日本政府はなぜ危険なワクチンを買い続けているのか(10)

 前々回のブログでは、アメリカが自国で打たなくなったワクチンを東アジアの3ヶ国、日本、台湾、韓国に多量に輸出していること、特に日本は、その結果として延べブースター接種率で世界一を独走していること、さらにこの3ヶ国が、アメリカの軍事力に依存していることを指摘しました。

 また、新自由主義が席巻する世界中で躍進している企業は、利益を上げることに心血を注いでおり、多くの商品を消費させるために消費者を依存状態にする手法が常態化していることにも言及しました。mRNAワクチンも依存症ビジネスの一角を担っていて、まさに日本人はその犠牲者になっています。

 今回のブログでは、なぜ日本人は、ワクチンビジネスの犠牲者にならざるを得なかったのかを、軍事的な問題とも絡めて検討したいと思います。

 

軍事的緊張が高まっているのに何もできない日本

 ロシアが2022年の2月4日にウクライナに軍事侵攻を開始してから、すでに1年以上戦争が続いています。また、独裁体制をいっそう強固にした習近平総書記は、台湾統一に強い意欲を示しており、いつ軍事侵攻が起こってもおかしくない状況です。昨年の8月2日に、当時のアメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問した際には、これに抗議した中国は、台湾周辺の海空域を舞台とした大規模軍事演習を行いました。その際に台湾近海に9発の弾道ミサイルを発射していますが、そのうち5発が日本の排他的経済水域EEZ)内に落下しています。さらに北朝鮮は、2023年に入ってからだけでも、ミサイルを3月27日までに少なくとも18発以上(!)日本海に向けて発射しています。

 このように日本近隣には、習近平プーチン金正恩という独裁者が支配する3ヶ国が存在し、しかもそれぞれの国がいずれも実際に武器を使用しているという、非常に緊迫した状況があります。

 こうした切羽詰まった状況にあるにも拘わらず、日本の国会では、敵基地に攻撃を加えるのは憲法に抵触するか否かという、現実の問題から乖離したような議論が交わされています。

 その一方で、2014年~2015年の安倍政権下において、『放送法の政治的公平』について総務省が記録した文章について、当時の高市早苗大臣が発言した部分が事実と異なるか否かについて、国会で延々と議論が続けられています。

 日本の緊急時に、日本の政治家たちは、一体何の議論を行っているのでしょうか。彼らには、日本国民の生命と財産を守ろうという意志が全く欠如しているとか思えません。

 

平和憲法を遵守している

 立憲民主党を始めとした、野党のていたらくは言うまでもありません。では、自民党はどうかというと、これもほとんど頼りになりません。

 それが顕著に現れているのが、憲法の改正問題でしょう。現在のような切迫した危機的状況において、憲法九条を改正しようという動きがまったく見られないからです。

 念のために、憲法九条の条文を振り返ってみましょう。

 

第九条【戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認】 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

② 前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 

 国際紛争を解決する手段としての戦争を永久に放棄し、戦争を行うための陸海空軍の戦力を保持しないとするこの条文は、まさに平和な世界を希求するための究極の理想を謳いあげています。こんな世界が実現したなら、どんなに素晴らしいことでしょう。

 しかし、現実の国際情勢は、このような「正義と秩序を基調とする」美しい世界ではありません。21世紀に至っても、自国の領土を守るために、または自国の領土を拡大するために世界各地で戦争が続いています。少しでも隙を見せれば、領土を奪われることは現在においても世界の常識です。現実の世界では、各国が自国の利益を追求し、実利の収奪が繰り返される弱肉強食の日常が繰り広げられていることが、ますます明らかになってきています。

 「日本が平和なのは、平和憲法が存在するからだ」というほとんど妄想レベルの信念を抱いている野党は論外としても、政権を担う自民党からも、憲法九条を改正して、国防軍の存在を認め、自らの国は自らの意志と力で防衛することを、憲法に明記しようという意見が出ないのはどうしてなのでしょうか。

 

防衛費は増額したが

 もちろん日本政府が、何もしていないわではありません。令和5年度予算では、さすがに防衛費は増額しました。

 

      「令和5年度防衛関係予算のポイント」財務省渡辺主計官 より

                   図1

 

 図1のように、防衛関係予算は、令和4年の5.4兆円から令和5年には6.8兆円へと26%増額されています。この増額自体は必要なことですが、問題はその中身です。  

 以下は、その概要です。           

      「令和5年度防衛関係予算のポイント」財務省渡辺主計官 より

                   図2

 

 図2にみられるように、令和5年度防衛予算のうち、装備品の購入が歳出ベースで1.4兆円(全体の21.2%)、契約ベースで3.5兆円(全体の31.5%)が振り当てられています。装備品のうち、トマホーク(米国製巡航ミサイル)やイージスシステムなど、アメリカから購入するものが多くを占めていると思われます。さらに、アメリ在日米軍基地対策として、0.5兆円が計上されています。

 

アメリカの軍事力に依存している日本

 憲法九条を堅持し、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄している限り、日本は他国の侵略から国土と国民を守ることはできません。

 そのため、日本はアメリカ軍に基地を提供して駐留費を払い、日本を守ってもらっています。それだけでなく、アメリカから多額の軍事装備品を購入し、アメリカの軍需産業の経営に貢献しています。

 まるでその姿は、「いかなる暴力にも反対する」と高らかに宣言しながら、近隣の暴力団から身を守るために、高いショバ代を払って家の一室にギャングを住まわせている平和活動家のようです。この平和活動家が自分の身を自分の力で守れないように、日本も自らの国を自らの力で守ることができていません。

 つまり、日本はアメリカの軍事力に依存した状態であり、自立した国家だとは言いがたい状態なのです。

 

日本は真の独立国ではない

 アメリカ軍が撤退してしまえば、日本は他国から征服されてしまう危険性が高まります。ウクライナの状況をみれば、それは決して他人事ではありません。そのため日本は、その代価としてアメリカ軍に基地を提供して駐留費を払い、アメリカから多額の軍事装備品を購入しています。

 見方を変えれば、日本ではアメリカ軍の占領状態が続いているのであり、未だに国家として独立できていない状態にあるのだと言えるでしょう。

 アメリカに依存し、真の独立を果たせていない日本は、アメリカ政府の意向に逆らうことができません。そのため日本政府は、常にアメリカ政府の顔色を窺い、アメリカ政府の意向に従ってきました。田中(角栄)内閣と安倍内閣を除けば、この姿勢は日本政府の一貫した態度であったと思われます。

 この姿勢の延長線上に、日本政府によるワクチン購入の問題が起こっているのではないでしょうか。(続く)