なぜブースター接種は、今すぐ打ち止めにすべきなのか(6)

 前回のブログでは、mRNAワクチンが日本社会から死亡者を減少させているのかを、超過死亡数を使って検討しました。

 超過死亡数は、例年に比べてどれだけ死亡者が増えているのかを現す指標です。それによれば、日本で新型コロナ感染症が最初に発生した2020年には超過死亡数は-34,744人で、例年よりも3万4千人以上死亡者数が少なかったのに対して、ワクチン接種が始まった2021年では47,481人の超過死亡数が認められました。これは東日本大震災が起こった2011年以来の大幅な増加です。

 2021年の超過死亡数を詳しく検討すると、同年のコロナ関連死は14,901人ですから、4万7千人の超過死亡数のうち、3万2千人あまり人は新型コロナ感染症以外の原因で例年よりも多く亡くなっていることになります。

 さらに、ワクチンの大規模接種が本格的に行われた2021年6月から12月までの7ヶ月間で28,752人の超過死亡数が出ており、ワクチン接種は日本社会から死亡者を減らしていないばかりか、超過死亡数の増加に何らかの影響を与えている可能性も考えられました。

 そこで今回のブログでは、mRNAワクチンが超過死亡数に与えた影響について、さらに掘り下げて検討したいと思います。

 

新型コロナ死はもっと多かった?

 mRNAワクチンと超過死亡数の関係を検討する前に、ワクチン接種以外の要因についても触れておきましょう。

 まずは、2021年の超過死亡数が増加したのは、実は新型コロナ感染症によるという可能性です。つまり、2021年の新型コロナ感染症による死亡者は14,901人とされていますが、本来は報告されているよりもっと多かったのではないかということです。

 以下は、2021年の超過死亡数の推移と新型コロナ死の推移を示したグラフです。

 

 出典:日本の超過および過小死亡数ダッシュボード/JX通信社 新型コロナウィルス最新感染状況マップ                 

                  図1

 

 図1のように、超過死亡数の波と、新型コロナの死亡者の波は概ね一致します。そのため、2021年の新型コロナ感染症による死亡者は14,901人よりも本来はずっと多く、超過死亡数の増加は、実はカウントされていない新型コロナ感染症死によるものだという指摘も可能です。

 

新型コロナ死は実際はもっと少ない

 しかし、この説明には無理があります。なぜなら、新型コロナ感染症による死亡者数は、本来はもっと少ないと考えられるからです。

 死亡の原因は、PCR検査をして陽性ならば、すべて新型コロナウィルス感染症としてカウントされます。例えば、老衰でもがんでも心筋梗塞でも脳卒中でも、極端に言えば自殺でも交通事故でも、PCRが陽性であれば死因は全て新型コロナウィルス感染症としてカウントされます。しかも、日本のPCR検査のCt値は40から45と言われていて他国よりもかなり高値です。これはウィルスのRNAのほんの一部を拾っているほどの精度であり、咽頭部にウィルスの破片があるだけで、新型コロナウィルス感染症が死因になってしまうのです。

 そのため、新型コロナ感染症による死亡は、正確には新型コロナ関連死(それもかなり広範囲の関連死)と呼ぶべきであるとわたしは考えています。

 いずれにしても、新型コロナ感染症による死亡者数はかなり水増しされており、そのため、超過死亡数の増加を新型コロナ感染症に求めることには無理があるでしょう。

 

新型コロナへの対応が死亡者を増やした

 では、新型コロナの死亡者の波と、超過死亡数の波が概ね一致しているのはどうしてでしょうか。

 それは、新型コロナ感染症への対応が、他疾患の死亡者を増やしたからだと考えられます。そして、その最も大きな要因が、病床の逼迫でしょう。

 第3波、第4波、第5波と新型コロナ感染症の感染が拡大する度に、新型コロナ感染症の重症患者が国公立病院の重症病床を占有しました。そのため、その他の重症疾患の治療が充分に行われなかったという事情がありました。新型コロナ感染症の治療が優先されたため、本来は救えたはずの命が救えなくなったのです。

 なぜ、人口当たりでは世界一の病床がある日本でこのようなことが起こったのでしょう。それは多くの病床を有する私立病院の多くが、新型コロナ感染症の患者を受け入れていない現状があるからです。私立病院や一般開業医が主な構成員になっている日本医師会が、新型コロナ感染症を2類相当とする政策を後押しし、新型コロナ感染症の患者を受け入れない方針を堅持したことがこの惨状を招く要因を作りました。この意味で、超過死亡数を増加させた一因は、日本医師会の対応にあったとわたしは考えています。

 

ワクチン接種が死亡増に拍車をかけた

 こうした現状に加えて、超過死亡数の増加に拍車をかけたのが、mRNAワクチンの接種でした。

 日本の超過および過小死亡数ダッシュボード(日本の超過死亡数・過少死亡数 | exdeaths-japan.org)によれば、2021年において、ワクチンの大規模接種が本格的に行われた6月から12月までの7ヶ月間で、28,752人の超過死亡数が出ています。これは、ワクチン接種が日本社会から死亡者を減らしていないばかりか、超過死亡数の増加に何らかの影響を与えている可能性を示唆するものです。

 さらに、新型コロナ感染症以外の超過死亡数を見てみると、ワクチンの影響がより明確になります。

 新型コロナ感染症以外の死因では、2021年1月から10月までの超過死亡数を計算すると31,115人です。ところが、1月から5月までの5ヶ月間が8,314人であるのに対して、大規模接種開始後の6月から10月の5ヶ月間では22,801人になります。新型コロナ感染症以外の超過死亡数の7割以上(22,801÷31,115×100≑73.3%)が、大規模接種以降に発生しています。

