4回目のワクチン接種は、本当に必要なのか(7)

 日本でオミクロン株の感染拡大が続いています。WHO(世界保健機関)が7月27日に発表したところによると、7月24日までの1週間当たりの日本の新規感染者数はおよそ97万人で、世界で最も多くなっているといいます。これまでに世界で最も感染が少なく抑えられてきた日本で、1週間当たりの人数とはいえ、世界最多の感染者数という不名誉な記録を出した原因は、これまでの検討から明らかでしょう。それはmRNAワクチンの接種率が、世界でトップクラスになったからです。逆にブースター接種率の低い国々では、感染はむしろ終息に向かっています。

 それなのに日本政府や厚労省、そして多くの医師たちは、重症化予防のために3回目、4回目のワクチン接種を行うように勧めています。気は確かか!と言いたくなるような事態です。

 そもそもオミクロンのBA.5株は、重症化しにくく、致死率が低いウィルスです。重症化を恐れて、さらなるワクチンを接種する必要はありません。必要がないばかりか、ワクチンを接種することによって、却って死亡する人が増えている可能性が指摘されているのです。

 今回のブログでは、ワクチン接種と超過死亡数の関係について検討したいと思います。

 

超過死亡数が激増

 2022年に入って、超過死亡数の増加が続いています。超過死亡とは、過去の統計から見込まれる国全体の死者数の推定値を、実際の死者数がどれだけ上回ったかを示す数値のことです。つまり、例年に比べて、死者がどれだけ増えているかを現しています。

 『日本の超過および過小死亡数ダッシュボード(日本の超過死亡数・過少死亡数 | exdeaths-japan.org)』によれば、1月から4月までの超過死亡数は、3万8,133人にのぼりました。2021年の1年間を通しての超過死亡数が4万7,948人ですから、2022年はたった4ヶ月間で、2021年の12ヶ月分の約8割の超過死亡数を出したことになります。仮にこのペースで超過死亡数が増加すれば、2022年は11万4,000人を超える超過死亡者数を出すことになってしまいます。これは前代未聞の出来事でしょう。

 以下は、2021年1月から2022年4月までの、週ごとの超過死亡を示したグラフです。

 

                  図1

 

 図1をみると、2022年の2月から超過死亡数が急激に増加していることが分かります。この時期に、一体何が起こったのでしょか。

 

新型コロナ感染症死か

 この時期に起こったことと言えば、オミクロン株の感染拡大と、新型コロナによる死亡者の増大と、ブースター接種が進んだことです。この3つの出来事を現したグラフを、以下に示してみます。

 

                 図2

 

 図2のように、新型コロナ感染の死亡者数、新規感染者数、ワクチンの接種数とも、2月から4月にかけて増加していることが分かります。

 このうち、超過死亡数に直接影響を与える、新型コロナ感染症による死亡者数について検討してみましょう。

 2022年1月から4月までの新型コロナ感染症による死亡者数は、1万1,177人です。この間の超過死亡数は3万8,133人であるため、両者には2万6,956人の差があります。世界でも同様の現象が起こっているのでしょう。WHO(世界保健機関)は、「新型コロナ感染症で亡くなった人は、実は3倍も多かった」などと発表していることを以前に指摘しました。

 わたしは、この見解は正しくないと思います。なぜなら、新型コロナ感染症による死亡は、ただでさえ過剰にカウントされているからです。PCR検査が陽性であれば、他の身体疾患で亡くなった場合はもとより、自殺でも交通事故死でも全て新型コロナ感染症死としてカウントされる仕組みになっています。さらに日本では、PCR検査のCt値が40から45と他国より高いため(ちなみにCt値が40では、ウイルスの遺伝子がおよそ1兆倍に増幅されています)、ウィルスの破片があるだけで陽性と判定されてしまいます。そのため日本では、新型コロナ感染症死という診断は、実際よりもかなり多く下されていると思われます。

 以上の検討より、超過死亡者数と新型コロナ感染死の差である2万6,956人は、別の要因で亡くなったと判断するのが妥当であると考えられます。

 

感染拡大による影響は

 次に考えられるのは、オミクロン株の感染拡大の影響でしょう。

 2022年の1月から、オミクロン株による感染の急拡大が始まりました。感染者が病院に殺到したため、病院の一部の機能がストップしました。マスコミが感染の急拡大に対して危機感を煽ったために、医療現場は混乱を来しました。

 さらに、致死率の下がったオミクロン株に対して、政府が感染症法の二類相当の縛りを外さなかったため、混乱に拍車がかかりました。新型コロナ感染症の患者が入院出来る病床が、都道府県が指定した病院に限られるからです。都道府県が指定する病院の多くは、重症患者の治療が行われる病院でもあります。そのため、新型コロナ感染症の病床使用率が高まれば、他の重症疾患の治療ができなくなってしまいます。結果的に、本来なら助かるはずの命が失われた事例は多く存在したでしょう。

 また、感染拡大に伴う行動の自粛も、高齢者の健康を損ねた可能性が考えられます。自宅に引きこもってばかりいれば、体力が低下して病気に罹りやすくなります。人との関わりが乏しくなれば、心の健康にも悪影響が生じ、うつ病認知症が悪化することも考えられます。その結果、高齢者の健康寿命、さらには寿命自体を縮めたことは容易に想像できます。

 以上のような死亡者は、新型コロナ感染症が直接の原因ではないにしても、間接的には死亡原因に関わっていることになります。そこで、新型コロナの感染拡大の影響を受けて亡くなったこうした人たちを、ここでは「広義の新型コロナ関連死」と呼ぶことにします。

