4回目のワクチン接種は、本当に必要なのか(10)

 ワクチンを4回接種した有名人が、次々と新型コロナ感染症に罹っています。萩本欽一さん、山田邦子さん、バイデン大統領、そして8月21日には岸田首相も感染していることが明らかになりました。まるでワクチンが効かないことを、社会に向けて宣伝しているかのようです。

 わたしの勤務している病院でも、ワクチンを3回接種した職員が次々と新型コロナ感染症に感染し、新たに4回目の接種を受けた職員が熱を出して欠勤し、業務に重大な支障を来しています。

 それでも政府は4回目の接種を推進し、5回目接種の準備を始めました。日本は一体、どうなってしまうのでしょうか。

 

ついに延べブースター接種率が世界一に

 日本政府とマスコミ、そしてmRNAワクチンの有用性を訴える医師達が一丸となって推し進めたワクチン接種は大きな成果を上げ、人口100人当たりのブースター接種回数がついに世界一を達成しました(これは、3回目と4回目の接種を合わせたブースター接種率と考えられますが、以下では延べブースター接種率と記載することとします)。

 

                 図1

 

 図1のように、ワクチン接種で世界をリードしてきた韓国を抜いて、延べブースター接種率では、日本がついに世界一を達成しました。mRNAワクチンの製造元であるファイザーとモデルナがあるアメリカでは、延べブースター接種率が未だに40%に達していないことと、まさに対照的です。日本と韓国は、ワクチン行政では「出藍の誉れ」を実践していると言えるでしょう。

 実業家の「ホリエモン」こと堀江貴文氏が、音楽デュオ「ホリエモン&CEOセオ」を組んでいた起業家でアーティストのCEOセオ氏に対し、新型コロナウイルスワクチンを接種していないことを理由に絶縁を突きつけたことが話題になりました。そして、「ワクチンを打ってないことを自慢したり“打つ打たないは個人の自由だ”なんていう人は、本当に社会からいなくなってほしいと思います」と訴えています。

 ホリエモンさん、おめでとうございます。日本はあなたにとって、世界で一番住みやすい社会になりました。

 

新規感染者数を韓国と競う

 その結果、日本の新型コロナ感染症は、世界に先駆けて撲滅されていっているのでしょうか。

 以下は、人口100万人当たりの、最近一週間の新規感染者数を現したグラフです。

 

                  図2

 

 図2のように、新規感染者数の増加において、日本は韓国と世界一を争っています。その伸び率は、世界の平均と比べても断トツです。わたしたちは、新規感染者数を増やすために、一生懸命ワクチンを接種してきたのでしょうか。

 いやいや、ワクチンを打つのは重症化を防ぐためだと主張する方もいるでしょう。しかし、オミクロン株はそもそも重症化しなかったはずです。

 

オミクロン株の致死率は

 2020年9月から2021年3月の第3波の致死率は、2.10%でした。2021年3月から同年6月までの第4波、いわゆるアルファ波の致死率は、1.71%でした。2021年6月から同年12月までの第5波、いわゆるデルタ波の致死率は、0.35%まで下がりました。

 では、2022年から感染が広がったオミクロン株ではどうでしょうか。1月から6月まで広がったBA.2株の致死率は、0.17%でした。6月下旬から感染が急拡大しているBA.5株の致死率は、8月24日の時点で、0.08%まで下がっています。 

 

                 図3

 

 図3は、2022年に入って感染拡大したBA.2株(左の山)とBA.5株(右の山)の新規感染者数と死亡者数の推移を現したグラフです。

 BA.5株はまだ終息しておらず、今後も致死率は上がることが予想されます。しかし、図3を見る限り、新規感染者数ではBA.2株よりBA.5株が大幅に増加しているのに比べて、死者数を現す山ではBA.2株とBA.5株に大きな違いはありません。この傾向から考えると、BA.5株の致死率がBA.2株を超えることはないと思われます。

 つまり、オミクロン株は重症化しなくなってきており、重症化を防ぐためにワクチンを接種する意味は、ますます失われてきていると言えるでしょう。

 

ワクチン接種を重ねると超過死亡が増加する

 その一方で、ワクチン接種を重ねると、副反応が増強する傾向が認められます。

 以下は、『日本の超過および過小死亡数ダッシュボード(日本の超過死亡数・過少死亡数 | exdeaths-japan.org)』から算出した、新型コロナ感染症以外の超過死亡者数です(2022年1月~5月は、ダッシュボードの累積超過死亡者数から1月から5月のコロナ死を引いた数字です)。

 

                  図4

 

 図4で、Ⅰ期からⅢ期は、ワクチン接種の進展と新型コロナ感染の拡大と終息との関係から、2021年を以下のように区分したものです。

Ⅰ期(1月から5月まで):新型コロナ感染症の第3波と第4波によって感染拡大が繰り返される一方で、ワクチンはまだほとんど接種されていなかった時期(5月31日時点の2回接種率3.2%)。

Ⅱ期(6月から9月まで):新型コロナ感染症の第5波で感染が急拡大し、同時にワクチンの大規模接種が開始されて接種率が上昇した時期(9月30日時点の2回接種率62.2%)。

Ⅲ期(10月から12月まで):感染がほぼ終息して医療現場が通常の状態に戻り、行動制限が緩和された一方で、ワクチン接種はさらに進行した時期(12月31日時点の2回接種率79.1%)。

 これまでのブログで検討したように、Ⅰ期における超過死亡は、感染急拡大による病床逼迫のために増加した重症疾患死と、行動制限による高齢者の老衰死が主因になっていると思われます。一方、Ⅲ期における超過死亡の増加は、ワクチン接種に伴う血管性病変、重症感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍などの増加が主因と考えられます。そして、Ⅱ期は両者の原因が重なった時期と捉えることができます。

