日本政府はなぜ危険なワクチンを買い続けているのか(5)

 前回のブログでは、現在のワクチン行政の基を作った管政権の責任について検討しました。なかでもワクチン接種を強力に推進した、河野太郎ワクチン接種推進担当大臣(当時)が発信している意見の問題点について指摘しました。

 今回のブログでは、引き続き河野大臣の意見について検討したいと思います。

 それでは、河野大臣自身のブログである『ごまめの歯ぎしり』(2021年6月24日「ワクチンデマについて」)の続きを見てみることにしましょう。

 

治験が終わっていないので安全性が確認されていない

 mRNAワクチンはまだ治験中であり、安全性がまだ確認されていないことは、これまで何度も指摘してきました、河野大臣も、この点について言及しています。

 

「『治験が終わっていないので安全性が確認されていない』(というデマに対して)

mRNAワクチンは、基礎研究、動物実験、治験が省略されることなく実施され、リスクを上回る臨床的に意味のある有効性が確認されています。

その上で、いつまで効果が持続するかという長期の有効性を確認するための治験が継続して行われています」

 

 河野大臣の説明には、「基礎研究、動物実験、治験が省略されることなく実施され」とありますが、mRNAワクチンは安全性が完全に確認されて承認された訳ではありません。必要に迫られた日本政府が、審査の手続きを簡略化した「特例承認」を行って2021年2月に接種を開始しました。その後日本政府は、感染症の流行といった緊急時に、代替手段がないことを条件に、ワクチンや治療薬などを迅速に薬事承認できる「緊急承認」の制度を新たに設定し、この法律が2022年5月に成立しています。

 つまり、mRNAワクチンは未だに緊急承認相当、つまり海外での臨床試験の結果のみで承認された薬に過ぎません。日本人での安全性は、未だに確かめられていません(海外でも安全性が確かめられたわけではありませんが)。そのため、すでに承認されている医薬品に対して、引き続き有効性や安全性や適切な使用法などを検討するために行われる試験、すなわち「第四相臨床試験」が行われている薬なのです。

 河野大臣は「リスクを上回る臨床的に意味のある有効性が確認されています」と断言していますが、時が経つにつれ、ワクチンの危険性がますます明らかになっています。

 12月16日の厚労省のワクチン分科会副反応検討部会では、ワクチン接種後の死亡例が1,921人報告されています。さらに、ワクチン接種が開始された2021年からは、超過死亡数が異常に増加しています。例年接種されているインフルエンザワクチンで、このようなことが起こっているでしょうか。

 そして、治験が継続して行われているのは、「いつまで効果が持続するかという長期の有効性を確認するため」ではなく、有効性と共に危険性がないかを検討するためです。危険性がないことが確認されているかのような言い回しは、まるでワクチン接種を誘導するためかのようです。ちなみは、mRNAワクチンの効果はいつまでも持続せず、せいぜい3ヶ月程度でした。そのため、日本では5回目の接種をしなければならなくなっています。

 

長期的な安全性がわからない

 ワクチンの長期的な影響についても、河野大臣は以下のように言及しています。

 

「『長期的な安全性がわからない』(というデマに対して)
mRNAは半日から数日で分解され、ワクチンにより作られるスパイク蛋白も約2週間以内でほとんどがなくなります。

mRNAワクチンが遺伝子に組み込まれることはありません」

 

 「mRNAは半日から数日で分解される」と河野大臣はいいますが、ワクチンのmRNAは、通常のものとは違います。

 ワクチンに含まれるmRNAは、メチル基が化学修飾されることによって分解されにくくなった、長寿命のmRNAに作り換えられています。

 ハーバード大学とブリガム・アンド・ウィメンズ大学で行われた研究では、ワクチンのテストが行われた初期の段階で、切断された遊離型スパイクが多くの患者で1ヶ月以上という非常に長い期間、血液中を循環していることがわかっています。

 さらに、Cell に掲載された 論文(Immune imprinting, breadth of variant recognition,and germinal center response in human SARS-CoV-2infection and vaccination)には、コロナワクチンのスパイク抗原とmRNAが、リンパ節胚中心で2ヶ月間持続していることが指摘されています。

