mRNAワクチンの副反応は問題にしなくてもいいのか(4)

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 オミクロン株が猛威をふるっています。日本での新規感染者数(正確にはPCR陽性者数)が8万人を超え、2月3日にはついに10万人を突破しました。

 マスコミは連日感染者数の急増をトップニュースに挙げて、危機感を煽る報道を続けています。そして、オミクロン株の感染急増の原因が、ワクチン接種の遅れにあるかのような指摘も目立つようになりました。こうした声に押されるかのように、3回目ワクチンの大規模接種が、1月31日から東京で始まりました。

 オミクロン株の急拡大は、ワクチンのブースター接種で終息するでのしょうか。

 わたしは、ブースター接種が進んでしまえば、感染は却って拡大すると思いますし、感染の終息は遅れることになると考えています。さらに、ブースター接種はオミクロン株の感染終息に効果を発揮しないばかりが、長期的には、免疫抑制による他の疾患への悪影響を及ぼす可能性が懸念されます。

 それだけではありません。今回のオミクロン株の急拡大そのものが、ワクチン接種の副反応の可能性があるのです。

 

過去に例のない急拡大

 日本でオミクロン株の急拡大が続いていますが、その急拡大の程度は、残念ながら世界でもトップクラスになっています。

 

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   新型コロナウィルス感染症 世界マップ 日本経済新聞社

             図1

 

 図1は、2月1日時点での感染者を示したグラフです。デルタ株に比べて、オミクロン株ではいかに短期間で、しかも、過去に例のない急激な感染者数の増大が起こっているかが分かるでしょう。これまでの日本では、まったく見られなかった感染者の拡大です。

 これは、オミクロン株の特徴なのでしょうか。オミクロン株が発生したとされる、南アフリカのグラフを見てみましょう。

 

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   新型コロナウィルス感染症 世界マップ 日本経済新聞社

            図2

 

 図2は、南アフリカの感染者数の推移です。確かにオミクロン株では拡大は急ですが、過去の感染拡大と比べてそれほどの違いはなく、しかも感染者数でも、デルタ株より少し多い程度でピークアウトしています。

 同じオミクロン株でも、日本と南アフリカは感染拡大の仕方が、明らかに異なっています。

 この違いは、なぜ生じているのでしょうか。

 

ワクチン接種の先進国

 マスコミや政府が躍起になって進めようとしているワクチン接種ですが、新型コロナ感染症に対して本当に有効なのでしょうか。

 ワクチン接種が進んでいる国の現状をみることから始めましょう。

 以下は、ワクチンの2回接種が済んでいる割合の高い国です。

 

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                  図3

 

 図3は、世界各国で、2月3日の時点でワクチン接種を2回完了した人の割合を調べたものです。このうち、接種率が70%超える国(中国を除く)での、オミクロン株の感染状況をみてみましょう。

 

ワクチン接種が進んでいる国の現状

 以下は、2月2日時点でワクチン接種率が70%を超えている国での、感染状況の推移を現したグラフです。

 

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                      出典:新型コロナウィルス感染症 世界マップ 日本経済新聞社

                  図4

 

 各国の目盛りは異なりますが、ベトナム、イギリスを除いた各国は、非常に似た形をしていることが分かります。それはオミクロン株による感染者数が、これまでの波の高さをを遙かに超えた、しかも非常に急峻な波になっていることです。また、イギリスは波が小さく描かれていて分かりにくいのですが、これまでの波よりも遙かに高い波が、しかも二双性で現れています(この意味については、後に検討します)。

 つまり、ワクチン接種が進んでいるほとんどの国々では、オミクロン株の急激な感染拡大を起こしているのです。

 

ワクチン接種が進んでいない国の現状

 では、ワクチン接種が進んでいない国では、オミクロン株の感染はどうなっているのでしょうか。図3で示された接種率の下位5ヶ国のインド、ロシア、インドネシアパキスタンバングラデシュと、未だ接種率が27.7%の南アフリカの感染状況をみてみましょう。

 

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      出典:新型コロナウィルス感染症 世界マップ 日本経済新聞社 

                  図5

 

 図5のように、ワクチンの摂取が50%程度かそれを下回るような国々は、オミクロン株による感染者数は、これまでの株より多少急峻で少し高い波が生じている程度です(唯一ロシアだけは、ワクチン接種率が高い国と同様の上昇率を示していますが、その理由は明確にはわかりません)。

 このように図4と5を比較すれば明らかなように、ワクチン接種が遅れている国々の方が、オミクロン株の感染拡大は比較的軽度で済んでいるのです。

 なぜ、このような皮肉な結果が起こっているのでしょうか。

 

ワクチンによって免疫力が落ちている

 ワクチン接種が進んでいる国でオミクロン株が猛威をふるっている理由について、専門家がさまざまな説を唱えていますが、わたしはその原因は単純だと思います。ワクチン接種が進んでいる国ほど、人びとの免疫力が落ちていると考えられるからです。

 ワクチン接種が進むと免疫力が低下する?