 これに対して、2022年1月~5月はオミクロンBA.2株が拡大し、同時にワクチンのブースター接種が進んだ時期でした(5月31日時点でのブースター接種率59.9%)。2021年のⅡ期とは、新型コロナ感染症の急拡大とワクチン接種の進展が同時に起こった点で共通しています。

 両時期の超過死亡数を比較すると、2022年の1月~5月は2021年のⅡ期より、月平均で約1,400人増加しています。また、両時期における感染急拡大の影響による超過死亡者数が同程度だったと仮定すると、2022年のブースター接種による超過死亡者数は、2021年Ⅱ期のワクチン2回接種による超過死亡者数の1.44倍になります。

 つまり、ワクチン接種を繰り返すことによって、超過死亡者数はさらに増加しているのです。

 

ブースター接種率の低い国の現状は

 では、ブースター接種をさぼってしまった(?)国の現状は、どうなっているのでしょう。

 図1で、ブースター接種率の低い南アフリカ(6.1%)、インド(9.8%)、インドネシア(21.3%)の、新規感染者数の推移を見てみましょう。

 

                                                             図5

 

 オミクロン株発祥の地である南アフリカでは、BA.2株の山(右から2番目の山)とBA.5株の山(一番右の山)があり、その後6月下旬からは、新規感染者はほぼ終息しています。特筆すべきは、ワクチンを接種していない状況では、BA.5株の山の方がBA.2株の山よりかなり小さいことです。日本では、BA.5株はBA.2株より感染力が1.35倍強くなったと報道されていますが、実はワクチン接種の影響の方がはるかに大きいことが分かります。

 インドやインドネシアでは、デルタ株、オミクロン株の感染急拡大が見られた後、インドでは3月に入ってから、インドネシアでは4月中旬から感染はほぼ終息しています。

 このように、ワクチンの追加接種を行わずに自然感染に任せた国では、現在は感染はほぼ終息しています。BA.5株の感染拡大が一向に治まらない日本の現状からみると、本当にうらやましい限りです。

 なお、第8波の原因にならないかと心配されているBA.2.75株、いわゆるケンタウロス株発祥の地であるインドの感染状況を注視しているのですが、いっこうに感染が拡大する気配がありません。もし今後日本で、ケンタウルス株の感染拡大が起こるようなことがあれば、それはウィルスの感染力の強さではなく、ワクチン接種の結果であることをここで指摘しておきたいと思います。

 

武漢株のワクチン接種を繰り返している

 ワクチン接種が進んだ国で新型コロナ感染症が拡大していることを、不思議に思う方もいるでしょう。その原因は、mRNAワクチンの特性にあります。mRNAワクチンは、接種後2週間後から3ヶ月くらいまでは感染予防効果を発揮します。しかし、その後は効果が急速に減弱し、半年後には免疫力全般が低下して、むしろ新型コロナ感染症に罹りやすい状態になっているのです。

 もう一つ、接種するワクチン自体の問題もあります。

 意外と知られていませんが、ブースター接種に使われるワクチンも、今行われている4回目の接種に使われるワクチンも、最初に中国で感染が拡大した武漢株に対応して作られているワクチンです。つまり、武漢株ウィルスのスパイクタンパク質を作るワクチンを、わたしたちは今も接種し続けているのです。

 これはどういうことかというと、mRNAワクチンを接種するたびに、体内で大量の武漢株ウィルスのスパイクタンパク質が作られます。そしてその都度、武漢株ウィルのスパイクタンパク質に対する抗体が体内で作られています。複数回のワクチン接種は、単にこれを繰り返しているに過ぎません。

 オミクロン株は武漢株と比較して、スパイクタンパク質に30カ所程度のアミノ酸置換(変異)があることが分かっています。武漢株で作られたワクチンが効かなくなってきているのは、ある意味当然であると言えるでしょう。

 

ワクチン接種者の間で感染拡大する

 現在世界中で、同じ抗原を産生させるmRNAワクチンが接種されています。そのことによって、世界中の人に同一の抗体が産生されています。ウィルスに有効な抗体が産生されると、ウィルスはその抗体が無効になるような変異を起こします。抗体が無効になるように変異したウィルスを、免疫逃避株と呼びます。

 ここで、ウィルスの立場に立って考えてみましょう。非常に多くの人が同じ抗体を持っているとしたら、あなたがウィルスだったらどうしますか。きっとその抗体から逃避する変異を起こそうとするでしょう。その抗体から逃避できれば、同一の抗体を持つ多くの人にも感染することができ、他株を淘汰して増えることが可能になるからです。 

 この意味で、ブースター接種が8割を超えてしまった日本では、今後重大な問題が生じる可能性があります。日本人の8割の人が同じ抗体を持っている状況で免疫逃避株が生じると、その株に対しては8割の人の抗体が無効になります。結果として免疫逃避株は、ワクチンを接種した8割の人の間で急速に拡大することになると考えられるのです。

 新型コロナウィルス感染症は、今後はワクチンを接種した人びとの間で流行するようになるでしょう。そして感染拡大は、ワクチン接種をやめない限り続くでしょう。

 

 

 ワクチン接種を推奨して来た人たちは、自分にとって不都合な事実をできる限り見ないようにして、今日もワクチン接種を推し進めようとしています。行き着く先には、取り返しのつかない屍の山が待っているとも知らずに。

 そのときが来て彼らを非難しても、誰も責任をとってはくれません。

 あなたが引き返すことができるとすれば、それは今しかないのです。(了)