 このように、ワクチンのmRNAやそこから作り出されるスパイク蛋白は、厚労省や河野大臣が説明するように短期間で分解されて消失するものではなく、人体の中で月単位で存在することが分かってきています。

 なお、河野大臣は否定していますが、「mRNAワクチンが遺伝子に組み込まれる」可能性があることは、前回のブログで指摘した通りです。

 

副作用はアナフィラキーだけではない 

 河野大臣は続けます。

 

mRNAワクチンでもアナフィラキシーが起きることがありますが、症状が出るのは接種してから2日以内に限られます。

これまでのワクチンでも、ほとんどの副反応が6-8週間以内に起きることが知られています。

以上のことから、コロナワクチンの長期的な安全性について特段の不安があるということはありません」

 

 昨年の11月5日に愛知県愛西市で、BA.5株対応のワクチンを接種した42歳の女性が急死しました。この事件はテレビや新聞でも、大々的に報じられました。しかし、その報道内容は、急死の原因はアナフィラキシーショックであり、ショックに対する適切な対応がとられていなかったことに原因があるとするものでした。

 アナフィラキシーショックはワクチンの重篤な副作用ですが、mRNAワクチンの重篤な副作用はそれだけではありません。その一つに、ワクチンによって作られたスパイクタンパク質が、血管の内皮細胞を直接傷害することが指摘されてきました。

 実は、それが医学的に証明されつつあります。

  2022年の8月に、高知大学医学部の佐野栄紀(さのしげとし)皮膚科教授らが、スパイクタンパク質が皮膚の病変部に存在することを明らかにしました。佐野教授らは、ワクチン接種後に水痘帯疱疹ウィルス感染症に罹患した患者の患部に、スパイクタンパク質が存在することを、病理組織標本によって証明したのです(RNA -19ワクチン接種後の持続性水痘帯疱疹ウィルス感染は、病変におけるコードされたスパイクタンパク質の存在と関連していた2022年8月25日https://doi.org/10.1002/cia2.12278)。

 

                  図1

 

 図1は、上記の論文中に掲載されている、表皮の丘疹(A,B)と真皮の血管内皮細胞(C,D)で発見されたスパイクタンパク質です(黒を基調とした写真が、抗コロナウイルススパイクタンパク質抗体による免疫染色によるものです。白い矢印が指す緑色の部分が、スパイクタンパク質の存在を示しています)。

 スパイクタンパク質が病変部から発見されたという事実は、スパイクタンパク質の危険性を示すだけでなく、接種後の死亡や後遺症と、mRNAワクチンとの関連性を証明する診断根拠になる可能性があります。

 新型コロナウィルスの抗体には、S抗体とN抗体があります。S抗体は、スパイクタンパク質に対する抗体です。一方、Nはヌクレオカプシドタンパク質の略で、これはコロナウイルスの遺伝子を包む殻であり、N抗体はウィルス本体に対する抗体と見なすことができます。したがって、S抗体が陽性であればmRNAワクチンによって抗体ができている指標となりますし、N抗体が陽性であれば、過去に新型コロナウィルスに感染したことを示しています。

 もし、病変部の組織からスパイクタンパク質が発見され、しかもN抗体が陰性であれば、病変部のスパイクタンパク質が、新型コロナウィルス由来ではなく、ワクチン由来であることの根拠となります。すなわち疾患の原因が、ワクチン接種であることの証明になると考えられるのです。

 現在、ワクチン接種後の死亡例の大部分がワクチン接種との因果関係は不明として処理されていますが、病理組織検査と抗体検査によって、因果関係を証明できる可能性が出てきたと言えるでしょう。

 

ADE(抗体依存性感染増強)は起きるのか

 河野大臣は、さらに続けます。

 

「『ADE(抗体依存性増強現象)が起きる』(というデマに対して)
ワクチンや過去の感染により作られる抗体が、ウイルスの感染を増強してしまうことをADEといいます。

デング熱ワクチンやSARSワクチンでこのようなことが起きたことがあります。

しかし、ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンでは、
高い中和作用がある抗体とバランスのよいリンパ球の動きが確認され、
動物実験でもADEは観察されず、
大規模な治験においてもADEの報告はないことから、新型コロナワクチンに関して、ADEの可能性は考えにくいとされています」

 

