mRNAワクチンを子どもに接種してもいいのか(2)

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 前回のブログでは、新型コロナ感染症では重症化リスクが低く、直接死亡者が出ていない子どもに対して、mRNAワクチンを接種する危険性について検討しました。

 その危険とは、10代ではワクチン接種後に少なくとも4人の死亡者が出ていること、110人もの重篤な心筋炎が発症していることでした。そして、mRNAワクチンの効果は、接種後2週間から2ヶ月ほどしか持続せず、半年後には免疫全体が抑制されること、そのため半年ごとにワクチンを接種しなければならない「ワクチン依存症」の状態に陥ることも併せて指摘しました。

 mRNAワクチンの問題はそれだけではありません。接種後すぐには現れる副反応だけでなく、中長期にわたる副反応が現れる可能性があるのです。子どもにmRNAワクチンを打ってはならないのは、まさにこの危険があるからに他なりません。

 

初めての10代の死亡例

 2月16日にさいたま市で、基礎疾患をもたない10代の男性が、新型コロナ感染症で死亡したことがマスコミで発表されました。これは、新型コロナ感染症が直接の死因になった、10代における初めての症例です。

 報道で発表されている経緯は、次のようです。

 症例は、さいたま市在住の10代後半の男性です。昨年の10月に、ワクチンの2回接種を終えていました。2月2日に発熱し、翌3日に検査を行ったところ、6日になって新型コロナ感染症であることが確認されました。2月6日に40度から42度の発熱が認められたために、家族から救急搬送の要請がありました。救急車到着時には咳や呼吸困難などの症状がなく、血中酸素濃度も正常であったため、保健師による経過観察対象になりました。

 ところが、2月7日に体調が急変し、意識障害と血圧低下が認められたため救急車が要請されました。救急車到着50分後に病院に搬送され、入院治療を受けました。しかし、病状は改善せず、2月9日にDIC(播種性血管内凝固症候群)を併発して亡くなりました。

 

なぜオミクロンは重症化したのか

 マスコミ報道の多くは、救急車の到着から入院までに50分もかかったことを問題視していますが、問題の本質はそこにはありません。基礎疾患のない10代の若者において、新型コロナウィルス感染症が、なぜこれほど重症化したのかという点にこそ注目する必要があります。

 これまでには基礎疾患のない10代の若者には、死亡者は出ていませんでした。さらに、オミクロン株自体が軽症化して、致死率が大幅に下がっていました。それにも拘わらず、本来は白血病やがん、敗血症といった重篤な疾患に併発するDIC(播種性血管内凝固症候群)が起こって死亡しています。

 つまり、本来は軽症で済むはずの若者のオミクロン株による感染症重篤化し、致死的な病態にまで至ることが、通常では起こり得ないことなのです。

 

ワクチンを接種しても重症化が防がれていない

 そこで考えられるのが、本例が受けている2回のワクチン接種の影響です。

 報道によれは、本例では昨年の10月に2回のワクチン接種を終えています。新型コロナ感染症に感染したのが2月2日と考えられますので、接種後3~4ヶ月が経過しています。10代の後半であれば、この時期にはまだワクチンによる免疫増強効果が残っているはずです(最近、11歳以下では、予防効果が1ヶ月ほどしか続かないことが明らかになりました)。また、ワクチンによる重症化予防効果は6ヶ月から9ヶ月は持続すると言われていますから、2月初旬の時点では、ワクチン接種によって重症化が防がれるはずでした。

 それにも拘わらず、オミクロン株による感染が一気に重症化し、症例が死に至ってしまったのはなぜでしょうか。

 わたしは、2回のワクチン接種によって、抗体依存性感染増が起こったのではないかと考えています。

 

抗体依存性感染増強とは

 まず、抗体依存性感染増強について説明しましょう。

 抗体は、本来ウイルスから身体を守ってくれる働きをしますが、それとは逆に、ウイルスの感染を起こしやすくしたり、ウイルスを増殖させて病気の重症化を引き起こす現象が知られています。この現象を、抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement:以下ADEと略します)といいます。そして、感染を起こしやすくする抗体は、感染増強抗体と呼ばれています。

 ADEは、これまでにSARS(Severe acute respiratory syndrome:重症急性呼吸症候群)やMARS(Middle East respiratory syndrome:中東呼吸症候群)といった他のコロナウイルスのワクチン開発途上で認められました。そのため、SARSやMARSではワクチンが危険だと見なされ、開発が中止された経緯があります。

 では、なぜ新型コロナ感染症では、ワクチンの開発が進められたのでしょうか。それは新型コロナウィルスのmRNAワクチンでは、ADEは起こらないと想定されてきたからです。

 しかし、昨年の5月に、大阪大学の荒瀬尚教授を中心としたグループが、新型コロナウィルスに対しても感染増強抗体が存在することを発見しました。

 ワクチンに誘導される抗体には、ウィルスの働きを無効化する中和抗体と、逆にウィルスと細胞のレセプターを結合しやすくする感染増強抗体が存在します。荒瀬教授らによって、中和抗体に比べて感染増強抗体の割合が増えると、新型コロナウィルスに感染しやすくなることが明らかになりました。それだけでなく、感染増強抗体が増加することによって、新型コロナウィルス感染症が重症化することも確認されたのです。

