わたしたちはなぜ、危険なワクチンを打ち続けているのか(10)

 ヨーロッパ諸国が新型コロナ政策を改めてウィズコロナ生活に転換し、ワクチンに頼らない日常を取り戻そうとしているのに対して、日本の厚労省は、相変わらず新型コロナを重症感染症として扱い、ワクチン接種一本槍の方針を変えようとしていません。その結果として日本は、この冬に世界一の感染爆発を起こし、未曾有の超過死亡者数を出す可能性が高まっています。

 それだけではありません。厚労省は、10月24日からついに生後6ヶ月から4歳までの乳幼児にワクチンの接種を始めました。乳幼児へのmRNAワクチン接種は、接種後の副反応が問題なのではありません。乳幼児の一生に重大な影響を与え続ける、重篤な副作用が問題になるのです。

 今回のブログは、この点から検討を始めたいと思います。

 

日本小児科学会が乳幼児へのワクチン接種を推奨

 乳幼児への遺伝子ワクチン接種を、あろうことか、子どもの健康を守ることを使命とする日本小児科学会が推奨しました。

 日本小児科学会と言えば、日本の小児科医が所属する学会の親学会(最も中心に位置する学会)であり、小児医療のエキスパートが集まる集団です。その学会が乳幼児のワクチン接種を推奨すれば、医学の素人だけでなく、小児科医以外の医師たちも接種は必要かつ安全であると思うでしょう。

 本当にそうなのでしょうか。

 まず、日本小児科学科のホームページをみてみましょう。学会の各種活動欄の中に、日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会が2022年11月2日付けで出した、「生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」と題した文章が載っています。その表題には、

 日本小児科学会は、生後6か月以上5歳未満のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨します 

と明記されています。

 間違いであって欲しい、今すぐ訂正して欲しいとわたしは願っていますが、これがまごうことなき現実です。

 では、その根拠はどこにあるのでしょうか。

 

重症例と死亡例が増加している

 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会は、まず次の点を挙げています。

 

  • 小児患者数の急増に伴い、以前は少数であった重症例と死亡例が増加しています。
  • 成人と比較して小児の呼吸不全例は比較的まれですが、オミクロン株流行以降は小児に特有な疾患であるクループ症候群、熱性けいれんを合併する児が増加し、また、脳症、心筋炎などの重症例も報告されています。

 

 「以前は少数であった死亡例が増加している」ことに対する論拠は後に出てくるためそこで扱うことにして、まず重症例について検討してみましょう。

 クループ症候群とは、喉頭付近にウイルスの感染やアレルギーで炎症が生じて、咳や声のかすれ、呼吸困難などの症状が起きる疾患の総称です。熱性けいれんは、急な発熱に伴って意識障害、けいれんを引き起こす疾患です。いずれも乳幼児が起こしやすい疾患で、特にクループ重篤な呼吸困難が生じた場合には、早急な治療が必要になります。しかし、両疾患とも、適切な対応が行われれば予後は良好であると言われています。

 問題は重症の脳症や心筋炎ですが、報告例が挙げられているだけで、新型コロナ感染症に罹患した乳幼児に、どの程度の割合で発症しているか、また最近増加しているか否かについては言及されていませんでした。

 したがって、委員会が述べている指摘が、乳幼児にmRNAワクチンを接種しなければならない理由になっているとは考えられません。これらの疾患は早急な治療を行うことが必要であり、むしろ新型コロナ感染症感染症法上の2類から5類に引き下げ、どの病院でも治療を受けられるようにすることの方がより重要ではないかと思われます。

 

ワクチンは乳幼児に有効か

 次に委員会は、ワクチンの有効性について、以下のように述べています。

 

  • 生後6か月以上5歳未満の小児におけるワクチンの有効性は、オミクロン株BA.2流行期における発症予防効果について生後6か月~23か月児で75.8%、2~4歳児で71.8%と報告されました。流行株によっては有効性が低下する可能性はありますが、これまでの他の年齢におけるワクチンの有効性の知見からは、重症化予防効果は発症予防効果を上回ることが期待されます。

