超過死亡数の増加が止まりません。日本で新型コロナ感染症が流行し出した2020年の超過死亡数が-3万5,045人だったのに、ワクチン接種が始まった2021年には一転して5万1,878人人に増加し、2022年にはついに11万3,399人にまで増加しました。それだけではありません。死者数の速報値で見る限り、2023年は2022年を上回るペースで超過死亡数が増えているのです。
超過死亡数が、過去最高を更新し続けているのはどうしてなのでしょう。そして、日本社会には、一体何が起こっているのでしょうか。
2022年の超過死亡数は戦後最高
2022年の超過死亡数が、『日本の超過および過少死亡数ダッシュボード』で発表されました。
以下は、2022年の週ごとの超過死亡数を示したグラフです。
『日本の超過および過少死亡数ダッシュボード』より
図1
図1のように、2022年はすべての週で、紫の点線で示される予想死亡数を上回っています。そして、2022年全体では、超過死亡数は11万3,399人に上りました。この超過死亡数は、東日本大震災が起こった2011年の5万5千人を遙かに上回って、断トツで戦後最高になりました。戦時で言えば、東京大空襲での死者数の10万人を上回り、長崎の原爆での死者数12万人に迫るとんでもない数です。
なぜ、マスコミはこれほどの大事件を、まったく報じないのでしょうか。
そこには、何らかの理由がありそうです。
新型コロナ感染症が原因?
超過死亡数が爆増している原因としてまず考えられるのが、新型コロナ感染症です。2022年にはオミクロン株による第6波、第7波、そして第8波が起こりました。2022年は、オミクロン株にによるかつてない感染爆発が起こった年でもありました。
しかし、オミクロン株は重症化することが少なくて致死率が低かったため、2022年の新型コロナによる死者数は、3万9,166人に留まりました。超過死亡数が11万3,399人ですから、その差である7万4,233人はコロナ以外の原因で死亡していることになります。
しかも新型コロナ死は、広義の新型コロナ感染症による死亡数であることにも注意が必要です。現在の死者数のカウントに仕方は、PCR検査で陽性であれば、どのような状態で亡くなろうとすべて新型コロナ感染症による死亡者として扱われます。つまり、どんな疾患で亡くなろうと、極端に言えば交通事故で亡くなっても、PCRが陽性であればコロナ死としてカウントされています。
それにも拘わらず、7万4千人以上の人がコロナ以外の原因で亡くなっているのです。
いったい、その原因は何なのでしょうか。
2022年はブースター接種が開始された年
2022年と言えばワクチンの追加接種、いわゆるブースター接種が始まった年です。
厚労省や推進派の学者は、国民の7割がワクチンを2回接種すれば新型コロナ感染症に対する集団免疫ができると主張し、少なくとも1年間は感染を予防できると説明していました(10年間は大丈夫だと言ったエセ医学者もいました)。その証拠に、mRNAワクチンを2回接種することを、完全接種と呼んでいました。日本はこの完全接種率が83.2%もあるのに、集団免疫は達成されませんでした。そればかりか、2022年は新型コロナ感染の第6波が訪れました。
そこで厚労省は前言を撤回し、「ロケット・人工衛星などが,軌道や飛道に到達するために用いる補助推進装置であるブースター」の名を使って、ワクチンの効果を補助、推進するという名目で「ブースター接種」を開始しました。
ブースター接種は世界一になったが
しかし、感染拡大は、ブースター接種によって制御できませんでした。そればかりか、第7波、第8波という、これまでになかった感染爆発が日本にも起きました。慌てた厚労省はさらなるブースター接種を推進しましたが、感染拡大に歯止めをかけることはやはりできませんでした。
以下は、ワクチン接種と新規感染者数および新規死者数の推移を示したグラフです。
日本経済新聞社 『新型コロナウィルス感染 世界マップ』をもとに作成
図2
図2のように、日本では3回目、4回目、5回目のブースター接種が行われましたが、新型コロナの新規感染者数や新規死者数は抑えることができず、そればかりかワクチンを接種するごとに波が大きくなっているように見えます。
こうした現状を冷静に分析できなかった日本政府と厚労省は、躍起になってさらなるブースター接種を行いました。
その結果、日本は世界でもっともブースター接種が行われた国になってしまいました。
『新型コロナウィルスワクチン接種率の推移【世界・国別】』より
図3
図3のように、延べブースター接種率(人口100人当たりの追加接種回数)では、日本は断トツで世界一を独走する状態になったのです。
この結果は、超過死亡数にも影響を与えました。
ブースター接種と超過死亡には関連が
2023年1月の超過死亡数が、『日本の超過および過少死亡数ダッシュボード』で発表されました。その数は1万6,697人で、昨年の1月の超過死亡数4,385人から大幅に増加しました。
さて、2023年1月の超過死亡数と、mRNAワクチンの延べブースター接種率(人口100人当たりの追加接種回数)の推移を比較してみましょう。
日本経済新聞社『新型コロナウィルス感染 世界マップ』と『新型コロナウィルスワクチン接種率の推移【世界・国別】』より作成
図4
図4をみると、延べブースター接種率が上昇カーブを描いている時期と一致して、超過死亡数も増加していることが分かります。
つまり、mRNAワクチンのブースター接種と、超過死亡数の増加には何らかの関連があると考えられるのです。
接種を継続するなら原因の解明が必要
以上のように、超過死亡数の異常な増加には、mRNAワクチン接種が影響を与えている可能性が考えられます。2021年にワクチン接種が開始されてから超過死亡数が増加に転じたこと、ブースター接種の増加と超過死亡数の増加が連動していることがその主な理由です。
ところがワクチン推進派は、ワクチン接種で超過死亡数が増加したと証明されたわけではないとして、さらにワクチン接種を推進しようとしています。
しかし、考えてみて下さい。超過死亡数が増加しているなら、その原因を解明しなければならないのはワクチン推進派の人たちのはずです。超過死亡数が増加している原因を明確にし、そこにワクチン接種が関係していないことが証明されて初めて、ワクチン接種を継続することができるのではないでしょうか。
こうした極めて当たり前の対応を一切せずに、厚労省は、65歳以上の高齢者と基礎疾患がある人、医療従事者と介護従事者を対象に、5月8日から6回目の接種を始めようとしています。
本当に彼らは、気は確かなのでしょうか。
このままでは、感染爆発や新型コロナ死が増加するだけでなく、超過死亡数の増加も2022年を上回ってしまう恐れがあります。
その理由については、次回のブログで検討したいと思います。(続く)