mRNAワクチンを子どもに接種してもいいのか(3)

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 前回のブログでは、新型コロナウィルス感染後に亡くなった、基礎疾患をもたない10代の症例を取り上げました。その原因は新型コロナ感染症自体にはなく、2回の接種を終えたmRNAワクチンの副反応にある可能性を検討しました。そして、ワクチン接種による重症化の機序として、ADE(抗体依存性感染増強)が出現した可能性を指摘しました。ワクチン接種を繰り返した国々では、却って感染爆発が起こっており、さらに本来は重症化しない若者に重篤な副反応を引き起こしているのです。

 今回のブログでは、mRNAワクチンを子どもに接種した後の、長期的な副反応について検討したいと思います。

 

厚労省の見解は正しいか

 厚労省のホームページに、「新型コロナワクチンQ&A」というコーナーがあり、そこには次のようなQ&Aが載せられています。

 

Q:mRNAメッセンジャーRNA)ワクチンはワクチンとして遺伝情報を人体に投与するということで、将来の身体への異変や将来持つ予定の子どもへの影響を懸念しています。

 

A:mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンで注射するmRNAは短期間で分解されていきます。人の遺伝情報(DNA)に組みこまれるものではありません。

 mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンで注射するmRNAは、数分から数日といった時間の経過とともに分解されていきます。また、mRNAは、人の遺伝情報(DNA)に組みこまれるものではありません。身体の中で、人の遺伝情報(DNA)からmRNAがつくられる仕組みがありますが、情報の流れは一方通行で、逆にmRNAからはDNAはつくられません。こうしたことから、mRNAを注射することで、その情報が長期に残ったり、精子卵子の遺伝情報に取り込まれることはないと考えられています。

 

 厚労省のアンサーには、ワクチンのmRNAは短期間で分解され、長期的な副反応の心配はないと記されています。

 この回答は本当に正しいのでしょうか。

 

ワクチンのmRNAは長期間体内に残る

 厚労省は、「ワクチンで注射するmRNAは、数分から数日といった時間の経過とともに分解されていきます」と答えています。人体に存在するmRNAは、DNAに記録された情報をミトコンドリアに伝えてタンパク質が合成されれば役割を終えます。そのため、mRNAは数分で分解されます。しかし、ワクチンに含まれる新型コロナウィルスのmRNAが数分で分解してしまったら、スパイクタンパク質をほんのわずかしか合成できません。それでは、抗体の産生もままなりません。

 そこで、ワクチンに含まれるmRNAは、メチル基が化学修飾されることによって分解されにくくなった、長寿命のmRNAに作り換えられています。厚労省はその期間が数日と言っていますが、実際にはそんな短期間ではありませんでした。

 ハーバード大学とブリガム・アンド・ウィメンズ大学で行われた研究では、ワクチンのテストが行われた初期の段階で、切断された遊離型スパイクが多くの患者で1ヶ月以上という非常に長い期間、血液中を循環していることがわかっています。

 さらに、Cell に掲載された 論文(Immune imprinting, breadth of variant recognition,and germinal center response in human SARS-CoV-2infection and vaccination)には、コロナワクチンのスパイク抗原とmRNAが、リンパ節胚中心で2ヶ月間持続していることが指摘されています。

 これほど長期間人体に残り続けるワクチンのmRNAが、人体に害を及ぼすことはないのでしょうか。

 

RNAは全身の臓器に蓄積する

 mRNAワクチンは、これまでのワクチンが皮下注射だったのに対して、筋肉注射で接種されます。なぜ筋肉注射かというと、新型コロナワクチンのmRNAを筋肉の細胞に注入し、筋肉の細胞内で新型コロナワイルスのスパイクタンパク質を作らせるためです。作られたスパイクタンパク質に対して、免疫反応を起こさせるという仕組みです。

 しかし、肩に筋肉注射されたワクチンは、想定とは違ってそこに留まりません。筋肉は動きますから、これがポンプの働きをしてワクチンを筋肉の外に押し出します。押し出されたワクチンは、筋肉細胞間の組織液→リンパ管→リンパ節→リンパ本幹→上大静脈→心臓→肺→心臓→大動脈 という経路を通って全身に運ばれます。運ばれたワクチンは、全身の臓器を巡ります。肩の筋肉に留まるmRNAは、ワクチン全体の25%程度だと言われています。

 ところで、ワクチンのmRNAは、脂質ナノ粒子に包まれています。この脂質の膜は、細胞表面の膜にくっつくと、中のmRNAを細胞の中に運び入れる役割を果たしています。つまり、脂質ナノ粒子に包まれたmRNAは、全身のどの細胞にも入り込むことができるのです(これに対してウィルス自体は、特定の受容体がある細胞にしか入り込めません)。

 脂質ナノ粒子は身体全体に循環し、脾臓、骨髄、肝臓、副腎、卵巣に蓄積されることが分かっています。この蓄積が確認されることは、すなわちmRNAが蓄積されることを意味しています。

 

自己の細胞を免疫が攻撃する

 さて、細胞に取り込まれた長寿命のmRNAは、細胞の中でスパイクタンパク質を作り続けます。

 ウィルスのmRNAが安易にヒトの細胞に侵入し、ウィルスのスパイクタンパク質を作ることには問題があります。なぜなら、スパイクタンパク質は紛れもない異物であり、異物を抱えた細胞は、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)クラスⅠ分子に抗原提示を行うからです(MHCは細胞表面にあって「私は自分自身の細胞です」と表明する身分証明書であると同時に、「こんな敵が来ています」というメッセージを送る役割も担っています)。MHCクラスⅠ分子に抗原提示を行った細胞は、免疫的には非自己の細胞、つまり自分の細胞ではないと表明することを意味します。

