日本人はなぜ自立できないのか(2)

 前回のブログで、日本はmRNAワクチンの延べブースター接種率が世界一であることや、超過死亡数が戦後最悪になっていることをほとんどの人が知らない状態で、5月8日から6回目のワクチン接種が始められていることを指摘しました。その背景には、日本政府や厚労省だけでなく、テレビも新聞もワクチンの効果ばかりを伝え、その危険性や問題点を一切報道しない現状がありました。それどころか、主要メディアが情報を意図的にねじ曲げ、自分たちの都合のいいように伝えることさえみられました。

 ただし、問題は政府やメディアだけではありません。こうした偏った報道を盲信し、自分で真実を探ろうとしない日本人の姿勢にも大きな問題点があります。

 今回からのブログでは、この問題点について検討したいと思います。

 

広島サミットは成功したが

 5月21日に閉幕したG7広島サミットについて、岸田首相は法の支配に基づく国際秩序の重要性を世界に発信し、核軍縮に関する初めての声明をまとめるなど、大きな意義があったと強調しました。

 さらに岸田首相は、時の人であるウクライナのゼレンスキー大統領の来日を実現させ、「ゼレンスキー大統領と招待国のリーダーたちを引き合わせたセッションの場で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持し、力による一方的な現状変更は認めないことなどで認識の一致が得られたことは大変大きな意義を持つものだ」と胸を張りました。

 広島サミットは、G7の首脳を原爆資料館に招いたうえで、G7としては歴史上初めて単独の核軍縮に関する『広島ビジョン』を発出するなど、大きな成果を挙げたと言えるでしょう。

 ただし、広島サミットを成功させるために、日本政府が支払った代償が大きかったことも忘れてはなりません。

 

アメリカの戦争」に加担する日本

 ロシアのウクライナ侵攻は、「武力による一方的な現状変更」として非難されるべき行為です。しかし、その背景には北大西洋条約機構NATO)の東方拡大政策があり、ウクライナNATOへの加盟を表明したことへのロシアの焦りがあったことも事実です。そして、その背後にはアメリカが戦争に加担し、ウクライナに対して巨額な武器供与を行っているという現実も存在しています。

 さらにG7各国首脳は、ロシアによる侵攻が続くウクライナへの支援を「必要な限り継続する」と約束しました。また、バイデン大統領に同行していたホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は、NATO北大西洋条約機構)の加盟国が、ウクライナが求めているF16戦闘機をウクライナに供与することを決めた場合には、これを容認する考えを示しました。

 一方、日本には武器供与に制約があるため、これまで非軍事分野に限って支援を行ってきました。ゼレンスキー大統領と会談した岸田首相は、日本からの追加の支援として、自衛隊が持つトラックなど100台規模の車両を提供することなどを伝えました。今後は関係省庁による「ウクライナ経済復興推進準備会議」を立ち上げて、官民による支援体制を推進することになります。

 このようにウクライナ戦争では、ウクライナの後ろにアメリカのバイデン政権が存在し、アメリカの軍需産業ウクライナの戦争を支えているという側面が存在します。アメリカの軍需産業を潤すための戦争に、G7を通して、日本も加担することを表明することになったのではないのか。この構造は、アメリカの製薬会社を潤すために、ワクチンの接種を続ける日本の姿と重なりはしないでしょうか。

 原爆資料館に訪れることを嫌がったバイデン大統領を説得し、献花までさせた代償として、日本はウクライナ戦争を継続するための費用を、供与し続けなければならなくなったのです。

 

LGBT法案を国会に提出

 5月18日に、自民党公明党と合同で、LGBT理解増進法案を国会に提出しました。

 LGBT理解増進法とは、レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランジェンダーに対する理解を深め、差別を禁止するための法律ですが、トランスジェンダー、すなわち身体的な性と心の性が異なる人たちの扱いをめぐって、大きな懸念が示されています。

 トランスジェンダーは従来、性同一性障害の診断で、疾患として扱われていました。しかし、近年トランスジェンダーは疾患ではなく、性自認であると主張されるようになってきました。つまり、病気でなく単なる個性にすぎないというわけです。

