前回のブログでは、2022年の日本の超過死亡数が戦後最高の11万3,399人になり、東日本大震災が起こった2011年の5万5千人を遙かに上回って、戦後最高になったことを取り上げました。その数は、先の大戦での東京大空襲の死者数の10万人を上回り、長崎の原爆の死者数12万人に迫る膨大な数であることも指摘しました。そして、2023年は現在までのところ、2022年を超える勢いで超過死亡数が増加しています。
この大事件を、政府も厚労省もマスコミも、不思議なことに足並みをそろえて一切報じません。
それはなぜでしょうか。超過死亡数の膨大な増加が、彼らにとって実に「不都合な事実」であるからでしょう。この事実の原因を追求することが、彼らがこれまでに行ってきたワクチン行政、そしてワクチン報道の重大な問題を明らかにすることに繋がるからです。
では、その重大な問題とは、いったい何でしょうか。そう、それはmRNAワクチンの過剰接種という問題です。
ついに6回目の接種が始まる
オミクロン株対応二価ワクチンの5回目の接種が本格的に始まってから半年が過ぎ、新型コロナの感染者数が増加に転じました。3月13日のブログ『日本政府はなぜ危険なワクチンを買い続けているのか(8)』で指摘したとおり、日本では4月末から5月初旬に感染者が増加し始め、その後に新型コロナ感染症の第9波が起こることが予想されます。
ところで、世界の中で第9波が起こるのは、ブースター接種を続け、二価ワクチンを国民の40%以上も打ってしまった日本だけでしょう(日本に次いで接種をした台湾でも、多少の波は起こるかも知れませんが)。
これだけワクチンを接種し、マスクを続けるなどの感染予防を行ったにも拘わらず、日本だけに感染拡大が起こるのはおかしいという批判を避けるために、厚労省は二つの策を講じました。
その一つが、新型コロナの5類移行後に、都道府県からの報告を国が毎日とりまとめて公表する「全数把握」から、指定した医療機関に週1回報告してもらう「定点把握」に切り替えることです。週に1回の公表によって、感染拡大の様相は見えにくくなるでしょう。
そしてもう一つの策が、ワクチンの6回目の接種です。高齢者や基礎疾患のある人、そして医療・介護関係者を対象に、5月8日からmRNAワクチンの6回目の接種を開始することです。
6回目接種の目的は
世界の国々では、すでに2020年の初め頃からワクチン接種はほとんど行われていません。日本だけがブースター接種を継続し、さらに6回目の接種を始めようとしています。その目的はいったい何でしょうか。
mRNAワクチンが有効なのは、接種後2週間から3ヶ月間に限定した感染予防効果と重症化予防効果です。この効果によって、第9波の出現を見えにくくすることが、6回目接種の目的の一つなのでしょう。
しかし、今回接種するオミクロン対応二価ワクチンでは、期間が限定されたこの有効性すらなく、副作用がさらに増強されていることはこれまでに指摘してきた通りです。そればかりか、mRNAワクチンの接種を繰り返すことで現れる、新たな副作用の出現が危惧されています。
免疫寛容的に働くIgG4
2月13日のブログ『ワクチン接種によってなぜ感染者数は増え、死者数は増加するのか(3)』で検討したように、ワクチン接種を繰り返すと、免疫寛容的に働くIgG4の割合が増加することが分かってきました。
まず、IgG4とは何かについての説明から始めましょう。
IgG(免疫グロブリンG)は血液や細胞外液に存在して、ウィルス、細菌、真菌などの病原体から身体を守るための最も重要な抗体です。IgGには、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4の4つのサブクラスがあることが知られています。
それぞれの働きは、以下のようです。
図1
図1のように、IgG1とIgG3は、病原体を排除するための活発な炎症反応を誘導します。これに対して、IgG4は炎症を起こさないように、すなわち免疫寛容的に働きます。
IgG4は、過剰なアレルギー反応、たとえば食物アレルギーや花粉症などを抑制するためには有効に働きますが、病原体に対して産生されれば、病原体の侵入を見過ごすように働いてしまいます。
ワクチン接種を繰り返すとIgG4が増加する
今年の1月27日の SCIENCE IMMUNOLOGY に掲載された論文(『Class switch toward noninflammatory, spike-specific IgG4 antibodies after repeated SARS-CoV-2 mRNA vaccination』)で、ワクチン接種を繰り返すと、IgG4へのクラススイッチが起こることが指摘されました。
以下は、論文に示されているワクチン接種とIgG全体に占めるIgG4の割合の変化です。
図2