 

いよいよADEが現実のものに

 これまでに同じ種類のワクチン、つまり武漢型ウィルスから誘導されたmRNAワクチンが接種され続けてきました(現在3回目の接種が行われているワクチンも、この武漢ウィルスのワクチンです)。同じワクチンが、同時期に世界中で接種されたことによって、中和抗体から逃れる変異株が次々と現れました。変異株に対する中和抗体の効力は、徐々に薄れました。そのことに加えて、RNAウィルスで出現しやすいとされる、感染増強抗体の影響が危惧されてきました。上述の症例は、そうした危惧が、いよいよ現実のものとなってきたことを示唆しています。

 実際にADEが起こると、どうなるのでしょうか。感染増強抗体が生じると、新型コロナウィルス感染症の新規感染症者数が増加します。そして、感染増強抗体が増加すると感染症が重症化し、さらには死亡者が増加します。つまり、ADEが起こると、ワクチンを打てば打つほど感染者が増加し、死亡者が増加するのです。

 みなさんは、さすがにそんなことは起こっていないと思われるでしょう。

 

感染が急増する韓国

 最近、お隣の韓国で、これまでにない新規感染者の急増が起こっていることをご存知でしょうか。

 韓国といえば、大量のPCR検査で感染者を早期に発見して隔離を徹底する「K防疫」で、人口当たりの感染者数を圧倒的に少なくする実績を誇ってきました。しかし、デルタ株とそれに引き続くオミクロン株の感染が急増し、2月に入ってから感染爆発を起こしています。新規感染者数が2月下旬から10万人を超え、3月4日にはついに26万6,838人を記録しました。この数字は、日本の人口で換算すると65万人(!)に相当します。

 韓国で、一体何が起こっているのでしょうか。

 

韓国ではワクチン接種が進んでいる

 韓国は、ワクチン接種の先進国です。3月3日までに、2回接種を終えた人は国民の86.5%に達しており、3回接種を終えた人も61.7%に上ります。これほどワクチン接種が進んだ国で感染爆発が起こっている事実を、ワクチン接種を推し進めている人たちはどう説明するのでしょうか。

 ちなみに日本では、3月3日の時点で2回接種を終えた人の割合は国民の79.6%で、3回接種を終えた人は23.1%です。

 以下は、両国の新規感染者数と死亡者数の推移を現したグラフです。

 

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                  図1

 

 図1のように、日本でも韓国でも、デルタ株に比べてオミクロン株で、感染者が急増していることが分かります。特に韓国では、オミクロン株の山に比べると、デルタ株の山はほとんど分からないくらいです。

 それでだけではありません。死亡者数でも、デルタ株に比べてオミクロン株の増加が認められています。感染者数自体が多いとはいえ、軽症のオミクロン株で死亡者が増加していることが、異常な事態だと言えるでしょう。

 ワクチン接種の推進論者は、韓国では感染爆発が起きているものの、ブースター接種のお陰で重症者や死亡者は抑えられていると主張してきました。しかし、死亡者の増加は、新規感染者の2週間から4週間後に現れますから、韓国の死亡者は今後も増え続けるでしょう。

 

ワクチン接種が進んでいない国では

 オミクロン株による感染爆発は、オミクロン株自体の特徴だと考える人もいるでしょう。しかし、ワクチン接種が進んでいない国々では、こうした事態は起こっていません。

 例えば、デルタ株発祥の地とされているインドでは、3月3日までにワクチン接種が2回終了した人の割合は57.1%、3回目が終了した人の割合はわずか1.4%です。また、オミクロン株発祥の地とされる南アフリカでは、2回接種終了者は28.8%、3回接種者は1.9%です。

 両国の、新規感染者数と死亡者数の推移は以下の通りです。

 

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                  図2

 

 図2のように、インドではオミクロン株による新規感染者数の山は、デルタ株より小さくなっています。そして、オミクロン株の死亡者数の山は、デルタ株に比べてさらに小さくなっています。

 一方、南アフリカでは、オミクロン株の新規感染者数の山は、デルタ株の山よりも大きいものの、その程度はわずかです。そして、オミクロン株の死亡者数の山も、デルタ株よりも小さくなっています。

 

集団免疫が失われてしまった

 上述の各国では、感染者数、死亡者数の単位が当然異なっています。しかし、ここでは、感染の経時的な推移に注目することが重要です。インドや南アフリカでは、デルタ株の4倍以上の感染力があるオミクロン株が流行しても、新規感染者数や死亡者数は増加しませんでした。その理由は、両国では集団免疫が形成されているからだと考えられます。

 一方で、日本や韓国でオミクロン株が感染爆発を起こしたのは、集団免疫が形成されていない、または一旦形成された集団免疫が失われてしまったからでしょう。そして、その原因が、繰り返されたワクチン接種にあったのではないでしょうか。(ただし、この現象がmRNAワクチン接種を繰り返したことによる免疫抑制によるものか、今回取り上げたADE(抗体依存性感染増強)によるものかはまだ確認されていません)。

 

 いずれにしても、感染者や死亡者を増加させる危険性のあるワクチンを、子どもに接種する意味はあるのでしょうか。(続く)