 そのため、スパイクタンパク質を抱える細胞は非自己とみなされ、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)から攻撃を受けて破壊されます。そうなると、ワクチンのmRNAが蓄積される脾臓、骨髄、肝臓、副腎、卵巣が、自分の免疫によって攻撃され、傷害されることになるのです。

 こうして自らの免疫によって傷害される臓器のうち、特に影響の出やすい副腎と卵巣について検討してみましょう。

 

副腎が機能不全に陥る

 副腎は、腰のあたりに2つ左右対称にある腎臓の上に覆いかぶさるように位置している小さな臓器です。副腎は副腎皮質と副腎髄質と呼ばれる2つの構造で構成されています。

 副腎皮質は、生命活動に必要な副腎皮質ホルモンを分泌します。この副腎皮質ホルモンには、コルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンの3種類のホルモンがあります。

 コルチゾールは、エネルギー源としての糖分を適切に代謝するのに必須のホルモンです。また感染症をはじめとする外部からのストレスにさらされた際、適切に反応するために必要なホルモンです。

 アルドステロンは、水分やナトリウム、カリウムの体内バランスを適切に調整しています。アルドステロンが適切に働くことで、血圧も正常に保つことができます。

 アンドロゲンは性ホルモンの一種類であり、男女ともに産生されています。筋肉量や性欲などに関与しています。

 一方、副腎髄質は、体のストレス反応を調整する機能で、アドレナリンやノルアドレナリンを分泌する役割があります。アドレナリンが脳に情報伝達されると、心拍数や血圧が上昇して血糖値をあげ、ノルアドレナリンが分泌されると、人の意識や思考回路を活性化する役割をもっています。

 このうち副腎皮質の機能不全が起こる病態に、アジソン病があります。

 

アジソン病とは

 アジソン病は「慢性副腎皮質機能低下症」とも呼ばれ、副腎皮質で産生されるホルモンが不足することから引き起こされる病気です。アジソン病は副腎への結核感染やがんの転移によって発症するほか、自己免疫疾患としても起こります。

 自己免疫疾患とは、異物を認識し排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対して過剰に反応し、攻撃を加えてしまうことで症状を起こす疾患の総称です。そうであれば、ワクチンのmRNAが取り込まれた副腎皮質細胞が、自己の免疫から攻撃を受けたとしたら、アジソン病と同様の症状が出現しても何の不思議もありません。

 アジソン病の症状は、初期には脱力感や疲労感、立ち上がった時のめまい(起立性低血圧)が起こります。さらに、吐き気・嘔吐、食欲不振、下痢などの消化器症状、無気力や不安、うつなどの精神症状、そして脱毛や低血糖、筋肉痛などが見られるようになります。また、アジソン病には、皮膚の色素沈着が出現するという特徴もあります。

 通常は慢性的に症状が進行しますが、副腎皮質の出血などがみられる場合には急性に発症して激しい症状を引き起こすこともあります。これはクリーゼと呼ばれ、突然の背中の痛みや吐き気・嘔吐、血圧低下を起こし、意識消失を来すこともあります。

 

慢性的な後遺症

 ワクチンの慢性的な後遺症を、まだ厚労省は認めていません。しかし、ワクチン接種後に生じる急性の副反応の他に、慢性的な後遺症が存在すると主張する人たちがいます。 長尾クリニック院長の長尾 和宏医師は、慢性的な後遺症の治療を積極的に行っている医師の一人です。

 長尾医師は、慢性的な後遺症の症状について、サンテレビのインタビューで次のように述べています。

 

 強い全身倦怠感。疲れやすい。動いたらすぐに疲れる。あるいは胸が痛い。あちこちが痛みが移動する。手足が痛い。食欲がない。人によっては歩きにくい。認知症のように短期記憶が障害される。ものが覚えられない。こういったことを訴える方がいらっしゃいます。

 

 また、「ワクチン後遺症患者の会」結成の発起文書の中では、長尾医師は次のように指摘しています。

 

 呼吸困難、胸の痛み、動悸、異常な倦怠感、しびれ、筋肉のまひ、頭痛、めまい、ブレインフォグ(脳に霧がかかったような状態)など、非常に多岐にわたります。しかし、そのほとんどは治療法が確立されていません。

 学校に行けなくなってしまった子供たちや、家事が出来なくなってしまった人たち、働けなくなり、経済的困難に陥った人も多数存在しています。

 

 以上の症状のうち、「強い全身倦怠感。疲れやすい。動いたらすぐに疲れる」「手足が痛い」「食欲がない」「めまい」「学校に行けなくなったり、家事が出来なくなってしまう」などは、アジソン病による症状と非常に似通っています。

 つまり、慢性的な後遺症の症状の一部は、ワクチンのmRNAが取り込まれた副腎を自己免疫が傷害したことによって生じている可能性があるとわたしは考えています。

 

卵巣の細胞が破壊される

 ワクチンのmRNAが卵巣の細胞に取り込まれた場合には、どんなことが起きるのでしょうか。

 卵巣は、卵子のもとになる卵細胞を維持・成熟させるとともに、プロゲステロンエストロゲンといったホルモンを分泌し、排卵とその後の受精、着床、妊娠といった一連の現象を起こすために重要な役割を果たしています。

 もし、卵巣にワクチンのmRNAが入り込み、自己の免疫によって卵細胞が破壊されれば、将来の妊娠にとって決定的なダメージを受けることになります。そうなれば、「将来持つ予定の子どもへの影響」を心配する前に、子どもを持てない可能性があることを心配するべきです。

 ワクチン接種後の女性に、すでに生理不順などの症状が現れているといいます。子どもの将来のために、このような副反応が考えられるmRNAワクチンは、絶対に接種させてはならないのです。(続く)