図2のように、post 2nd(2回接種後ー実際は10日後)ではほとんど見られなかったIgG4は、FU post 2nd(2回接種後フォローアップー210日後)、post 3rd(3回接種10日後)、さらにFU post 3rd (3回接種180日後)と進むうちに、その割合を上昇させています。これが4回目接種、5回目接種となれば、IgG4の占める割合はさらに高まることが予想されます。
日本では、村上康文東京理科大学名誉教授が、以下のような結果を示しています。
『【東北有志医師の会 最新動画】ストップ!コロナワクチン定期接種!』のスライドより
図3
図3のように、日本においても、3回目の接種、4回目の接種と進むにつれて、IgG4抗体が増加していることが分かります。
IgG4抗体が増加すると何が起こるか
では、IgG4抗体が誘導されると何が起こるのでしょうか。
IgG4抗体が多く誘導されると炎症反応が起こりにくくなるため、ワクチン接種後の発熱や接種部位の腫脹などの副反応は起こりにくくなります。接種を重ねるうちに、副反応がみられなくなったと感じた方もあるかも知れません。しかし、これは決して良い兆候ではありません。
前出の村上康文名誉教授によれば、IgG4抗体が誘導されるとIgG1抗体を押しのけて新型コロナウィルスに結合するため、ウィルスの排除反応が起きにくくなります。また、補体による感染細胞殺菌効果もみられなくなります。
その一方で、新型コロナウィルスに感染しても炎症反応が起きないため、発熱などの症状が出にくくなります。そのため感染しても気づきにくく、ウィルスの排除は遅れて感染は長引き、スパイクタンパク質によるダメージも長く続くことになります。
たとえ新型コロナに感染しなくても、ワクチンを接種しただけでも同様の現象は現れます。炎症が誘導されないため、mRNAワクチンが産生するスパイクタンパク質を排除することができないからです。
こうしてワクチン接種を重ねるごとに、IgG4抗体は増加して、疫反応は抑制されます。このことが、新型コロナウィルスに感染した際だけでなく、ワクチンを接種した際にも問題を生じさせます。
まず、6回目のワクチンを接種した際の問題点について検討してみましょう。
二価ワクチンで抗原抗体体複合体が形成される
村上康文名誉教授は、オミクロン株対応ワクチンを接種することによって、以下で述べるような危険な副作用が起こる可能性があると警鐘を鳴らしています。
最初の問題点は、オミクロン株対応株ワクチンに、武漢型ウィルスのスパイクタンパク質を作るmRNAが入っていることです。オミクロン株対応ワクチンが6回目の接種になる人は、武漢株のウィルスのスパイク質が体内で作られることが実に6回目になります。村上氏は、同じ抗原が何度も現れることによって、抗体の親和性は極度に高まると指摘します。
『東北有志医師の会〈緊急座談会第二弾!〉オミクロン型対応ワクチンをすすめない理由』村上康文名誉教授のスライドより
図4
ワクチンで誘導された武漢株のスパイクタンパク質に、親和性の増した抗体が結合します。抗体は2本の腕を持っていますから、もう一本の腕でも別のスパイクと結合します。この結合が多数起きると、図4のように巨大な抗原抗体複合体を形成します。この塊が、血栓形成の核になると言うのです。
IgG4では抗原抗体複合体を排除できない
血栓形成の核になる抗原抗体複合体は、毛細血管の目詰まりになったり、脳梗塞や心筋梗塞の原因になるため、早急に取り除かなければなりません。
村上康文名誉教授によれば、IgG4が誘導されると、血液中の抗原抗体複合体除去できなくなくなると言います。
以下は、抗原抗体複合体が除去される過程を示したシェーマです。
『【東北有志医師の会 最新動画】ストップ!コロナワクチン定期接種!』のスライドより
図5
図5のように、抗体がIgG1またはIgG3であれば補体を活性化することができ、補体が活性化されると抗原抗体複合体にC3b分子が結合します。ここで赤血球が重要な役割を果たします。赤血球にはCR1が存在し、このCR1とC3bが結合することによって、抗原抗体複合体は赤血球に結合することができます。赤血球に結合した抗原抗体複合体は、脾臓や肝臓に運ばれて、マクロファージなどに貪食されて除去されるのです。
ところが、IgG4には補体を活性化する機能がないため、抗原抗体複合体は除去さずに、体内に多く残されることになります。
抗原抗体複合体が除去されないと、これが血栓形成の核になります。血栓は全身の血管を詰まらせる要因となり、腎機能障害や脳梗塞、心筋梗塞の原因になると考えられます。そして、抗原抗体複合体が作られる期間は、mRNAが体内に存在し続ける2ヶ月以上にも及ぶのです。
次回のブログでは、ブースター接種を繰り返した人が、新型コロナウィルスに感染した場合の問題点について検討したいと思います。(続く)