 厚労省やマスコミに登場する専門家は、逆のことしか言いませんよね。ワクチン接種によって抗体が何倍になったという発表しかしません。確かにそれは事実です。しかし、抗体価が上昇するのはワクチン接種後2週間から1ヶ月程度で、その後は上昇しすぎた体液性免疫や細胞性免疫に対して、制御性T細胞によって免疫のブレーキがかかり始めます。

 これは抗体価の推移によって確かめられていますが、3ヶ月後には25%程度に、6ヶ月後には10%以下に低下します。つまり、mRNAワクチン接種の効果は、半年ほどでほとんど消失します。さらに問題なのは、制御性T細胞は、抗体を産生する体液性免疫だけでなく、ウィルスを排除する主役である細胞性免疫、さらにはウィルスや細菌の侵入に対する最初の防波堤である自然免疫をも抑制してしまいます(以上の詳細については、昨年12月からのブログ『日本にブースター接種は必要か』をご参照ください)。

 このようにmRNAワクチンを接種すると、当初は免疫力が高まるものの、半年後には、ワクチンを接種する前よりも免疫力が低下した状態に陥っていることが想定されます。免疫力が低下した状態においてオミクロン株が侵入したために、日本を始めとした各国のような、爆発的な感染拡大が起こったのだと考えられます。

 つまり、今回の感染爆発は、ワクチンの副反応の結果だと言うことができるでしょう。

 

ブースター接種先進国の現状

 オミクロン株の感染急拡大に対して、ワクチン先進国は3回目の接種を進めています。

 1月26日時点での各国のブースター接種の現状は、以下の通りです。

 

 イスラエル 54.3%

 イギリス  54.2%

 ドイツ   50.4%

 韓国    50.3%

 米国    25.2%

 日本    2.3%

 インド   0.6%

 

 このうち、ブースター接種が特に進んでいる、イスラエルとイギリスの感染状況をみてみましょう。

 

イスラエルでの感染爆発

 まず、接種が4回まで進んでいるイスラエルの現状は次のようになっています。

 

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                                                                       出典:世界保健機関(WHO)COVID-19

                 図6

 

 図6のように、3回目の接種によっても、さらに4回目の接種によっても新型コロナ感染症者は減少することなく、むしろ増加していることがわかります。特に4回目接種後の感染爆発は顕著で、1月24日のピーク時には新規感染者数が85,140人を記録しました。これは日本の人口に換算すると、116万人(!)にも相当する人数になります。ブースター接種による感染予防効果は、イスラエルでは全くなかったと言えるでしょう。

 

イギリスでも感染は抑えられていない

 次に、追加接種の間隔を、6ヶ月から3ヶ月に短縮したイギリスではどうでしょうか。

 

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                                                                        出典:世界保健機関(WHO)COVID-19 

                 図7

 

 図7のように、イギリスでも追加接種後も感染者数は減少しておらず、2021年11月29日に接種間隔を6ヶ月から3ヶ月に短縮してブースター接種を行ってから、感染者数の急増が認められます。12月31日に追加接種が50%を超えたあとに感染者数はピークアウトしましたが、その後は減少が頭打ちになって再度増加する傾向を見せています。これは、さらに変異したオミクロン株(いわゆるステルスオミクロン株)の感染が拡大している可能性が指摘されています。

 以上のように、ブースター接種が進んでいるイスラエルやイギリスでは、新規感染者数は抑えられているどころか、むしろ増加しているのです。

 

重症化は防がれているのか

 2月2日に、アメリカのCDC=疾病対策センターが、オミクロン株が広がった12月4日以降の死者数について、ワクチンの追加接種を済ませた人は10万人あたり0.1人だったのに対して、未接種の人は9.7人に上り、死亡率が97倍だったと発表しました。この数字だけをみると、ワクチンの追加接種が死亡率を大幅に低下させている印象を受けます。しかし、この発表は、これまでに何度も繰り返しなされてきたような、“一時的に現れる顕著な効果”を喧伝している可能性はないでしょうか。

 追加接種が進んでいる、イスラエルの長期的な経過をみてみましょう。

 

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                                                                        出典:世界保健機関(WHO)COVID-19 

                  図8

 

 図8のように、イスラエルではワクチンの追加接種によって、死亡者が抑えられているようにはみえません。特にオミクロン株では、感染者数の増加に比例するかのように死亡者も増加しています。

 これは、ワクチン接種率が未だ27.7%である南アフリカの死亡者数と比較してみれば明らかです。

 

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                                                                       出典:世界保健機関(WHO)COVID-19 

                 図9

 

 図9のように南アフリカでは、オミクロン株では、デルタ株よりも明らかに死亡者の減少が認められます。若年層が多いなどの人口構成の要因もあるでしょうが、それにしてもワクチン接種が最も進んでいるイスラエルとは、対照的な結果だと言っていいでしょう。

 このように死亡者数の増加も、ワクチン接種を繰り返すことによって生じる副反応の可能性があるのです。(続く)