ワクチン接種によってなぜ感染者数は増え、死者数は増加するのか(1)

 前回のブログでは、日本はmRNAワクチンの延べブースター接種率で世界一を独走しているにもかかわらず、オミクロンBA.5株の感染爆発を2度も繰り返し、現在過去最高の新型コロナ感染症の死者数を出していることを指摘しました。世界各国では、ブースター接種は行われなくなりつつあり、感染もほぼ終息しているにも拘わらずです。

 このままでは、日本だけがmRNAワクチン依存症から抜け出せずに、数ヶ月後には第9波を迎えることになるでしょう。そして、さらに多くの新型コロナ死を経験することになるでしょう。

 今回からのブログでは、いったんワクチン行政から離れて、ワクチン接種を行うことによってなぜ感染者数は増え、死者数は増加するのかを再検討しておきたいと思います。

 

RNAワクチンはなぜ筋肉に注射するのか

 mRNAワクチンは、これまでのワクチンが皮下注射だったのに対して、筋肉注射で接種されます。なぜ筋肉注射かというと、新型コロナウィルスのmRNAを筋肉の細胞に注入し、筋肉の細胞内でスパイクタンパク質を作らせるためです。

 しかし、肩に筋肉注射されたワクチンは、想定とは違ってそこに留まりませんでした。筋肉は動きますから、これがポンプの働きをしてワクチンを筋肉の外に押し出します。押し出されたワクチンは、筋肉細胞間の組織液→リンパ管→リンパ節→リンパ本幹→上大静脈→心臓→肺動脈→肺→肺静脈→心臓→大動脈→ という経路を通って全身に運ばれます。運ばれたワクチンは、全身の臓器を巡ります。肩の筋肉に留まるmRNAは、ワクチン全体の25%程度だと言われています。

 

あらゆる細胞に侵入するmRNAワクチン

 ウィルスは、生物の細胞の中でしか増殖できません。そのため、ウィルスは細胞の中に侵入しなければ生存できないのですが、ウィルスが侵入できるのは、自分が結合できる受容体を表面に持っている細胞だけです。新型コロナウィルスも例外ではなく、ACE2受容体がある細胞にしか侵入することができません。生ワクチンで使用される弱毒化されたウィルスも、やはり侵入できる細胞は限られています。

 これに対して、mRNAワクチンはあらゆる細胞に侵入できるように作られています。ワクチンのmRNAは、脂質ナノ粒子に包まれています。この脂質の膜は、細胞表面の膜にくっつくと、中のmRNAを細胞の中に運び入れる役割を果たします。そのため、脂質ナノ粒子に包まれたmRNAは、全身のどの細胞にも入り込むことができるのです。

 

全身の臓器が攻撃を受ける?

 脂質ナノ粒子に包まれたmRNAは体全体に循環します。循環した脂質ナノ粒子は、肝臓、脾臓、骨髄、副腎、卵巣、精巣上体の細胞に多く蓄積されることが分かっています。

 細胞に取り込まれたmRNAは、細胞の中でスパイクタンパク質を作り続けます。このスパイクタンパク質を抱える細胞は、細胞性免疫によって非自己とみなされ、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)から攻撃を受けて破壊されます。

 ワクチン接種後の心筋炎は、こうした機序で起こっているのではないかとわたしは考えています。心臓は、全身を巡る血液がすべて集められる臓器です。当然、心臓の細胞にもmRNAは取り込まれるでしょう。mRNAを取り込んだ細胞はスパイクタンパク質を作り、スパイクタンパク質を抱える心筋細胞は、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)から攻撃を受けて破壊されます。このような機序でmRNAワクチンによって心筋炎が起こり、さらに心筋炎による死者も出ているのです。

 問題は心臓のように、障害が現れやすい臓器だけに留まりません。ワクチン接種後に若い女性に生理不順が多く見られているのも、同様の機序で卵巣が攻撃を受けている可能性が考えられます。卵巣への攻撃は、将来の不妊への危険性を孕んでいるという点で、非常に憂慮すべき事態であると言えるでしょう。

 