 本来ウイルスから身体を守るべき抗体が、逆にウイルスの標的細胞への感染を起こしやすくして、病気の重症化を引き起こす現象が知られています。これを抗体依存性感染増強(antibody-dependent enhancement:ADE)といいます。また、感染を起こしやすくする抗体は、感染増強抗体と呼ばれます。ADEは、これまでにSARSやMARSといった、旧来のコロナウイルス感染症で認められてきました。

 2021年の5月25日に、大阪大学の荒瀬尚教授を中心としたグループが、新型コロナウィルスの感染を増強する抗体を発見したと発表しました。感染増強抗体が新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の特定の部位に結合すると、抗体が直接スパイクタンパク質の構造変化を引き起こし、その結果、新型コロナウイルスの感染性が高くなるといいます。

 以下は、電子家顕微鏡による解析と、その模式図です。

 

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               出典:日本医療研究開発機構 プレスリリース 

                図2

 

 図2のように、感染増強抗体がスパイクタンパク質のNTD(N-Terminal Domain)という部位に結合すると、抗体によってNTDが牽引された結果、スパイクタンパク質の構造が変化し、RBD(Receptor Binding Domain 受容体結合領域)が開いた構造になります。RBDはスパイクタンパク質が細胞の受容体であるACE2と結合する領域であり、閉じた構造のRBDはACE2に対する結合性が低いものの、開いた構造のRBDが増えるとACE2に対する結合性が高くなり、感染性が強くなるのです。

 河野大臣のブログは2021年6月24日に発信されていますから、その時点ではすでに新型コロナ感染症における感染増強抗体の存在は発見されていました。問題は、ワクチン接種によって、ADE(抗体依存性感染増強)が起きるかどうかです。

 

ADE(抗体依存性感染増強)が起こるのは

 新型コロナ感染症では、ウィルスが細胞に侵入しにくくする中和抗体と逆に侵入しやすくする感染増強抗体の両方が、人体の中でできることが明らかになりました。ADE(抗体依存性感染増強)が起こるかどうかは、両抗体がどれだけできるかに拠っています。

 荒瀬教授らの研究には、その点についても言及されています。以下は、中和抗体と感染増強抗体との関係を現したグラフです。

 

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          出典:日本医療研究開発機構 プレスリリース 

                図3

 

 図3のように、中和抗体が充分量あった場合(赤線)には、感染増強抗体が増えても中和抗体はウィルスをACE2受容体に結合させないように作用します。しかし、中和抗体の量が少ない場合(青線と綠線)は、感染増強抗体が増えるにつれ、ウィルスがACE2受容体に結合しやすくなっています。

 つまり、感染増強抗体が産生されると、中和抗体が充分量でないと感染が起こりやすくなるのです。

 

オミクロン株対応ワクチンではADEが起こりやすい

 現在接種されているワクチンは2価ワクチンと呼ばれ、武漢株のmRNAとオミクロンBA.5株のmRNAの2つで作られています。感染増強抗体の認識部位は、オミクロン株対応ワクチンのスパイクタンパク質にも含まれているため、中和抗体だけでなく感染増強抗体も誘導されると考えられます。問題は両者の比率です。

 免疫系は、ウィルスや細菌などの病原体に遭遇した際に、免疫記憶を優先的に利用します。例えばウィルス感染の場合、最初に出会ったウィルス株の記憶が免疫系に残り、その後に同じウィルスの変異株に感染した際にも変異株に特異的な抗体を作らずに、以前の株に対する抗体ばかりを産生してしまうことが起こります。

 この現象は、抗原原罪と呼ばれています。抗原原罪は、ワクチンに対しても起こることが知られています。そのため、武漢株のワクチンを3回も4回も接種された人体からは、武漢株への抗体が優先して作られてしまいます。

 その結果、オミクロン株対応ワクチンを接種すると、武漢型スパイクタンパク質に対する中和抗体は多く誘導されますが、オミクロンBA.5型スパイクタンパク質に対する中和抗体はわすかにしかできないという現象が起こります。

 もし、オミクロン株に対する中和抗体が少ない状況で感染増強抗体が産生されたら、ADE(抗体依存性感染増強)が起こる可能性が高まります。

 つまり、スパイクタンパク質が変異を繰り返した現在のオミクロン株でこそ、mRNAワクチンによるADEは起こりやすくなっているのです。(続く)