 しかし、このトランスジェンダー性自認を法制化してしまうと、大きな問題が生じます。性自認は心の問題であり、証明のしようがありませんから、自分は心は女性だ、男性だと主張すれば、他者がそれを否定することができないからです。

 もし、LGBT理解増進法という差別禁止法が成立すれば、身体が男性であるのに心は女性であると主張すれば、女子トイレや女湯に侵入しても罰せられなくなります。そればかりか、非難した人を差別したと糾弾することさえできるのです。こうした問題は、すでに欧米では頻発して社会問題化しています。そして、アメリカではLGBTを子どもに理解させるための教育が学校で行われることに対して、賛否の声が巻き起こっています。

 日本では、従来の婚姻制度、家族制度、戸籍制度が維持できなくなるだけでなく、男系男子の皇位継承という原則が崩れかねないという問題もあり、国家の根本原理を破壊する可能性さえある非常に危険な法律であると言えるでしょう。

 これほど問題のある法案を、自民党がサミット前に国会に提出したのはなぜでしょうか。

 

駐日米大使の内政干渉

 ラーム・エマニュエル在日米国大使が、LGBT理解推進法の成立に積極的動いています。

 エマニュエル大使は、4月24日の東京レインボープライドのパレードに参加しました(東京レインボープライドは、LGBTQ、いわゆる性的少数者が差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現を目指した団体です)。

 以下の写真は、レインボープライドに向かうエマニュエル大使です。

 

                    「エマニュエル大使のツイート」より

                  写真1

 

 アメリカの駐日大使が、特定の主張を持つ団体のデモに参加するのはいかがなものかと思いますが、エマニュエル大使の活動はさらにエスカレートします。

 5月12日にはビデオメッセージを公開し、同性婚など性的マイノリティに関する日本の状況ついて、「差別が許される国などありません」と指摘したうえで、「日本には今、希望の兆しが見えています。誰一人取り残さない社会を実現するときです」と延べ、LGBT理解増進法の推進を後押ししています。

 5月17日には立憲民主党の泉代表をアメリカ大使館に呼び、LGBT理解増進法について意見交換しました。翌18日には、自民、公明両党が同日国会に提出したLGBT理解増進法案について、「岸田文雄首相をはじめ、自民ならびに公明幹部のリーダーシップと、差別の撤廃と平等の推進に向けた行動に賛辞を贈りたい」と述べました。

 エマニュエル駐日大使の一連の言動は、日本の政策を誘導しようとする明らかな内政干渉であると言えるでしょう。自民党は、この内政干渉に抗議の声を上げないばかりか、エマニュエル大使の主張に唯々諾々と従っているようにしか見えまません。

 

アメリカの意向には逆らえない 

 以上で検討してきたように、ワクチン行政にしろ、ウクライナ戦争への対応にしろ、LGBT理解増進法にしろ、現在の政府自民党は、アメリカの意向に逆らうことができません。たとえその内容が、国民の健康を害し、国の財政を悪化させ、日本の国柄を破壊するものであっても、いっこうにお構いなしです。日本がどうなろうと、ただただアメリカの意向に従うことしかできなくなっているのです。

 そして、それはマスコミも同様です。日本のマスコミは、時に政府との対決姿勢を顕わにしますが、アメリカ政府の意向を非難することはありません。それは、ワクチン接種推進一辺倒の報道や、ウクライナ戦争での反ロシア一辺倒の報道からも明らかです。LGBT理解増進法案に至っては、その重大性にもかかわらず、報道すらされません。マスコミも、対米追従という姿勢には変わりがないのです。

 実はわたしたち日本国民も、同じ姿勢を示しています。アメリカの意向には反抗できず、知らず知らずのうちにアメリカに追従してしまっています。そして、この追従が無意識のうちに行われていることに、問題の深刻さがあります。

 

 この事実に気づき、アメリカへの従属から脱することができなければ、日本人は「21世紀のアメリカの奴隷」と化してしまう危険すらあるのです。(続く)