 これに対して、先に指摘したように、他疾患で死亡してもPCRが陽性のために新型コロナ感染症死と診断されている人も多く存在します。したがって、一般で新型コロナ感染症死とされているのは、正確には新型コロナ関連死であり、これは「狭義の新型コロナ関連死」と呼ぶこともできるでしょう。

 

2021年の超過死亡から考える

 2022年に入って超過死亡数が大幅に増加したのは、広義の新型コロナ関連死が増えたからなのでしょうか。それとも巷間で言われているような、ワクチン接種が原因なのでしょか。両者を検討するための格好の材料があります。それは、2021年の死因別の超過死亡数です。

 『日本の超過および過小死亡数ダッシュボード』には、死因別の超過死亡数も載せられています。2021年の超過死亡数は4万7,948人ですが、新型コロナ感染症以外の超過死亡数は3万7,172人にのぼります。この3万7千人あまりの死因を分析することで、ワクチン接種が超過死亡の原因になっているかどうかが検討できます。

 2021年は、ワクチン接種が本格的に開始された年でした。ワクチン接種は2月17日に医療従事者から始まり、5月24日には大規模接種が開始されました。2回接種完了者が9月4日には50%、9月26日には60%、10月19日には70%になり、12月31日の時点では79.1%に達しました。

 以下は、2021年のワクチン接種率、新型コロナ感染以外の超過死亡数、新型コロナの新規感染者数を現したグラフです。

 

                  図3

 

 図3から、2021年を以下の3つの時期に分けることができます。

Ⅰ期(1月から5月まで):新型コロナ感染症の第3波と第4波によって感染拡大が繰り返される一方で、ワクチンはまだほとんど接種されていなかった時期(5月31日時点の2回接種率3.2%)。

Ⅱ期(6月から9月まで):新型コロナ感染症の第5波で感染が急拡大し、同時にワクチンの大規模接種が開始されて接種率が上昇した時期(9月30日時点の2回接種率62.2%)。

Ⅲ期(10月から12月まで):感染がほぼ終息して医療現場が通常の状態に戻り、行動制限が緩和された時期。一方で、ワクチン接種はさらに進行した(12月31日時点の2回接種率79.1%)。

 この3つの時期の、新型コロナ感染症以外で生じた超過死亡数を比較してみましょう。

 

コロナ関連死による超過死亡

 以下は、『日本の超過および過小死亡数ダッシュボード』から算出した、上述のⅠ期からⅢ期までの、新型コロナ感染症以外の要因で発生した超過死亡者数です。

 

                  図4

 

 Ⅰ期では、第3波、第4波によって新型コロナの感染が拡大しました。二類相当の政策によって重症の治療を行う病床が逼迫し、本来なら助かるはずの重症患者が治療を受けられずに亡くなりました。また、感染拡大に伴う行動の自粛によって、高齢者の健康が損なわれました。その結果、高齢者が病気を発症したり、「老衰」で亡くなる人も増えたと思われます。このようにⅠ期で生じた超過死亡は、広義の新型コロナ関連死によってもたらされたと考えることができるでしょう。

 

ワクチンによる超過死亡

 これに対してⅢ期では、新型コロナの感染はほとんど終息しました。それに伴って政府は経済活動の正常化を目指し、10月から段階的な行動制限の緩和について実証実験を始めました。11月には本格的な緩和を実施して、飲食店では酒類の提供が可能になり、イベントの観客上限が撤廃され、移動の制限もなくなりました。医療現場は平常の状態に戻り、病床の逼迫も解消しました。そのため、この時期には、広義の新型コロナ関連死はほとんどなくなりました。

 では、Ⅲ期で起こったことは何だったでしょう。それは、ワクチン接種の進展です。9月30日で62.2%だった2回接種率は、12月3日には79.1%に達しました。したがって、Ⅲ期で生じた超過死亡は、ワクチン接種の影響が最も大きかったと考えられます。

 ただし、ワクチン接種で生じたと推定される超過死亡は、厚労省 のワクチン分科会で公表される、ワクチン接種後に死亡した事例とは異なります。これはワクチン接種の影響が明らかな死亡事例ですが(厚労省は直接の死因と認めていませんが)、ここで生じている超過死亡は、ワクチン接種によって他疾患に罹患したり、体力が低下して死亡に至るような、一見しただけではワクチンの影響が分かりにくい事例です(その詳細は、次回のブログで検討する予定です)。このブログでは、前者を「狭義のワクチン死」、後者を「広義のワクチン死」と呼んで区別することにします。

 

2022年はコロナ関連死とワクチン死が重複

 2021年のⅡ期は、感染拡大が起こり、同時にワクチン接種も進んだ時期でした。つまり、広義の新型コロナ関連死と、広義のワクチン死が同時に生じた時期だったと考えられます。図4で1ヶ月の平均値を見ると、Ⅰ期の超過死亡数と、Ⅲ期の超過死亡数を合わせた数が、Ⅱ期の超過死亡数にほぼ匹敵するのは、単なる偶然ではないでしょう。

 翻って2022年の1月から4月は、オミクロンBA.2株の感染が拡大し、同時にワクチンのブースター接種が進行した時期でした。したがって、この時期の超過死亡数の増加は、広義の新型コロナ関連死と広義のワクチン死が同時に起こったのだと考えられます。

 ただし、2021年の6月から9月までの新型コロナ感染症以外の超過死亡数が1万9,696人だったのに対して、2022年の1月から4月までの新型コロナ感染症以外の超過死亡数が2万6,956人にのぼっていることには注意が必要です。両年における広義の新型コロナ関連死が同程度であると仮定すると、2021年の6月から9月に比べて2022年の1月から4月は、広義のワクチン死が1.56倍ほど増加していることになります。つまり、ワクチン接種を重ねるごとに広義のワクチン死が増加する可能性があることを、ここで指摘しておきたいと思います。(続く)