わたしたちはなぜ、危険なワクチンを打ち続けているのか(9)

 前回のブログでは、オミクロン対応株ワクチンの副反応が、NHKが報道しているような軽いものではなく、「重篤な副作用」が、これまでのワクチンより何倍も引き起こされる危険性について言及しました。

 そして、厚労省が新型コロナ感染症とインフルエンザの同時流行を危惧し、オミクロン株対応ワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種を推し進めようとしている背景には、度重なるワクチンの接種によって、ウィルス干渉が起こらないほどわたしたちの免疫力が低下している可能性についても検討しました。

 厚労省はワクチンの副作用について、本当はかなり正確に把握しているのではないのか。把握したうえで、それを表面化させないように、さまざまな策を講じているのではないのでしょうか。そこには、ワクチン政策をいったん白紙に戻して、現状に即したものに改変することができない、日本社会の根源的な問題があるのです。

 

ワクチン接種を旅行支援の条件に

 11月1日のFNNプライムオンラインは、オミクロン株対応ワクチンの接種が思ったように進まないことに業を煮やした政府が、ワクチン接種を旅行支援の条件にしようとする案を考えていると伝えています。

 以下は、ニュースの抜粋です。

 

 「オミクロン株対応ワクチンの接種は、9月下旬から始まったが、政府の10月31日の発表では接種率は4.7%にとどまり、政府は、接種率向上の対策を検討している。

 複数の政府関係者によると、12月下旬までの予定の『全国旅行支援』を、2023年1月以降も実施する場合、ワクチンについては、オミクロン株対応の接種を割引の条件とする案が浮上していることがわかった」

 

 オミクロン株対応ワクチンの接種率が未だ4.7%に留まっていることは、今後の感染爆発を防ぐ上での朗報です。それなのに政府は、接種率の上昇をはかるために「全国旅行支援」の割引の条件に、オミクロン株対応ワクチンの接種を挙げようとしているのです。

 

専門家はワクチンのことが分かっていない

 上記のニュースのコメントの中には、次のような専門家の意見がありました。

 以下は、感染症専門医である埼玉医科大学の岡秀昭教授のコメントです。

 

 「必要なワクチン接種を済ませることは確実に重症化を減らすことがもはや科学的に証明されている事実である。しかしワクチンの予防効果は長くは続かず、重症化阻止効果も時間と共に下がってしまうことがわかっているため、安全に社会活動を維持するためには必要なブースター接種を各自が受けておく必要がある。故にワクチン接種はもっと推奨されるべきだ。加えて、コロナ禍以前から南米やアフリカなど一部の国の入国には黄熱ワクチンが必要であった。

 以上から、旅行支援ではなく、旅行の条件にワクチン接種を入れる方がいい。ワクチンが打てない理由の証明を救済条件に、ワクチン接種は旅行移動の必要条件としていくことが接種率向上にもつながるだろう

 

 このように岡教授は、「旅行支援ではなく、旅行の条件にワクチン接種を入れる方がいい」とまで断言しています。

 ワクチンを接種しなければ旅行ができない!

 岡教授の意見は、中国で行われているゼロコロナ政策を踏襲しているかのようです。ここまでの強攻政策を行って、後に重篤なワクチンの副作用が出現したら、それに留まらず、経済活動を停滞させて旅行業者に多大な損失を与えることになったら、責任を負うことができるのでしょうか。

 また岡教授は、「重症化阻止効果も時間と共に下がってしまうことがわかっているため、安全に社会活動を維持するためには必要なブースター接種を各自が受けておく必要がある」と述べていますが、ワクチン接種を繰り返すことによって重篤な副作用が生じるという視点が完全に抜け落ちています。

 感染症専門医は感染症の治療ではまごうことなき専門家ですが、実はワクチンに関しては専門家ではありません。ワクチンを実際に研究、開発している人の多くは、薬学部や獣医学部の先生たちです。そのため、mRNAワクチンに警鐘を鳴らしているワクチンの専門家には、医師ではない人も多いのです。それが理由かどうかは分かりませんが、医師の中には、ワクチンの専門家が発している警鐘に耳を傾けない傾向があるようにわたしには思えてなりません。

