mRNAワクチンの副反応は問題にしなくてもいいのか(6)

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 前回のブログでは、mRNAワクチンが社会全体へ与える影響を考えるために、超過死亡という概念を用いて検討を行いました。それによれば、日本で新型コロナ感染症が発症した2020年1月から2021年10月までの超過死亡数は9,278人だったのに対して、ワクチン接種が始まった2021年2月から同年10月までの超過死亡数は、41,670人にも増加していることが分かりました。これは、ワクチン接種が始まるまでは、超過死亡数がむしろマイナスであった(つまり、例年より死亡者が少なかった)のに、ワクチン接種が始まった時期以降には、例年よりも死亡者数が急増したことを意味しています。

 なぜ、このような現象が起こっているのでしょうか。

 

死亡原因のカウントの仕方が偏っている

 この現象を検討する前に注目しておかなければならないことは、死亡原因のカウントの仕方が極端に偏っていることです。

 PCR検査をして新型コロナウィルス陽性ならば、死因はすべて新型コロナウィルス感染症としてカウントされます。例えば、老衰でもがんでも心筋梗塞でも脳卒中でも、極端に言えば自殺でも交通事故でも、PCRが陽性であれば死因は新型コロナウィルス感染としてカウントされます。しかも、日本のPCR検査のCt値は40から45と言われています。これはウィルスのRNAのほんの一部を拾っているほどの精度であり、咽頭部にウィルスの破片があるだけで、新型コロナウィルス感染症が死因になるのです。

 一方で、mRNAワクチン接種後に死亡しても、ワクチンとの因果関係はすべて「評価不能」になっています。厚労省のワクチン分科会副反応検討部会には、1月21日までにワクチン接種後に1,438人の死亡者が報告されていますが、これらはすべてワクチン接種が死因としてカウントされていません。

 したがって、新型コロナ感染症の死亡者数は大々的に報道されますが、ワクチンによる死亡者は認定されていない(!)という構造的な問題が存在していることを、わたしたちはまず理解しておく必要があります。

 

新型コロナ以外の死亡者の急増

 ここで前回のブログで指摘した、ワクチン接種開始以降に、超過死亡数が増加しているという問題を検討してみましょう。

 日本の超過および過小死亡数ダッシュボード(日本の超過死亡数・過少死亡数 | exdeaths-japan.org)で示されている、ワクチン接種が始まった2021年2月から8月までの新型コロナ感染症以外の超過死亡数と、その内訳である疾患別の超過死亡数を挙げてみましょう。

 

 新型コロナ感染症以外   21,417人

 循環器系疾患         8,308人

 呼吸器系疾患         4,767人

 悪性新生物          1,060人

 老衰                                          3,901人

 自殺                280人

 その他            3,101人 

 

 超過死亡として現れている上記の疾患は、ワクチン接種によって引き起こされている可能性があるのです。

 

スパイク抗原が2ヶ月後も体内に残っている

 mRNAワクチンの技術開発に多大な貢献をしたロバート・マローン博士は、新型コロナワクチンの危険性をたびたび訴えています。マローン博士は、2月3日に行われた「Covid-19遺伝子ワクチン作用機序の基礎」という講演の中で、次のように述べています。

 

 mRNAやアデノウイルス・ワクチンの場合は、通常は生成されない組織部位で大量のタンパク質が生成され、それが放出されて体内を循環します。

 ハーバード大学とブリガム・アンド・ウィメンズ大学で行われた研究では、ワクチンのテストが行われた初期の段階で、切断された遊離型スパイクが多くの患者で1ヶ月以上という非常に長い期間、血液中を循環していることがわかっています。

 

 さらに 、Cell に掲載された 論文(Immune imprinting, breadth of variant recognition,and germinal center response in human SARS-CoV-2infection and vaccination)を解説する中で、マローン博士は次の重要な二つの点を指摘しています。

 

・コロナワクチンのスパイク抗原とmRNAが、リンパ節胚中心で2ヶ月間持続している。

・スパイクタンパク質生産量は、重症のコロナ患者より多い。

 

 もし、これらが事実であったとしたら、どのような事態が起こるでしょうか。

 

スパイクタンパクによって血管が傷害され続ける

 米国のソーク研究所のグループが、2021年3月の Circulation Research に、スパイクタンパク質が単独で細胞に侵入し、細胞内のミトコンドリアを断片化することを発表しました。

 これまでは、新型コロナウィルスが血管のACE2受容体に結合して細胞内に侵入することが知られていました。しかし、この研究によって、新たにウィルスのスパイクタンパク質が単独でACE2受容体から血管の内皮細胞に侵入し、細胞を傷害することが分かりました。

 血管内皮細胞が傷害されると、生体はどのような反応を起こすのでしょうか。血管内皮が破綻すると動脈解離や出血が起こり、これを防ごうとして血管内に血栓が形成されます。つまり、mRNAワクチンによってスパイクタンパク質が大量に形成されると、スパイクタンパク質それ自体によって血管が傷害され、出血や血栓が起こる可能性が指摘されているのです。

