なぜブースター接種は、今すぐ打ち止めにすべきなのか(5)

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 前回のブログでは、mRNAワクチンには非常に高い有効性があると謳われているのに、現実にはなぜ感染爆発を防げないのか、そして3ヶ月から半年といった短い期間で、頻回に接種を繰り返さなければならいのかを検討しました。

 そこには、接種後2週間は却って感染者が増える「魔の2週間」という現象や、接種後3ヶ月後には免疫力が低下し、6ヶ月後には却って感染しやすくなるというmRNAワクチンの欠陥が隠されていました。今やそうした欠陥は徐々に明らかになり、ワクチンを打っても感染を防げない、ブレークスルー感染という現象が一般に知られるようになりました。

 今回のブログでは、mRNAワクチンの最後の砦ともいうべき、重症化予防効果の「真実」について検討したいと思います。

 

3回接種によって高齢者の重症化を予防

 厚労省は、ワクチンの3回目の接種によって、高齢者の重症化と死亡を防げるとする見解を発表しました。

 以下は、4月13日付けの読売新聞の記事の抜粋です。

 

 新型コロナウイルスワクチンについて、3回接種後に感染した70~80歳代の重症化率、致死率は、2回か1回接種した人と比べ、ともに半減したとの分析結果を、厚生労働省が13日、公表した。オミクロン株の流行下でも、3回目接種の効果が改めて示された。

 調査は、石川、茨城、広島3県の1~2月の感染者約12万人が対象。人工呼吸器の使用や集中治療室で治療を受けた人などを重症者と定義した。

 3回目接種を受けた人の重症化率は、70歳代で0・95%、80歳代で2・15%と、いずれも2回以下の人の約半分だった。致死率でも同様だった。40~60歳代でも、3回接種した人の方が、重症化率は低かった。30歳代以下は重症者が少なく、差がでなかった。

 また、接種歴のない人と比べると、3回接種した60~80歳代の重症化率と致死率は、2分の1から5分の1に抑えられた。90歳代以上では約10分の1だった。

 

 この記事を読めば、3回目のワクチン接種は40歳以上で必要であり、特に70歳代以上では重症化と死亡を防ぐために必須であると思うでしょう。

 この内容を、そのまま受け取ってもいいのでしょうか。

 

超過死亡数で考える

 mRNAワクチンの接種が新型コロナ感染症に対して、高齢者の重症化と死亡を防ぐことは、厚労省の統計が示す通りだと思われます。

 では、ワクチンを接種することによるマイナス面は存在しないでしょうか。ワクチン接種は、高齢者全体の死亡者数を本当に減少させているのでしょうか。

 ワクチンの副反応の詳細が明らかになっていないため、現時点では、マイナス面も含めたワクチンの効果を判断する方法は限られています。そこで、ワクチンが社会全体に対してどのような効果をもたらしたかを判断するために、超過死亡数という指標を用いて検討してみたいと思います。

 超過死亡数とは、「過去のデータをもとに統計モデルから予測された死亡数」と「実際に観測された死亡数」の差として算出されます。つまり、超過死亡数は、例年に比べてどれだけ死亡者が増えているのかを現す指標になります。

 ワクチン接種が開始される前の超過死亡数と、ワクチン接種が開始された後の超過死亡数を比較することによって、ワクチンがどれだけ死亡数を減らすことができたかを間接的に推し量ることができます。

 日本の超過および過小死亡数ダッシュボード(日本の超過死亡数・過少死亡数 | exdeaths-japan.org)を使って、両者の数を比較してみましょう。

 

2020年は超過死亡数が大幅に減少

 まず、日本で新型コロナ感染症が最初に発生した2020年と、ワクチン接種が始まった2021年(実際にワクチン接種が始まったのは2月からですが)の超過死亡数を比較してみましょう。

 以下は、2020年1月から12月までの、週ごとの超過死亡数を示したグラフです。

 

                  図1

 

 図1の水色の棒線が、実際に観測された週ごとの死亡者数です。そして紫の点線が、例年の統計から予測される死亡者数です。点線よりも棒線が高いときには、その差が超過死亡数としてカウントされ、逆に低いときは過小死亡数としてカウントされます。一見して、予想死亡者数よりも実際の死者が少ない週が多いことが分かります。

 このダッシュボードには、累積死亡数も算出されています。それによれば、2020年1月から12月までの累積超過死亡数は18,244人で、累積過小死亡数は52,988人です。

 そのため、この間における超過死亡数は、両者の差である

 

 18,244 - 52,988 = -34,744人

 

となります。

 つまり、2020年の超過死亡数は-34,744人で、例年よりも3万4千人以上死者数が少なかったことになります。2020年にはコロナ関連死が3,491人も存在したにも拘わらず、日本全体では死亡者数が減っていたという、他国では見られない現象が起こっていたのです。

