのはどうしてでしょうか。残る意義は、ワクチンの重症化予防効果です。しかし、最近では、この重症化予防の効果にすら疑問が呈されるようになってきました。

 今回のブログでは、ワクチンの重症化予防効果について検討したいと思います。

 

重症化予防効果も短期間

 mRNAワクチンは、感染予防効果と同様に、重症化予防効果も90%以上あると喧伝されてきました。しかし、90%以上の重症化予防効果も、実は接種後2,3ヶ月をピークに、徐々に低下していくことが分かりました。

 2021年の10月27日に、新型コロナ感染症の重症化率は、mRNAワクチン接種の6ヶ月後に2.8倍に増加するという論文が、New England Journal of Medicine に発表されました(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2114228)。

 この論文は、イスラエルの国家データベースから収集された、2021年6月以前に2回のワクチン接種を受けたすべてのイスラエル居住者を対象しています。この中で、2021年7月11日から31日までの期間に確認された、感染および重篤な疾患に関するデータを使用して検討されたものです。

 それまでにも、時間の経過と共にワクチンの感染予防効果が減弱することは知られていましたが、この論文では、新たに重症化予防効果も減弱することが示されました。

 以下は、それを示したグラフです。

 

                図1

 

 図1は、各年代における1,000人当たりの重症化率の、時間的推移を示したグラフです。

 60歳未満では重症化率が低いため、接種後の期間において有意な変化は認められません。しかし、60歳以上では、ワクチン接種から時間が経過するにつれ、重症化率が高まっていることが分かります。その具体的な数値は以下の通りです。

 

  • 接種後2~3ヶ月の重症化率:0.12人/1000人
  • 接種後4ヶ月の重症化率:0.15人/1000人
  • 接種後5ヶ月の重症化率:0.26人/1000人
  • 接種後6ヶ月の重症化率:0.34人/1000人

 

 つまり、接種から時間が経つと重症化予防効果は徐々に低下しており、接種6ヶ月後の重症化率は、2~3ヶ月後の2.83倍に増加することが分かったのです。

 このように、ワクチンの重症化予防効果も一時的で、時間の経過と共に減弱していくことが明らかになりました。つまり、重症化予防効果が90%以上という謳い文句も、あくまで接種後2,3ヶ月の「瞬間最大風速」を現した数値に過ぎなかったのです。

 

65歳以上では未接種者よりも重症化する

 それだけではありません。接種の6ヶ月以降には、未接種者よりも重症化率が高くなっている可能性があります。

 名古屋大学の小島勢二名誉教授は、4月28日の「アゴラAGORA 言論プラットホーム」のなかで、次のように指摘しています。

 小島氏は、国立感染症研究所(感染研)の公開情報から、わが国における重症化予防効果を検討しました。その際に、感染研のデータには未接種者数が記載されていないため、日本の年齢別人口統計と首相官邸ホームページに公表されている接種率を用いて、ワクチン未接種者の人数を推定しています。

 その結果を踏まえると、2022年3月28日から4月3日までにおけるオミクロン株の重症者のうち、ワクチン接種のよる重症化予防効果は以下のようになります。

 

                  図2

 

 図2のように、65歳以上でワクチンを2回接種した人は、ワクチン未接種の人よりも、重症化予防効果が46%も下がっています。

 さらに小島氏は、感染研のデータにある接種歴不明者を、2回接種者、3回接種者の割合に応じて振り分けて、2回接種者、3回接種者の人数に加えて計算した重症化予防効果も算出しています。

 その結果は以下の通りです。

 

                  図3

 

 図3のように、接種歴不明者も加えると、65歳以上で2回ワクチンを接種した人の重症化予防効果が、未接種者に比べて103%も低下していました。言い換えると、65歳以上で2回ワクチンを接種した人は、未接種者に比べて2倍も重症化しやすいことを示しています。

 この結果は、何を意味しているのでしょうか。

 

7ヶ月以降には重症化が顕著になる

 上記のデータは、2022年3月28日から4月3日までのものです。この期間は、2回目の接種からどれくらい時間が経過していたかを推定してみましょう。

 以下は、65歳以上の高齢者が、ワクチンを2回接種した割合です。

 

                  図4

 

 図4のように、65歳以上の高齢者の約90%は、2021年の9月の初旬には2回のワクチン接種を済ませていました。小島氏が検討した2022年3月28日から4月3日の期間では、65歳以上ではほとんどの人が、2回接種後7か月以上が経過しています。

