なぜブースター接種は、今すぐ打ち止めにすべきなのか(4)

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 前回のブログでは、韓国で感染爆発が起こった理由について検討しました。

 韓国では新型コロナに対して感染対策が徹底され、感染者が極力抑えられてきたため、これまでに国民が新型コロナウィルスに暴露される機会が少なく、自然な感染を経験することで得られる免疫が獲得されてきませんでした。

 それに加えて、韓国はワクチン接種を徹底して推進し、2回接種率やブースター接種率において、欧米を凌駕してきてきました。そのため長期的には免疫が抑制され、さらには感染増強抗体の出現が懸念される状態でした。

 こうした免疫力が低下していた状態にあって、感染力が非常に強いオミクロン株が流行したため、韓国では欧米諸国を越える感染爆発が起こったのだと考えられます。

 今回のブログでは、免疫学の第一人者であり、ブースター接種を推奨している宮坂昌之教授の主張について、ワクチン反対の立場から検討を加えたいと思います。

 

宮坂氏の主張

 大阪大学免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之教授は、4月3日付けの講談社ホームページの中で、以下のように述べています。

 

 感染を収束させるためにやるべきことは決まっています。まずは、マスク着用、3密回避、通風・換気の励行などの感染予防策をしっかりと取ることです。そのうえで、ワクチンの追加接種を推進して感染予防効果を維持するのです。(中略)

 『新型コロナワクチン本当の「真実」』にも書きましたが、自然感染で得られる免疫よりも、ワクチン接種による免疫のほうが質の高いことが科学的にも裏付けられています。ワクチン接種でできる抗体は、自然感染でできる抗体に比べて、ウイルスのスパイクタンパク質に対する結合性が高いため、高い感染予防効果があります。また、ワクチン接種で得られた中和抗体は、自然感染で得られた抗体よりも反応性も幅広いため、複数の変異株を中和できます。しかもワクチンでできた免疫は、追加接種で効果を高めることができます。

 

 このように宮坂氏は、「自然感染で得られる免疫よりも、ワクチン接種による免疫のほうが質の高いことが科学的にも裏付けられています」と述べ、ワクチンの追加接種を推進して感染予防効果を維持する必要性を主張しています。

 

ワクチンよる免疫の方が質が高い?

 宮坂氏の『新型コロナワクチン本当の「真実」』1)には、mRNAワクチンの効果が礼賛されています。同書によれば、ワクチン有効率がファイザー製が95%、モデルナ製が94%で、これは「専門家でさえ予想できなかった驚異的な有効率」であるといいます。さらに重症予防効果が高く、感染予防効果を示すデータも認められるとし、mRNAワクチンは、発症予防効果、重症予防効果、感染予防効果の「3本の矢」の揃った画期的なワクチンであると宮坂氏は指摘します。

 そして、積極的なワクチン接種を行ったイスラエルとイギリスでは、アルファ株の新規感染者が劇的に減少したことを例に挙げて、ワクチンの効果を説明しています。その後に出現したデルタ株に対しても高い有効性が示されたと主張し、デルタ株の感染が増加した現象に対しては、「新規感染者の大半はワクチンの未接種者」と断定しています。

 その一方で、mRNAワクチンの副反応には、「まれな副反応」として、アナフィラキシーショックが挙げられているだけです。

 このように宮坂氏の著書では、mRNAワクチンは、まるで理想的なワクチンであるかのように描かれています。

 

なぜ高い有効性が示されたのか

 宮坂氏の主張するように、mRNAワクチンの有効性が極めて高ければ、ワクチン接種が進めば新型コロナ感染症は終息してゆくはずです。しかし、ワクチン接種をどこよりも推し進めた韓国で、いま感染爆発が起きています。何かおかしいと思いませんか。ワクチンには、本当に高い有効性があるのでしょうか。

 この矛盾が存在するのは、有効性が高いという結果には「トリック」が隠されているからです。

 トリックの一つが、「魔の2週間」と呼ばれる現象の扱い方です。mRNAワクチンを接種してから2週間は、未接種者より新型コロナ感染症の発症率が高いことが知られています。その理由はまだ明確にはなっていませんが、ワクチンを接種後にリンパ球が減少する現象が起こっており、そのことが感染を起こしやすくする要因の一つになっていると考えられます。

 ところが、ファイザーの治験では、この2週間に発症した症例が除外されています。米国CDCのブレークスルー感染指針でも、ワクチンの接種完了時期が、なぜか接種後14日以降とされています。これらには、ワクチンが本当の効力を発揮するまでの期間は除外したいという意図があるのでしょう。しかし、この期間の発症を除外してしまえば、ワクチンが感染を予防する効果を客観的に判断することはできなくなります。それとも、「魔の2週間」を覆い隠したいという明確な意図でもあったのでしょうか。

 

「瞬間最大風速」を現している

 もう一つのトリックが、mRNAワクチンの有効期限がごく限られていることです。ワクチン接種後2週間が経過すると、確かに抗体は驚くほど上昇します。しかし、その期間は短期間に限られます。