 

 ここで述べられている有効性は、ワクチン製造元であるファイザーが示した数値であり、それを何の検証もなくそのまま載せたものです。ファイザーは製品を販売したいのですから、自社製品にとって有利なデータしか取り上げていない可能性を考えておかなければなりません。

 これは何もワクチンに限ったことではありません。新薬が販売されると、医師は製薬会社のMR(Medical Representatives:医薬情報担当者)さんから薬の説明を受けます。MRさんは自社の製品を購入して欲しいため、自社製品の良いところをアピールします。わたしたちは、この情報の中から納得できるものを取り上げ、実際の臨床で使用します。その結果、聞いていた通りの効果が出ることもありますし、思ったより効果が出なかったり、副作用が強く出る場合もあります。この経験を積み上げ、初めてその薬に対する評価は下されるのです。ここで挙げられているワクチンの効果は、こうした発売直後の薬の場合と、同じであることを忘れてはなりません。

 次に、発症予防効果が、生後6か月~23か月児で75.8%、2~4歳児で71.8%とされていますが、これはあくまで「瞬間最大風速」であることを指摘しておきます。

 以下は、オミクロン株出現後の米国ニューヨーク州のデータを調べた査読前のmedrxivに掲載された論文1)をもとに、東京都医学総合研究所が作成したものです。

 

                図1

 

 図1のように、小児の場合では感染予防効果、入院予防効果とも、わずか1か月で減弱しています。成人では少なくとも3ヶ月間は効果が持続したことに比べると、小児の場合は、効果が長続きしないことが際立っています。

 委員会の言う「これまでの他の年齢におけるワクチンの有効性の知見からは、重症化予防効果は発症予防効果を上回ることが期待されます」という文章は、それだけでは意味がよく分かりませんが、図1をみると、1か月後の感染予防効果と入院予防効果を比べて、入院予防効果の方が減弱率が少ないという意味なのでしょうか。

 いずれにしても、成人の場合で言えば、6ヶ月経過すると感染予防効果が、7ヶ月以上経過すると重症化予防効果が、それぞれ接種前よりも低下することは、これまでのブログで検討してきた通りです。乳幼児でも同様のことが、しかも成人よりも短期間で起きる可能性を考えておかなければなりません。

 

死亡例が増加したのは本当なのか

 最初に指摘されている「以前は少数であった死亡例が増加している」ことの根拠を、委員会は以下のように述べています。

 

 厚生労働省及び国立感染症研究所が、関係学会(日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会)と協力して実施した新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例調査結果(2022年1月~8月までに死亡した41例)によると、2022年8月31日時点で実地調査が実施できた症例は41例のうち32例であり、このうち、明らかな内因性死亡(外傷を除く疾病による死亡)と考えられたのは29例と報告され、この29例中の14例(48%)は5歳未満であったことなど、最新の国内小児疫学情報を十分理解しておくことも重要です。

 

 国立感染症研究所の調査結果と聞いて、ピンと来た人もいるのではないでしょうか。NHKはじめ各種ニュースで流されたため、覚えている方もおられるでしょう。

「オミクロン株が広がったことし1月から8月までに発症して亡くなった子どもなど、20歳未満の41人のうち、詳しい状況を調査できた29人について分析した結果、ほぼ半数の15人には基礎疾患がありませんでした」という、あのニュースです。

 この調査結果は、『わたしたちはなぜ、危険なワクチンを打ち続けているのか(4)』で検討しましたので、詳細はそちらを見ていただきたいと思いますが、ここでは要点だけを述べておきます。

 まず、この研究で対象とされた41人は、1月1日から8月31日までの期間に新型コロナのPCR検査陽性で、その後に何らかの原因で亡くなった20歳未満の子どもたちです。つまり、PCR検査が陽性だっただけで、新型コロナ感染症で亡くなったかどうかは分かりません。

