前回のブログでは、日本のオミクロン株の急速な拡大が、mRNAワクチン接種の副反応によってもたらされた可能性について検討しました。
メチル基が化学修飾された長寿命のmRNAによって、ワクチン接種後には多量のスパイクタンパク質が体内で作られ続けます。このスパイクタンパク質に反応して、抗体が多量に作られ、さらに細胞傷害性T細胞が活性化されます。
しかし、行き過ぎた体液性免疫と細胞性免疫にストップをかけるために、制御性T細胞が働き出します。この制御性T細胞によって、体液性免疫や細胞性免疫だけでなく、自然免疫までが抑制されます。その結果として、ワクチン接種からわずか半年後には、免疫機能全般が抑制されてゆきます。今回のオミクロン株の感染爆発は、mRNAワクチンの免疫抑制によってもたらされたのだと考えられます。
mRNAワクチンの副反応は、オミクロン株の感染爆発に留まりません。繰り返される免疫抑制によって、他疾患の発症を誘発する可能性があるのです。
今回のブログからは、この問題について検討したいと思います。
mRNAワクチンは重症化と死亡を防ぐのか
mRNAワクチンは、当初90%以上の予防効果があると言われました。しかし、ワクチンを二度接種したにも拘わらず、どの国も感染拡大を抑えることはできませんでした。さらに感染力が増強したオミクロン株が発生するに及んで、ワクチンでは感染を防げないことが明らかになりました。
そこで、ワクチン接種を推進したい人たちは、mRNAワクチンの重症化予防効果を強調するようになります。
厚労省のホームページでは、次のように喧伝されています。
イスラエルで実施された、ファイザー社のワクチンの接種後の情報を集めた研究では、追加接種した場合における入院予防効果は93%、重症化予防効果は92%、死亡に対する予防効果は81%であったと報告されています。さらに、60歳以上で追加接種を受けた場合では、追加接種を受けなかった場合と比較して、感染例の発生率が11.3分の1、重症例の発生率が19.5分の1であったとの報告もあります。
最近では、アメリカのCDC=疾病対策センターが、オミクロン株が広がった12月4日以降の死者数について、ワクチンの追加接種を済ませた人は10万人あたり0.1人だったのに対して未接種の人は9.7人に上り、死亡率が97倍だったと発表しました。
こうした発表を見聞きすれば、mRNAワクチンは重症化を防ぎ、死亡者を減少させるのだと誰しもが思うのではないでしょうか。
しかし、これは一時的な効果に過ぎません。時間が経てば重症化予防効果がなくなることは、ワクチンを4回接種したにも拘わらず、死亡者が増加している現在のイスラエルの状況をみれば明らかです。
mRNAワクチンの副反応は無視していいのか
厚労省のワクチン分科会副反応検討部会では、mRNAワクチンの安全性には問題がないと報告されています。しかし、分科会に上がっている資料をていねいに読むと、1月21日までにワクチン接種後に1,438人の死亡者と6,380人の重篤者が報告されています。これらは決して無視していいような数字ではありませんし、報告されていないものを含めると、その数はもっと多くなるでしょう。
さらに、mRNAワクチンの免疫抑制作用を考えると、他の感染症の誘発や持病の悪化、悪性腫瘍の発症や増大が起こっている可能性が考えられます。また、身体症状の悪化を苦にして自殺を遂げる人も存在するでしょう。
このように考えると、ワクチンの一時的な重症化予防効果に注目するだけでは、ワクチンの有用性を判断することはできません。ワクチンを打つことによって、社会全体では、長期的にどのような影響があるのかを考える必要があります。
このような社会全般への影響を検討するうえで参考になる指標が、超過死亡数です。
超過死亡とは
災害、異常気象、伝染病、飢餓、戦争などの影響を推測するために、超過死亡数という概念があります。
超過死亡数とは、「過去のデータをもとに統計モデルから予測された死亡数」と「実際に観測された死亡数」の差として算出されます。つまり、超過死亡数は、例年に比べてどれだけ死亡者が増えているのかを現す指標です。
日本の超過および過小死亡数ダッシュボード(日本の超過死亡数・過少死亡数 | exdeaths-japan.org)を使って、新型コロナ感染症に対する超過死亡数を算出してみましょう。
新型コロナ感染症の超過死亡
まず、日本で新型コロナ感染症が最初に発生した2020年1月から、現在ダッシュボードで情報が公開されている2021年10月までの、週ごとの死亡者数を見てみましょう。
図1
図1の水色の棒線が、実際に観測された週ごとの死亡者数です。そして紫の点線が、例年の統計から予測される死亡者数です。点線よりも棒線が高いときには、その差が超過死亡数としてカウントされ、逆に低いときは過小死亡数としてカウントされます。