 つまり、mRNAワクチンは、新型コロナ感染症の高齢者の死亡者を減らした一方で、それ以外の疾患の死亡者を増やし、結果として超過死亡者数を増加させたと考えられるのです。

 

呼吸器系疾患の死亡が急増

 超過死亡数の変移を、疾患別に見てみましょう。

 以下の表は、疾患別の超過死亡数を、2021年1月から10月まで、同年1月から5月まで、そしてワクチンの大規模接種が本格化した同年6月から10月までに分けて示したものです(『日本の超過および過小死亡数ダッシュボード』より算出)。

 

                  図2

 

 図2のように、2021年は循環器系疾患、呼吸器系疾患、悪性新生物、老衰、自殺、その他(この中には脳血管系の疾患が多く含まれていると思われます)のすべてにおいて、超過死亡数の増加が見られます。

 ワクチンの大規模接種が始まってからは、自殺以外の全ての原因で超過死亡数のさらなる増加を認めますが、その中で特に増加が目立つのが呼吸器系疾患です。ワクチン接種が本格化する前には超過死亡数はマイナスだったのに、大規模接種が始まってからは超過死亡数が急増しています。

 これは何を意味しているのでしょか。

 

肺炎が急増している

 『日本の超過および過小死亡数ダッシュボード』には疾患の詳細が記されていませんが、超過死亡数が急増した呼吸器系疾患は肺炎が多くを占めていると推察されます。死因となる呼吸器系疾患は、肺炎がほとんどであるからです。

 では、肺炎が急増した原因としては、何が考えられるでしょうか。2021年に新型コロナウィルス以外にはウィルスや細菌の感染の広範な流行は見られませんでしたから、肺炎が急増した要因はむしろ人間の側にあると考えられます。それは、ワクチン接種によってもたらされる免疫力の低下です。

 「ワクチン接種によって抗体価が39倍に上昇した」などという記事が、テレビや新聞で報道されています。これまでに何度も指摘してきましたが、これは望ましいことではなく、長期的には免疫力の低下を導く危険な反応です。

  

免疫力が急激に低下する

 メチル基が化学修飾された長寿命のmRNAによって、ワクチン接種後には多量のスパイクタンパク質が体内で作られ続けます。このスパイクタンパク質に反応して、抗体が多量に作られ、さらに細胞傷害性T細胞が活性化されます。

 しかし、新型コロナウィルスに特化した抗体だけが多量に作られることや、スパイクを産生する細胞が細胞傷害性T細胞に破壊されることは、人体にとって望ましいことではありません。そのため、行き過ぎた体液性免疫と細胞性免疫にストップをかけようと、制御性T細胞が働き出します。この制御性T細胞によって、体液性免疫や細胞性免疫だけでなく、自然免疫までが抑制されます。その結果として、ワクチン接種からわずか半年後には、免疫機能全般が抑制されるのです。

 

自然免疫力の低下が著しい

 ここで特に問題になるのが、自然免疫力の低下です。

 mRNAワクチンは、そもそも自然免疫を賦活化しません。それは、ワクチンを筋肉注射することも関係しています。

 通常のワクチンは皮下注射です。皮下に注射される、毒性を弱められた、または死滅した病原微生物は、マクロファージや樹状細胞といった自然免疫の細胞に取り込まれます。そして、その情報によって細胞傷害性T細胞の活性化や、形質細胞による抗体産生が起こります。

 一方、mRNAワクチンは直接筋肉内に注入されます。そして、筋肉細胞(やワクチンが集積した全身の細胞)の中でスパイクタンパク質を生成し、これが体液性免疫や細胞性免疫を賦活する仕組みです。このように、mRNAワクチンは自然免疫の賦活過程が省略されています。

 それだけではありません。mRNAワクチンが制御性T細胞を誘導するために、自然免疫はさらに抑制されることになります。こうして、mRNAワクチンは、自然免疫を賦活化させないばかりか、接種前の状態よりも却って自然免疫を低下させるのです。

 

免疫力の低下は予想より早い

 自然免疫は、細菌やウィルスに対する最初の防波堤です。そのため自然免疫の低下は、感染に対する防御機能の低下に繋がります。加えて体液性免疫や細胞性免疫までも抑制されていれば、感染した細菌やウィルスによって感染症は重症化します。こうして感染症が増加するだけでなく、重症化した感染症によって亡くなる人が増加することが予想されます。

 特に高齢者の肺炎は、日本人の死亡原因に大きな割合を占めています(肺炎は2020年では8.8%で第5位)。ワクチンによって免疫力が低下すれば、高齢者の肺炎による死亡者が増加するのではないかとわたしは2月21日のブログで予想しました(『mRNAワクチンの副反応は問題にしなくてもいいのか(6)』)。

 今回の統計によれば、ワクチン接種後5ヶ月以内で、呼吸器系疾患の超過死亡数が急激に増加しています。この結果を見ると、免疫力全般の低下は、これまでに想定されていたよりも早く進んでいる可能性があると考えられます。

 

 いずれにしても、ワクチンの2回接種によってこれだけの超過死亡の増加が現れているのです。3回目のワクチンを接種すれば、高齢者の、そして日本全体の超過死亡数を、さらに増加させる危険性が高いことを改めて指摘しておきたいと思います。(続く)