 昨年の8月25日に藤田医科大学が、同大学職員209名(男性67名、女性142名)を対象に行った調査結果を発表しています。それによると、ワクチン接種後3ヶ月の抗体価の平均値は、2回目接種後に比べて約1/4に減少していました。

 以下は、それを示したグラフです。

 

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                   出典:藤田医科大学 プレスリリース 

                  図1

 

 図1のように、抗体価の平均値は2回目接種後に比べて3ヶ月後は大幅に低下しており、それは性別、年代を問わず全ての被検者で低下していることが分かります。

 さらに11月15日には、先端医科学研究センターが、医療従事者98名を対象に行った調査結果を発表しました。それによると、ワクチンを2回接種した6ヶ月後には、抗体価は接種ピーク時(1~3週間後)に比べて10 %以下に低下していることが分かりました。

 つまり、抗体価が上昇し、ワクチンが効力を発揮するのは、接種の2週間後から2ヶ月後までのわずか1ヶ月半から、多く見積もってもせいぜい2ヶ月の期間に過ぎません。有効率が94~95%という数字は、まさにこの「瞬間最大風速」を示した数値だったのです。

 

ワクチン先進国では感染が爆発している

 宮坂氏が、ワクチン接種の成功国として挙げているイスラエルやイギリスで、ワクチンが一時的な効果しか発揮せず、両国ともすでに4回目の接種を行っているのは上記のような事実があるためです。

 さらに両国では、韓国と同様に感染爆発も起こしています。イスラエルでは今年の1月18日と19日の二日間で、24万人を超える新規感染者(正確にはPCR陽性者)を出しています。この人数を1日平均にして日本の人口に当てはめると、160万人(!)に相当します。

 イギリスでは、今年の1月30日から2月1日の3日間で、102万人を超える新規感染者が認められました。これを1日平均にして日本の人口に当てはめると、1日あたり64万人に相当します。

 両国や、今回感染爆発を起こした韓国の150万人(日本の人口相当)を目の当たりにすれば、mRNAワクチンが無効であるばかりか、感染を拡大させているとしか思えないのではないでしょうか。

 それなのに宮坂氏はなぜ、未だにmRNAワクチンを礼賛し続けるのでしょうか。

 

不幸な出来事

 わたしは、それには宮坂氏にまつわる不幸な出来事が関係していると思います。

 宮坂氏は、2020年11月の衆院厚生労働委員会参考人として出席した際には、mRNAワクチンの安全性に関するデータが非常に少ないとして、「当面は打たない」と公言していました。しかし、2021年6月になって、「従来ワクチンとほぼ同じレベルの副反応であることが分かった」とし、「打たないチョイス(選択)はない」と言い切って自らもワクチンを接種しました。

 その後に、不幸な出来事は起こりました。宮坂氏の45歳のご子息が、ワクチン接種後に急性くも膜下出血で亡くなったのです。その日は奇しくも、宮坂氏の著書が発行された日と同じ8月20日でした。

 宮坂氏は、「長男はすでに剖検を受け、ワクチン接種と死因とは関係ないことが分かっています」と主張しています。宮坂氏のご子息の死因に、ワクチン接種が関係しているかどうかは、わたしには判断出来ません(くも膜下出血とワクチンの関係を否定するには、出血または血栓部位にmRNAワクチンから導かれたスパイクが蓄積していないことを、遺伝子レベルで証明する必要があります)。

 しかし、宮坂氏自身が、ワクチン接種とご長男の死との関連が絶対にあってはならないと感じていることは推察できます。なぜなら、仮にワクチン接種によって亡くなったとすれば、「打たないチョイス(選択)はない」と言い切った自らの判断が、息子を死に追いやったことになるかも知れないからです。

 したがって、これは無意識的にだと思われますが、宮坂氏にとってmRNAワクチンは、「絶対的に安全かつ有効な存在」でなければならなくなりました。mRNAワクチン接種先進国での現実が一切視野に入らなくなり、宮坂氏が未だにワクチンの効果と安全性を主張し続けるのはそのためだとわたしは考えています。

 

免疫学の第一人者であればこそ

 ご家族の不幸を持ち出して、ご本人の学問的な主張を批判するようなことは、本来はあってはならないことです。ご子息を若くして亡くされた宮坂氏の心中を察すれば、上記のような考察は行うべきでなかったのかも知れません。

 しかし、宮坂氏は免疫学の第一人者と称される人物です。その影響力は、テレビに出演しているような御用学者たちの比ではありません。宮坂氏がワクチンを推奨したことによって、結果的に亡くなり、重篤な後遺症を起こし、長期的な副反応を起こす人が現れることこそが不幸の連鎖だと言えるのではないでしょうか。

 

 わたしは、宮坂氏には世界の現状を客観的に捉え直し、勇気を持ってmRNAワクチン接種に疑念を唱える立場に戻って欲しいと切に願っています。(続く)

 

 

文献

1)宮坂昌之:新型コロナワクチン 本当の「真実」.講談社現代新書,東京,2021.