 つまり、ワクチンの重症化予防効果は、当初はそれなりの効果を示すものの、時間の経過と共に減弱して行くことが分かります。そして、接種後7ヶ月以上が経過した時点では、未接種者よりも重症化を招いてしまう可能性が示唆されたのです。

 

制御性T細胞が活性化される

 なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

 前回のブログで検討したように、mRNAワクチンは、新型コロナワイルス(のスパイク)に対する抗体を急減に増加させるため、抗体価は著しく上昇します。この状態に対して、免疫のバランスを調整する制御性T細胞が活性化し、増えすぎた抗体の産生を制御します。こうして抗体は、6ヶ月ほどでピーク時に比べて10%以下に低下するのです。

 ところで、制御性T細胞が抑制するのは、抗体を産生する体液性免疫だけではありません。制御性T細胞は、自然免疫と細胞性免疫を同時に抑制します。

 自然免疫は、外界から身を守るための最初の防波堤の役割を果たしています。自然免疫の抑制は、新型コロナ感染症だけでなく、すべての感染症に罹患しやすい状態を招くことを前回のブログで検討しました。

 一方、細胞性免疫の抑制は、どのような事態を招くのでしょうか。

 

ウィルス撃退の主役は細胞性免疫

 新型コロナウィルス感染症を終息させる決め手として、もっぱらワクチンがクローズアップされてきました。そのため意外と知られていませんが、ウィルスを撃退する主役は、ワクチンによって誘導される抗体ではなく、細胞性免疫の方です。

 細菌とウィルスの大きな違いは、細菌は自分で増殖できることに対して、ウィルスは生物の細胞に侵入し、細胞の増殖機能を利用して自分のRNA(またはDNA)を増殖させることにあります。

 ウィルスが細胞の外に存在している間は、マクロファージや樹状細胞が作用する自然免疫や、抗体に誘導された好中球によって排除することができます。しかし、ウィルスが細胞内に入り込んでしまうと、自然免疫や抗体による免疫が作用できなくなります。ウィルスを排除するためには、自身の細胞を破壊し、入り込んだウィルスを細胞の外に出す必要があります。

 ここで活躍するのが、細胞傷害性T細胞、別名キラーT細胞です。

 マクロファージや樹状細胞やNK細胞から、さらにウィルスに感染した細胞自体から情報を伝えられたT細胞が活性化され、細胞傷害性T細胞に成長します。侵入したウィルスに特異的な細胞傷害性T細胞ができあがると、ウィルスに感染した細胞が次々に破壊されます。このとき活性化されたマクロファージが細胞外に出されたウィルスを強力に貪食し、ウィルスを撃退します。

 以上の一連の働きが細胞性免疫と呼ばれ、ウィルスを撃退する主な手段となっているのです。

 

細胞性免疫の抑制が重症化を招く

 mRNAワクチン接種の6ヶ月以降に、細胞性免疫が抑制されるとどのような影響があるでしょうか。

 細胞性免疫が抑制されれば、細胞の中で増殖する新型コロナウィルスを排除できません。ウィルスは隣接した細胞に次々に侵入し、新たな細胞のなかで増殖します。こうしてウィルスは増殖を繰り返し、感染は体内で拡大してゆきます。この段階で細胞性免疫が抑制されていると、ウィルスの細胞内での増殖が止まらなくなり、感染が重症化する要因となります。

 

中和抗体価の低下も影響

 重症化には、もう一つの要因があります。感染細胞内でのウィルスの増殖が進むと、感染細胞を破壊し、ウィルスが細胞外に飛び出すことがあります。細胞外に飛び出したウィルスを排除する際には、抗体の働きが必要になります。抗体が細胞から飛び出したウィルスに結合し、新たな細胞への侵入を防ぎます。ウィルスが感染したい細胞に侵入できなくなることをウィルスの不活性化といい、ウィルスの細胞への侵入を防ぐ抗体を中和抗体と呼びます。

 制御性T細胞の働きによって、体液性免疫が抑制されて中和抗体が減少すると、細胞外に飛び出したウィルスの侵入を防ぐことができなくなります。このことも、感染の重症化を招く要因になります。

 以上の二つの要因によって、ワクチン2回接種後7ヶ月の時点で、65歳以上の高齢者の重症化率が未接種者の2倍になるような事態が生じたのだと考えられます。

 

 5月25日から、60歳以上を対象に4回目のワクチン接種が開始された背景には、こうした隠された事実があったのです。(続く)