RNAは長期間存在する

 さて、細胞に入り込んだワクチンのmRNAは、その後どうなるのでしょうか。厚労省や河野ワクチン接種推進担当大臣(当時)は、「mRNAは半日から数日で分解される」と説明していましたが、それは事実ではありません。もし、それほど短期間でmRNAが分解されれば、作られるスパイクタンパク質の量が限られ、多くの抗体を誘導することはできなかったでしょう。

 そうならないために、ワクチンに含まれるmRNAは、メチル基が化学修飾されることによって分解されにくくなった、長寿命のmRNAに作り換えられているのです。

 mRNAワクチンの技術開発に多大な貢献をしたロバート・マローン博士は、Cell に掲載された 論文(Immune imprinting, breadth of variant recognition,and germinal center response in human SARS-CoV-2infection and vaccination)を解説する中で、次の重要な問題点を指摘しています。

 

・コロナワクチンのスパイク抗原とmRNAが、リンパ節胚中心で2ヶ月間持続している。

・スパイクタンパク質生産量は、重症のコロナ患者より多い

 

 新型コロナウィルスのスパイクタンパク質は大量に、しかも長期間わたしたちの体の中で作られ続けるため、その結果として、スパイクタンパク質に対する非常に高い抗体価を達成することを可能にしたのです。

 しかし、そのことは他方で、ワクチンの重篤な副作用を生じさせることになりました。

 

全身の血管が傷害され続ける

 米国のソーク研究所のグループが、2021年3月の Circulation Research に、スパイクタンパク質が単独で細胞に侵入し、細胞内のミトコンドリアを断片化すると発表しました。これは、非常に重大な発見です。

 新型コロナウィルスは、通常は血管のACE2受容体に結合して細胞内に侵入します。この研究によって、ウィルスのスパイクタンパク質が単独でACE2受容体から血管の内皮細胞に侵入し、しかも細胞を傷害することが分かったのです。

 そうであれば、mRNAワクチンによって誘導されたスパイクタンパク質が、直接血管内皮細胞を傷害することが起こり得ます。血管内皮が傷害されると、血管が破綻されて出血が起こったり、これを防ごうとして血管内に血栓が形成されます。つまり、mRNAワクチンによってスパイクタンパク質が大量に作られると、スパイクタンパク質それ自体によって血管が傷害され、出血や血栓が起こることになります。

 もし、ワクチン接種後に、スパイク抗原とmRNAが2ヶ月以上にもわたって存在し続けたらどうなるでしょうか。全身の血管が傷害され、出血や血栓が多発することになります。その結果、心筋梗塞や動脈解離などの循環器系疾患や、血栓症による間質性肺炎、さらに脳梗塞脳出血などの脳血管障害を誘発することになるでしょう。

 

高すぎる免疫上昇が新たな問題を招いた

 ワクチン接種後の副作用として、もう一つ重要な問題が免疫の抑制です。

 メチル基が化学修飾された長寿命のmRNAによって、ワクチン接種後には多量のスパイクタンパク質が体内で作られ続けます。このスパイクタンパク質に反応して、抗体が多量に作られます。また、長寿命のmRNAが細胞内に残ることによって、自己細胞を異物と見なして細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)が活性化されます。前者が体液性免疫、後者が細胞性免疫と呼ばれる免疫反応です。mRNAワクチンは、体液性免疫と細胞性免疫を共に賦活することによって、90%以上の感染予防効果と重症化予防効果を発揮すると喧伝されました。

 これはワクチンとしては、画期的な数字です。それは、わたしたちがこれまで接種してきた、インフルエンザワクチンと比較してみれば明らかです。インフルエンザワクチンは、外来を訪れるインフルエンザ患者を10~60%減らす効果があると言われてきました。この数字は、当たるも八卦当たらぬも八卦といった確率(?)であり、それに比べれば90%以上という数字がいかに高いかが理解できるでしょう。

 

生体のホメオスターシスが作動する

 ところが、実際の身体の中では、mRNAワクチンによる行き過ぎた免疫の活性化にストップがかかります。

 急激に増加した抗体に対して、生体のホメオスターシスが働きます。新型コロナワイルスのスパイク質に対する抗体だけが異常に増えすぎることは、生体にとって決して好ましいことではないからです。産生される抗体は、体内で無尽蔵に作られるわけではありません。抗体産生が新型コロナウィルスに偏っていては、他の細菌やウィルスに対する防備がおろそかになってしまいます。