 この41人のうち、明らかな内因性死亡(外傷を除く疾病による死亡)と考えられた29例について、「新型コロナウイルス感染後の 20 歳未満の死亡例の特性 」を示したものが、以下の表です。

 

 

                 図2

 

 図2のように、死亡に至る経緯は分類されているものの、死因に関しては新型コロナ感染症によるものか、それ以外の疾患によって起こされたものなのかは検討されていません。

 特に、基礎疾患のない15症例では、循環器系の異常が4例で中枢神経系の異常が5例であり、呼吸器系の異常は0例でした。呼吸器系の異常が原因で亡くなった症例が存在していないことから、新型コロナ感染症が直接の死因になっていない可能性が疑われる結果です。

 報告の中でも、「本報告は、(中略)暫定的な報告であり、今後の調査の進捗にあわせて、情報の更新・修正がなされる可能性がある」と述べられています。さらに「SARS-CoV-2 感染と死亡との因果関係を検討していない点に留意する必要がある」との但し書きが加えられています。

 つまり、この調査結果は、新型コロナ感染症は、あくまで基礎疾患のない子どもでも死亡者が出る可能性があることを暫定的に示した報告にすぎず、新型コロナ感染症において、基礎疾患のない子どもにも死亡者が出ることを証明した論文ではないことには注意が必要です。

 それにも拘わらず、日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会では、この報告を「新型コロナ感染症によって乳幼児の死亡例が増えている」ことの根拠にしています。

 この論理の飛躍は、科学的な検討としては、誠実な態度であるとは言えないのではないでしょうか。

 

副反応はこれだけなのか

 副反応については、委員会の見解では次のように述べられています。

 

  • 生後6か月以上5歳未満の小児におけるワクチンの安全性については、治験で観察された有害事象はプラセボ群と同等で、その後の米国における調査でも重篤な有害事象はまれと報告されています。なお、接種後数日以内に胸痛、息切れ(呼吸困難)、動悸、むくみなどの心筋炎・心膜炎を疑う症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診し、新型コロナワクチンを受けたことを伝えるよう指導してください。

 

 副反応についてのこの見解も、やはりファイザーの資料をそのまま載せたものです。成人で次々と明らかになっている重篤な副作用は、当然この中には含まれていません。

 そして、「治験で観察された」と述べられている点について誤解のないように指摘しておきますが、このmRNAワクチンは、治験を経て安全性が確かめられた薬品ではありません。今もまだ治験を行っている最中であり、未だ「治験段階の薬品」であることを忘れてはなりません。その薬を乳幼児に接種することは、乳幼児を臨床実験に参加させることを意味しています。

 つまり、日本小児科学会は、乳幼児をワクチンの臨床実験に参加させるように、親たちに呼びかけているのです。

 

日本小児科学会は厚労省の下部組織なのか

 以上で、日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会の見解を検討してきましたが、そこで述べられているのは、厚労省のワクチン分科会副反応検討部会の意見と、ファイザーが提出した資料をそのまま採用した提言でした。

 そこには、mRNAワクチンに懐疑的な立場や、わたしのような「ワクチン反対派」の立場の医師と議論を尽くした形跡がほとんど認められません。小児科医のスペシャリスト集団がまとめた提言としては、失礼ながら、大変お粗末なものだと言わざるを得ません。これでは日本小児科学会は、厚労省の下部組織なのかと揶揄されれも仕方がないでしょう。

 

 問題は、今回して指摘した点だけに留まりません。乳幼児期は、免疫が発達して自己と非自己が認識される時期です。この重要な時期に、遺伝子をワクチンとして接種することには、他の年代にはみられない重大な副作用が生じる可能性があるのです。

 次回のブログでは、この点について検討したいと思います。(続く)

 

 

文献

1)Dorabawila V et al., Effectiveness of the BNT162b2 vaccine among children 5-11 and 12-17 years in New York after the Emergence of the Omicron Variant. medRxiv, February 28, 2022.