グラフの全体を見てみると、2020年の1月から12月初旬頃までは過小死亡が多く、12月下旬から2021年の10月までは超過死亡が多いことが分かります。
次に、超過死亡者数を出してみましょう。
このダッシュボードには、累積死亡数も算出されています。それによれば、2020年1月から2021年10月までにおける累積超過死亡数は73,054人で、累積過小死亡数は63,776人です。
そのため、この間における超過死亡数は、両者の差である
73,054 - 63,776 = 9,278人
となります。
この期間における新型コロナ感染症の死亡者が18,267人ですから、超過死亡数は感染者の死亡者数の半分程度に抑えられていることになります。社会全体でみれば、日本はこの感染症に何とか対応していると言えるでしょう。
第3波から超過死亡が続いている
しかし、問題はあります。2020年12月は第3波の最中でしたが、この第3波の途中から第5波までは、ほとんどの時期で超過死亡の優位が続いていることです。
これは、新型コロナ感染症の影響でしょうか。
2021年10月までの、新型コロナ感染症による死亡者の推移と、超過死亡のグラフを重ね合わせてみましょう。
図2
図2のように、2020年12月からの超過死亡の波は、新型コロナ感染症の死亡者の波と概ね相関していることが分かります。しかし、新型コロナ感染症の死亡者数は大きな波であるのに、超過死亡者の波は小さな波になっており、新型コロナからそれほど大きな影響を受けているようには見えません。
実際に、2020年12月から2021年10月までの新型コロナ感染症の死亡者が16,116人なのに対して、この間の超過死亡者数は48,019人(累積超過死亡数59,735人-累積過小死亡数11,716人)にも上ります。
つまり、2020年12月以降は、新型コロナ感染症以外の要因によって、例年より多くの人たちが亡くなっていると考えられます。
その要因とは、いったい何でしょうか。
ワクチン接種が影響している?
そこで考えられるのが、ワクチンの接種です。
2021年2月17日から、医療従事者に対してワクチン接種が始まりました。その経過と、超過死亡との関係は以下のようです。
図3
ワクチン接種は、2021年2月17日に医療従事者から始まり、5月24日には大規模接種が開始されました。そして、2回接種完了者が9月10日には50%、9月30日には60%、10月25日には70%に達しました。
図3からは、ワクチンの接種によって超過死亡数は減少せず、むしろ常に超過死亡者が優位に推移していることがわかります。この結果からは、ワクチンの接種が進展しても社会から死亡者が減っていないことが分かります。
次に、ワクチン接種期間における超過死亡数をみてみましょう。ワクチン接種が始まった2021年2月から10月までの超過死亡数は、
49,951人(累積超過死亡数) - 8,281人(累積過小死亡数) = 41,670人
となります。
つまり、ワクチン接種が始まってから、41,670人もの超過死亡者数が出ているのです。
この間の新型コロナ感染症の死者が12,515人であることを考えると、この数字は異常な数であると言えるでしょう。
日本では、いったい何が起こっていたのでしょうか。
新型コロナ以外の死者が急増
超過および過小死亡数ダッシュボードには、死因別の超過死亡者数も算出されています(死因別のデータの算出は、2021年8月までです)。
以下は、2021年1月から8月までの新型コロナ感染症以外の原因による、週ごとの超過死亡数です。
図4
図4からは、2021年4月中旬以降から、新型コロナ感染症以外の疾患における、超過死亡の増加が続いていることがわかります。
次に、ワクチン接種が始まった2021年2月から8月までの新型コロナ感染症以外の超過死亡数と、その内訳である疾患別の超過死亡数を挙げてみましょう(計算は省きます)。
新型コロナ感染症以外 21,417人
循環器系疾患 8,308人
呼吸器系疾患 4,767人
悪性新生物 1,060人
老衰 3,901人
自殺 280人
その他 3,101人
ワクチン接種が始まってから7ヶ月間で、新型コロナ感染症以外で21,417人もの超過死亡数が出ています。その内訳として、循環器系疾患と呼吸器系疾患、そして悪性新生物が多いことが分かります。
この原因として指摘されるのが、新型コロナ感染症の拡大による病床の逼迫です。新型コロナ感染症の患者が病床を占有したために、他の疾患の治療ができずに超過死亡数が増加したというのです。
確かにそうした要因もあったでしょう。しかし、その理由だけで、2万1千人以上の人が例年よりも多く亡くなったとは考えられません(仮にそうなら、治療の重点を、直ちに新型コロナ感染症から他の疾患に移さなければないでしょう)。
わたしは、mRNAワクチンが、他の疾患を誘発した可能性を考慮する必要があると思います。次回のブログでは、この点を検討したいと思います。(続く)