超過死亡数が過去最高を更新しているのはなぜか(3)

 mRNAワクチン接種を繰り返すことで、誘導されるIgGのサブクラスのうち、免疫抑制的に働くIgG4の割合が増えていくことが明らかになってきました。このことが、超過死亡数の増加に重要な役割を果たしています。

 前回のブログでは、IgG4がワクチン接種後の副作用を増強させてしまう過程を検討しました。オミクロン対応二価ワクチンには、武漢型ウィルスのスパイクタンパク質を作るmRNAが入っています。オミクロン株対応ワクチンが6回目の接種になる人は、武漢株のウィルスのスパイク質が体内で作られることが実に6回目になります。同じ抗原が何度も現れることによって、抗体の親和性は極度に高まるため、ワクチンで誘導された武漢株のスパイクタンパク質に、親和性の増した抗体が結合して、巨大な抗原抗体複合体が形成されます。

 IgG4は、この抗原抗体複合体を排除できないため、体内に多く残されます。この抗原抗体複合体が血栓形成の核になり、腎機能障害や脳梗塞心筋梗塞の原因になるのです。

 今回のブログでは、ブースター接種を繰り返した人が、新型コロナウィルスに感染した場合の問題点について検討したいと思います。

 

IgG4が出現するのは

 ワクチン接種を繰り返すと、IgG4の割合が増加します。IgG4の出現は、遺伝子の組み換えによって出現します。なぜこのような組み換えが起こるかと言えば、mRNAワクチンがスパイクタンパク質を多量に、しかも長期間にわたって産生し続けるためです。

 スパイクタンパク質に対する抗体を作る体液性免疫と、mRNAが入り込んだ細胞を破壊する細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)を産生する細胞性免疫の両者が、共に活性化されます。こうした過剰な免疫を抑制するために制御性T細胞(Treg)が働きだします。これと同調するように、免疫抑制的に働くIgG4が誘導されるのだと考えられます。

 つまり、過剰に働き出した免疫系を抑えるために、遺伝子が組み換えられてIgG4が産生されるようになるのです。

 問題なのは、一度遺伝子の組み換えによってIgG4ができると、次に接種したときにも同じリンパ球が現れて、IgG4が産生され続けることです。

 

IgG4が増加すると何が起こるか

 ここでもう一度、IgG4の働きついて振り返っておきましょう。

 

                  図1

 

  図1のように、 IgG4は、過剰なアレルギー反応、たとえば食物アレルギーや花粉症などを抑制するためには有効に働きますが、病原体に対して産生されれば、病原体の侵入を見過ごすように働いてしまいます。

 これまでのブログで、mRNAワクチンを接種すると制御性T細胞(Treg)が活性化され、制御性T細胞は体液性免疫、細胞性免疫、自然免疫のすべてを抑制することを検討してきました。そのため半年後には、接種前よりも新型コロナに感染しやすい状態になります。

 免疫力が低下した状態において、オミクロン対応二価ワクチンを接種したらどうなるでしょうか。IgG4が多く産生されて、新型コロナウィルスに対する免疫がさらに抑制されることになるのです。

 

感染しても症状が現れない

 極度に免疫が抑制された状態で新型コロナウィルスに感染しても、免疫が抑制されて炎症反応が起きなくなります。そのため、発熱や喉の痛みといった感染症状が現れません。

 一方で、新型コロナウィルスは排除されませんから、激しい症状がみられないまま、ウィルスによるダメージは全身に広がってゆきます。

 その結果どうなるか。

 村上康文東京理科大学名誉教授は、『【東北有志医師の会 最新動画】ストップ!コロナワクチン定期接種!』の中で、肺炎以外の死亡の割合が増えていき、コロナ死ではない死亡が増えていくと指摘します。

 特に高齢者では、症状が現れないまま、そして原因がわからないまま亡くなることが起こります。これは老衰として扱われるだろうと、村上氏は言います。

 つまり、ワクチンの副作用が原因である死亡者に加えて、老衰として扱われる死者が増加するであろう。この二つが超過死亡数を増加させている原因であると、村上氏は指摘しています。

 

老衰による超過死亡数は増えているか

 では、実際に超過死亡の中で、老衰は増えているのでしょか。

 以下は、『日本の超過および過少死亡数ダッシュボード』で公表されている、2021年12月~2022年11月までの老衰死の超過死亡数を示したグラフです。

 

                 図2

 

 図2のように、老衰による死者数は例年よりも明らかに増加しています。

 『日本の超過および過少死亡数ダッシュボード』によれば、2022年1月から11月までの老衰による超過死亡数は、1万753人です。この間の超過死亡数は9万9,246人ですので、超過死亡数に占める老衰の割合は、10.8%になります。

 一方、2021年1月から12月までの老衰による超過死亡数は7万542人で、超過死亡数全体は5万1,839人なので、超過死亡数に占める老衰の割合は、14.5%です。

 2022年に入って、老衰による超過死亡数は増加しているものの、超過死亡者全体に占める割合はむしろ減少しています。

 

ブースター接種による影響は

 では、ブースター接種と老衰死との関係はどうなっているのでしょうか。

 まず、『超過死亡数が過去最高を更新しているのはなぜか(1)』で取り上げた、ブースター接種と超過死亡数全体との関係を見てみましょう。

 

 

 日本経済新聞社『新型コロナウィルス感染 世界マップ』と『新型コロナウィルスワクチン接種率の推移【世界・国別】』より作成 

                 図3

 

 図3のように、ブースター接種が増加している時期に一致して、超過死亡数も増加していることが分かります。

 次に、ブースター接種と老衰死との関係を見てみましょう。

 

 日本経済新聞社『新型コロナウィルス感染 世界マップ』と『新型コロナウィルスワクチン接種率の推移【世界・国別】』より作成 

                 図4

 

 図4のように、ブースター接種が増加した時期と、老衰の超過死亡数が増加した時期は概ね一致しています。

 

オミクロン対応二価ワクチンの影響は

 問題はブースター接種の中でも、効果がないだけでなく副作用が強くなったオミクロン対応二価ワクチンと、超過死亡数との関係です。前出の村上康文東京理科大学名誉教授が警鐘を鳴らしているのは、まさにオミクロン対応二価ワクチンの副作用に対してだからです。

 オミクロン対応二価ワクチンの接種が本格的に始まったのが、2022年の11月からです。ところが、老衰による超過死亡数は、今のところ11月まででしか提示されていません。今後の老衰による超過死亡数の推移が、特に注目されるところです。

 

 実際に介護の現場からは、「最近体調が悪いと言っていた人が、急に亡くなった」とか、「昨日まで普通に生活していた方が、朝起きてこずに亡くなっていた」といった声がよく聞かれるようになっています。

 この現象が、村上氏が指摘するような、「新型コロナに感染しても症状が現れないため、老衰死として扱われる病態」であるのかどうか。超過死亡数の変動を見ながら、検討を続けたいと思います。(続く)