 そこで免疫のバランスを調整する制御性T細胞が活性化され、増えすぎた抗体の産生を制御します。その結果として、抗体価は短期間で急激に減少します。

 

抗体価上昇は「瞬間最大風速」

 2021年8月25日に藤田医科大学が、同大学職員209名(男性67名、女性142名)を対象に行った調査結果を発表しています。それによると、ワクチン接種後3ヶ月の抗体価の平均値は、2回目接種後に比べて約1/4に減少していました。

 以下は、それを示したグラフです。

 

                    出典:藤田医科大学 プレスリリース 

                 図1

 

 図1のように、抗体価の平均値は2回目接種後に比べて3ヶ月後は大幅に低下しており、それは性別、年代を問わず全ての被検者で低下していることが分かります。

 さらに2021年11月15日には、先端医科学研究センターが、医療従事者98名を対象に行った調査結果を発表しました。それによると、ワクチンを2回接種した6ヶ月後には、抗体価は接種ピーク時(1~3週間後)に比べて10 %以下に低下していることが分かりました。

 つまり、抗体価が上昇し、ワクチンが効力を発揮するのは、接種の2週間後から2ヶ月後までのわずか1ヶ月半から、多く見積もってもせいぜい2ヶ月の期間に過ぎません。有効率が90%以上という数字は、まさにこの「瞬間最大風速」を示した数値だったのです。

 当初mRNAワクチンは、2回接種で完了するはずでした。ワクチンを2回接種すれば、少なくとも1年間は効果が持続すると専門家は口をそろえました。「10年間は大丈夫だ」などとテレビで解説するエセ専門家もいたほどです。ところが、現実には4回目の接種が行われ、5回目接種が始まっているのは、ワクチンの効果が短期間で失われることの何よりの証左でしょう。

 

重症化予防効果も短期間

 効果が短期間に限られているのは、感染予防効果だけではありません。

 mRNAワクチンは、感染予防効果と同様に、重症化予防効果も90%以上あると喧伝されてきました。しかし、90%以上の重症化予防効果も、実は接種後2,3ヶ月をピークに、徐々に低下していくことが分かりました。

 2021年の10月27日に、新型コロナ感染症の重症化率は、mRNAワクチン接種の6ヶ月後に2.8倍に増加するという論文が、New England Journal of Medicine に発表されました(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2114228)。

 この論文は、イスラエルの国家データベースから収集された、2021年6月以前に2回のワクチン接種を受けたすべてのイスラエル居住者を対象しています。この中で、2021年7月11日から31日までの期間に確認された、感染および重篤な疾患に関するデータを使用して検討されたものです。

 それまでにも、時間の経過と共にワクチンの感染予防効果が減弱することは知られていましたが、この論文では、新たに重症化予防効果も減弱することが示されました。

 以下は、それを示したグラフです。

 

                図2

 

 図2は、各年代における1,000人当たりの重症化率の、時間的推移を示したグラフです。

 60歳未満では重症化率が低いため、接種後の期間において有意な変化は認められません。しかし、60歳以上では、ワクチン接種から時間が経過するにつれ、重症化率が高まっていることが分かります。その具体的な数値は以下の通りです。

 

  • 接種後2~3ヶ月の重症化率:0.12人/1000人
  • 接種後4ヶ月の重症化率:0.15人/1000人
  • 接種後5ヶ月の重症化率:0.26人/1000人
  • 接種後6ヶ月の重症化率:0.34人/1000人

 

 つまり、接種から時間が経つと重症化予防効果は徐々に低下しており、接種6ヶ月後の重症化率は、2~3ヶ月後の2.83倍に増加することが分かりました。

 このように、ワクチンの重症化予防効果も一時的で、時間の経過と共に減弱していくことが明らかになりました。つまり、重症化予防効果が90%以上という謳い文句も、あくまで接種後2,3ヶ月の「瞬間最大風速」を現した数値に過ぎなかったのです。

 

 それだけではありません。ワクチン接種を繰り返すことによって、感染や重症化予防効果を示す期間が、さらに短くなっているのです。この点につては、次回のブログで検討したいと思います。(続く)