 

ヨーロッパはコロナ政策を転換している

 ヨーロッパでは、2020年から2021年初めにかけて、多くの国で人々の外出や行動を制限するロックダウンが実行されました。ワクチンに対しては、ギリシャオーストリアでは60歳以上、イタリアでは50歳以上への接種が義務化され、違反者には罰金が科されました。

 2021年7月からは、EUではワクチンを接種したことを示す「デジタル新型コロナ証明書」、いわゆるワクチンパスポートが運用されました。ワクチンを接種することが、国際間の移動だけでなく、国内における行動の自由、たとえば映画館や飲食店の利用の際などに求められることになりました。

 こうした厳しい感染症対策が執られてきたヨーロッパですが、今ではすでに政策を大きく転換しています。

 イギリスでは2022年の1月27日から、ボリス・ジョンソン元首相がイングランドで導入されていた新型コロナウィルス対策を転換し、公共施設でのマスク着用やワクチン接種証明の提示を廃止しました。

 フランスでは、3月14日からワクチンパスポートによる制限が解除されました。屋外でのマスク着用の義務はすでに2月2日から撤廃されていましたが、5月16日からは、公共交通機関を利用する際のマスク着用の義務も解除されました。

 同時期に、デンマークノルウェーフィンランドアイルランド、オランダ、イタリア、リトアニアスウェーデン、スイスといった国々が、新型コロナ感染症による行動制限を緩和しました。 

 

ワクチン接種が進んでいない

 行動制限の緩和だけではありません。ヨーロッパ諸国のワクチン政策も、大きく転換しています。

 

     『新型コロナウィルスワクチン接種率の推移【世界・国別】』より 

                 図1

 

 図1のように、3回目と4回目の接種を合計した延べブースター接種率は、ヨーロッパ諸国では2020年2月頃から上昇しなくなっています。つまり、ヨーロッパではこの時期から、ワクチン接種を推進する政策を転換し、むしろ接種しない方向に舵を切っているのです(図1では、ベルギーの上昇率だけが突出していますが、ベルギーにはファイザーアストラゼネカジョンソン・エンド・ジョンソンなどのワクチン製造拠点が存在していることと関係があるのかも知れません)。

 ワクチン接種に最も厳しい対応をとっていたイタリアにも、変化の兆しが現れています。初の女性首相となったメロー二政権のオラツィオ・シラチ新保健相は10月28日に、ワクチン接種を受けていない50歳以上の人々に課せられていた罰金を取り消し、ワクチンの接種を拒否して職場から追放されていた医師や看護師が、まもなく病院に復帰することになると発表しました。

 

ヨーロッパでは製薬会社への追及が始まっている

 ワクチン政策が転換しているだけではありません。ヨーロッパでは、ワクチンを製造した会社への追及が始まっています。

 欧州議会のコロナ公聴会では、次のようなやりとりがありました。

 

 議員「ファイザー社のコロナワクチンは、市場に投入される前に、ウィルスの感染を止めるかどうかの実験が行われたのでしょうか」

 ファイザー役員「ワクチンが市場に投入される前に、ワクチンが感染を止めるかどうかについて、われわれが知っていたかという質問ですが、もちろん答えは『ノー』です。ご存知のようにわれわれは、科学のスピードで動いて市場を把握する必要がありました」

 

 この発言に、欧米のメディアはすぐに反応しました。

 FOX NEWSは、感染拡大を止めるかどうか分かっていないワクチンを健康な若者に接種し、接種しない者を反社会的と断罪し、ワクチンパスポートを導入したために人の行動が制限されたこと、そして、これらすべてが公衆衛生の名の下に行われたことを指摘しました。さらに、特定の職業に対してワクチンが義務化され、自分の信念を貫いた人が職を追われ、自宅に監禁までされたことを非難しています。

 また、これらの政策が「ワクチン接種がウィルスの感染拡大を防ぐのに役立つ」という理屈を前提として行われたのであり、これは「現在の最大のスキャンダルの一つである」とまで述べています。