 では、もしワクチン接種後に、スパイクタンパク質が1ヶ月以上(分解されたスパイク抗原であれば2ヶ月以上)にもわたって生成され続けたらどうなるでしょうか。全身の血管が傷害され、出血や血栓が多発することになります。その結果、心筋梗塞心不全、動脈解離などの循環器系疾患や、血栓症による間質性肺炎、さらに脳梗塞脳出血などの脳血管障害を誘発することになるでしょう。

 ワクチン接種後に起こっている超過死亡のなかで、循環器系疾患や呼吸器系疾患が増加している要因として、スパイクタンパク質によって誘発される血管の傷害があるのではないでしょうか。(この機序から推察すると、その他の疾患の中には、脳梗塞脳出血が含まれていると考えられます)。

 

免疫全般が抑制される

 ワクチン接種後の中期的な副反応として、もう一つ重要なものが免疫の抑制です。

 メチル基が化学修飾された長寿命のmRNAによって、ワクチン接種後には多量のスパイクタンパク質が体内で作られ続けます。このスパイクタンパク質に反応して、抗体が多量に作られ、さらに細胞傷害性T細胞が活性化されます。

 しかし、行き過ぎた体液性免疫と細胞性免疫にストップをかけるために、制御性T細胞が働き出します。この制御性T細胞によって、体液性免疫や細胞性免疫だけでなく、自然免疫までが抑制されます。その結果として、ワクチン接種からわずか半年後には、免疫機能全般が抑制されます。

 

自然免疫が低下する

 mRNAワクチンは、そもそも自然免疫を賦活化しません。それは、ワクチンを筋肉注射することとも関係しています。

 通常のワクチンは皮下注射です。皮下に注射される毒性を弱められた、または死滅した病原微生物は、マクロファージや樹状細胞といった自然免疫の細胞に取り込まれます。そして、その情報によって細胞傷害性T細胞の活性化や、形質細胞による抗体産生が起こります。

 一方、mRNAワクチンは筋肉内に注射され、筋肉を始めとしたさまざまな細胞の中でスパイクタンパク質が生成されます。これが体液性免疫や細胞性免疫を賦活するという仕組みです。このように、mRNAワクチンは自然免疫の賦活過程を省略しています。

 それだけではありません。mRNAワクチンが制御性T細胞を誘導するために、自然免疫はさらに抑制されることになります。こうして、mRNAワクチンは、自然免疫を賦活化させないばかりか、接種前の状態よりも却って自然免疫を低下させると考えられるのです。

 

感染症が増加する

 自然免疫は、細菌やウィルスに対する最初の防波堤です。そのため自然免疫の低下は、感染に対する防御機能の低下に繋がります。加えて体液性免疫や細胞性免疫までも抑制されていれば、感染した細菌やウィルスによって感染症は重症化します。こうして感染症が増加するだけでなく、重症化した感染症によって亡くなる人が増加することが予想されます。

 特に高齢者の肺炎は、日本人の死亡原因に大きな割合を占めています(肺炎は2020年では8.8%で第5位)。ワクチンによって免疫力が低下すれば、高齢者の肺炎による死亡者が増加するのではないでしょうか。これが、呼吸器系疾患の超過死亡の増加に繋がっている可能性があるのです。

 

悪性腫瘍が増加する

 免疫の抑制は、悪性腫瘍の発生や進行に深刻な影響を与えます。

 わたしたちの体の中では、がん細胞は常に発生しています。がん細胞が増えて大きくならないのは、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、樹状細胞などの自然免疫ががん細胞を察知して破壊しているからです。mRNAワクチンによって自然免疫が抑制されていれば、がん細胞が発生しやすくなる可能性があります。

 さらに免疫の抑制は、がん細胞の増殖にも大きな影響を与えます。

 増殖したがん細胞は、制御性T細胞を利用して自然免疫や細胞性免疫からの攻撃を防いでいることが分かっています。

 以下は、それを現したシェーマです。

 

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                  図1

 

 図1のように、制御性T細胞(Treg)は、胸腺からナイーブ制御性T細胞(naïve Treg)として末梢に出て、抗原刺激によりエフェクター制御性T細胞(effector Treg)となります。がん細胞は、なんとこのeffector Tregを利用し、免疫機構をすり抜けて生き延びています。

 腫瘍局所では末梢血に比べてeffector Tregが多く、より活性化していることが分かっています。活性化したTregは、樹状細胞の成熟を抑制し、がん細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)を抑制し、破壊します。こうしてがん細胞は、Tregを取り巻きにして、免疫からの攻撃を防いでいるのです。

 mRNAワクチンによって、制御性T細胞が活性化されます。その結果、がん細胞が生き残り、さらにがん細胞の増殖を助ける危険性が増しています。

 ワクチン接種後の時期に、悪性新生物の超過死亡数が増えているのは、以上のような理由で、がんが増加しやすい状況になっているからだと考えられます。(続く)