 

2021年には一転して大幅に増加

 次に、2021年の超過死亡数を見てみましょう。

 

                  図2

 

 図2を見ると、2021年では、予想死亡数よりも実際の死者が多い週が目立ちます。実際の超過死亡数はどうでしょうか。

 2021年1月から12月までの累積超過死亡数は60,287人で、累積過小死亡数は12,806人ですから、この間の超過死亡者数は、

 

 60,287 - 12,806 = 47,481人

 

となります。

 つまり、2021年は一転して、4万7千人以上の超過死亡が出ていることになります。東日本大震災が起こった2011年には、5万人を超える超過死亡者数がみられましたから、それ以来の大惨事が起こったことになります。

 その大惨事としてまず挙げられるのが、新型コロナ感染症の感染拡大でしょう。ところが、2021年のコロナ関連死は14,901人です。超過死亡数からコロナ関連死を差し引くと、

 

 47,481 - 14,901 = 32,580人

 

 となり、超過死亡数のうち3万2千人あまりの人は、新型コロナ感染症では説明できません。彼らは、いったいどのような原因で亡くなったのでしょうか。

 

ワクチンは超過死亡数を減らしていない

 まず、2021年の超過死亡数と、ワクチン接種の関係を見てみることにしましょう。

 ワクチン接種は、2021年2月17日に医療従事者から始まり、5月24日には大規模接種が開始されました。2回接種完了者が9月10日には50%、9月30日には60%、10月25日には70%になりました。そして、12月31日の時点では、2回接種率は78.3%に達しました。

 以下は、2021年の超過死亡数と、ワクチン接種の関係を示したグラフです。

 

                  図3

 

 図3のように、ワクチン接種によっても超過死亡数は、全体的に減少していないように見えます。

 ワクチン接種の影響を、もう少し詳しく検討してみましょう。

 ワクチンの大規模接種が2021年5月24日から開始されていますから、ワクチンの効果が発揮されたと考えられる6月から12月の超過死亡数を見てみましょう。6月から12月の累積超過死亡数は34,341人で、累積過小死亡数は5,589人ですから、この間の超過死亡者数は、

 

 34,341 - 5,589 = 28,752人

 

 となります。

 つまり、この7ヶ月間で2万8千人以上の超過死亡数を認めており、ワクチン接種は日本社会から死亡者を減らしていないばかりか、超過死亡数の増加に何らかの影響を与えている可能性もあると考えられます。

 

新型コロナ以外の死者が急増

 超過および過小死亡数ダッシュボードには、死因別の超過死亡者数も算出されています(死因別のデータの算出は、2021年10月までです)。その中で、新型コロナ感染症以外の原因による超過死亡数を見てみましょう。

 以下は、2021年1月から10月までの、新型コロナ感染症以外の原因による週ごとの超過死亡数と、ワクチン接種の関係を示したグラフです。

 

                  図4

 

 図4の全体を見渡すと、ワクチン大規模接種の開始の前と後では、新型コロナ感染症以外の超過死亡数に違いがあるように見えます。

 1月から10月の超過死亡数を計算すると31,115人ですが、1月から5月までの5ヶ月間が8,314人であるのに対して、大規模接種後の6月から10月の5ヶ月間では22,801人になります。つまり、新型コロナ感染症以外の超過死亡数の7割以上(22,801÷31,115×100≑73.3%)が、大規模接種以降に発生しています。このことは、ワクチンの大規模接種が、新型コロナ感染症以外の疾患による超過死亡数を増加させている可能性を示唆しています。

 

その内訳は

 次に、2021年1月から10月までの、新型コロナ感染症以外の疾患別超過死亡数を挙げてみましょう。そして、カッコ内には、大規模接種後の6月から10月までの超過死亡数と、それが全体に占める割合を示してあります。

 

 新型コロナ感染症以外   31,115人(22,801人 73.3%)

 循環器系疾患         9,384人(5,781人 61.6%) 

 呼吸器系疾患         4,171人(5,342人 128.1%

 悪性新生物          1,462人(1,117人 76.4%)

 老衰                                          5,926人(3,596人 60.7%)

 自殺                 55人(-421人 -113.1%

 その他            10,117人(7,386人 73.0%) 

 

 上記のように、2021年は循環器系疾患、呼吸器系疾患、悪性新生物、老衰、自殺、その他(この中には脳血管系の疾患が多く含まれていると思われます)のすべてにおいて、超過死亡数の増加が見られます。

 この中で自殺以外では、ワクチンの大規模接種後に超過死亡数が増加しており、特に、呼吸器系疾患が著しく増加していることが分かります。

 これは何を意味しているのでしょうか。(続く)