 片や日本では、政府がワクチン接種を「全国旅行支援」の割引の条件にするのか検討を始め、さらに、ワクチン接種を旅行の条件にすることを提案する大学教授がいます。日本では、ヨーロッパ諸国とはまさに正反対の政策を行おうとしているのです。

 

方針を変えられない日本

 11月5日にアストロズの2回目の世界一で幕を閉じた、メジャーリーグワールドシリーズ中継を観ていると、球場を埋め尽くした観客は誰一人としてマスクをつけず、大歓声を上げながらゲームを楽しんでいます。

 3回目と4回目の接種を合計した延べブースター接種率は、アメリカでは11月5日の時点で未だ42.4%です(同日の日本は99.3%)。アメリカには、ファーザーとモデルナというワクチンを製造販売する会社の本社があるにも拘わらずです。

 欧米諸国では、新型コロナ感染症に対して、当初は非常に厳しい対応を執りました。しかし、その効果について常に科学的な検証が行われており、効果がないと判断すれば施策の転換が容易に行われます。

 それに対して日本では、ロックダウンやワクチンの義務化といった強硬な政策は執られませんが、一度決められた方針は変更されずにいつまでも続けられます。致死率がどれだけ低下しても新型コロナ感染症感染症法の2類に分類し続け、感染者が却って急増しても、超過死亡数がとれだけ増えてもワクチンを打ち続けています。このままでは日本は、この冬に世界一の感染爆発を起こし、未曾有の超過死亡者数を出すことになるでしょう。

 

厚労省は生活共同体になっている

 ヨーロッパ諸国がワクチン政策を改め、ウィズコロナ生活に転換し、ワクチンに頼らない日常を取り戻そうとしているのに、日本の厚労省は、相変わらず新型コロナを重症感染症として扱い、ワクチン接種一本槍の方針を変えようとしません。

 なぜ日本人の健康を守ることが最も重要な任務であるはずの厚労省が、国民の健康を害するような政策を、先頭に立って推し進め続けているのでしょうか。

 その理由は、厚労省が一つの「生活共同体」になっているからです。

 生活共同体とは、昔の村落のように、その成員が生活様式、生活の基盤などを共有する集団のことを指しますが、日本では企業や公務員が働く官庁、医療・教育現場、そして政治の世界に至るまで、様々な領域において村落共同体に擬した共同体が形成されています。

 日本の生活共同体では、独特のルールが支配します。それは何よりも「集団の和を保つ」ことが最優先されることです。

 

厚労省厚労省のために働く

 厚労省が一つの生活共同体になり、集団の和を保つというルールを最優先するとどのようなことが起こるのでしょうか。

 和を最重視する日本社会では、集団の決定は、成員の全会一致が目指されます。たとえ決定のプロセスにおいて意見の対立が生じようとも、最終的には互いが意見の違いを乗り越え、一つの意見にまとまることが必要となります。その際に、集団の成員が遺恨を残さないことが最も大切なこととされます。遺恨はやがて集団の和を乱し、新たな諍いや争いの火種となるからです。

 そのため、集団の意思は慎重で丁寧な過程を経て決定され、全員が納得できるような内容に落ち着きます。そのため、共同体の意思が決定されるまでには時間がかかります。

 しかし、一度方針が決定されると、内容は簡単には変わりません。なぜなら、決定の変更は決定を下した者の意見を否定することになり、その変更に遺恨を残すことになるからです。この際に、何が真実であるかは大切なことではありません。集団の和を護ることこそが、最も大切な「真実」になるのです。

 このように厚労省では、厚労省の中の和を護ることが最優先されています。そのため、過去の政策の誤りを認め、大胆な政策転換をすることができません。たとえ政策が国民の健康を害することが明らかになったとしても、厚労省厚労省の中の和を護るために行動し、ひたすら過去の政策を継続させるために働くことになります。

 薬害サリドマイド、薬害スモン、薬害エイズといった事件が繰り返され、今また大規模な薬害ワクチン事件が起ころうとしている背景には、厚労省のこうした根源的な問題が横たわっていると考えられるのです。(続く)