日本政府はなぜ危険なワクチンを買い続けているのか(4)

 前回のブログで、日本政府は2.4兆円もの巨費を投じて、8億8,200万回分のワクチンを、海外の製薬会社から購入する契約を結んでいることを指摘しました。ところが、2022年12月19日時点での延べワクチン接種回数は、3億6,372万1,403回です。まだ5億1,800万回以上もの、接種できていないワクチンの「在庫」が存在することになります。

 政府は、国際的なワクチン獲得競争の中で、接種に支障が生じないよう多くのワクチンを確保したと述べていますが、見積もりを誤って、過剰に契約してしまったのではないでしょうか。そして、この余剰分を何とか消費しようとして、躍起になってワクチン接種を進めている側面があるのではないでしょうか。

 今回のブログでは、mRNAワクチン接種における政治の問題について、さらに検討してみたいと思います。

 

2020年の政策は成功していた

 よく政治家は、結果責任だと言われます。これは、ワクチン行政にも当然当てはまるでしょう。ワクチン政策の結果は、今後に詳細な検討が必要だと思われますが、現時点で中間的な評価をするとすれば、それは超過死亡数によって判断することが適切ではないかと思われます。なぜなら、感染症対策の究極の目的は、感染症から社会を守ることであり、端的に言えば、感染症に関連した死亡者(そこには経済的困窮による自殺者も含まれる)を減らすことにあるからです。それを総合的に概観できるのが、超過死亡数です。

 『日本の超過および過少死亡数ダッシュボード』によれば、日本に新型コロナ感染症が発症し始めた2020年の日本の超過死亡数は、-34,744人でした。これは例年よりも、3万4千人以上死者数が少なかったことを示しています。

 つまり、このときの政策は、結果的には成功していたと言えるでしょう。2020年の9月16日までは安倍内閣、それ以降は管内閣でした。当時の政策に対しては、海外からの入国制限が遅い、PCR検査が少なすぎる、行動制限ができていないなど、マスコミから散々に叩かれました。しかし、マスコミの批判は視聴率を稼ぐための誇張や極論であり(それは現在も変わりません)、そこでの登場して新型コロナの恐怖をことさら煽ったり、PCR検査の必要性を強調した科学者は、ただの扇動者にすぎませんでした。

 2020年の政策では、狭義の新型コロナ関連死が3,491人も存在したにも拘わらず、日本全体では死亡者数が3万4千人以上減っていたという、他国では見られない成果をもたらしていたのです。

 

ワクチンが登場して状況が一変

 ところが、ワクチン接種が始まった2021年1月から12月までの超過死亡数は47,481人で、2021年は一転して4万7千人以上の人が例年より多く亡くなっていました。さらに、ワクチンのブースター接種が進んだ2022年は、1月から9月までの超過死亡数は82,684人にのぼっており、すでに8万2千人以上の人が例年より多く亡くなっています。このペースで行くと、2022年は11万人以上の超過死亡を出すことになります。

 超過死亡数の原因は、ワクチン接種だけではないでしょう。しかし、ワクチン接種が始まってから超過死亡数が急増していることは、紛れもない事実です。そして、世界一の延べブースター接種率を誇る日本で、戦後最大の超過死亡数を出している矛盾を政府や厚労省が問題にしていないことこそ、日本の悲劇だと言えるでしょう。

 これらの時期の政権を運営していたのは、菅義偉総理と岸田文雄総理でした。2020年9月16日から2021年10月4日までが管内閣で、それ以降が岸田内閣です。超過死亡数からみれば、両内閣の新型コロナ政策は明らかに失敗しており、失敗の度合いはますます悪化していると言えるでしょう。

 なかでも、新型コロナのワクチン政策を決定づけた管内閣の責任は大きいと、わたしは考えています。

 

ワクチン接種の急拡大が最初の失敗

 管内閣当時、ワクチンは、新型コロナ感染症治療の切り札と考えられていました。感染が急拡大する世界各国で、ワクチンの争奪戦が繰り広げられていました。菅総理(当時)は、4月にバイデン大統領との会談のためアメリカを訪問した際、自らファイザー社のブーラCEOと電話で直接交渉に臨み、5,000万回分のワクチンを確保しました。

 菅総理は、1日100万回の接種を行うと宣言し、実際に実行してゆきます。その後も菅総理はワクチンの確保に奔走し、退陣直前の9月30日までにmRNAワクチンの2回接種率は62.2%まで達していました。

 このワクチン接種を急速に進めた最大の「功労者」が、管内閣のもとでワクチン接種推進担当大臣となった河野太郎氏でしょう。

 

ワクチン接種を強力に推進

 菅義偉総理(当時)は2021年1月に、当時行政改革担当大臣だった河野太郎氏に対して、ワクチン接種を円滑に推進するために企画立案及び行政各部の所管する事務の調整を行うよう指示しました。これが、ワクチン接種推進担当大臣の始まりです。

 河野大臣は、菅総理の命を受けてワクチン接種を強力に推進しました。その際に、ワクチン接種の危険性を指摘する意見に対して、自身のブログである『ごまめの歯ぎしり』(2021年6月24日)で次のように述べています。

 

新型コロナウイルス感染症のワクチンに関するデマが流布されるようになってきました。そもそもなぜ、ワクチンに関する正しくない情報が飛び交うのでしょうか。(中略)

ワクチンデマを流す目的は、一、ワクチンを批判して、自分の出版物やオリジナル商品に注目を引き寄せて、お金を稼ぐ、二、科学よりも自分の信奉するイデオロギーに基づいて主張する、三、過去に誤ったことを発言したために抜け出せなくなっている、四、自分に注目を集めたい、ということが大きいと言われています」

 

 このように河野大臣は、ワクチンに懐疑的な意見はデマであると断言し、なぜデマを流すのかという分析まで行っています。

 わたしは、河野大臣の指摘する四つの目的のどれにも当てはまらないと思いますので、その立場の者として、彼の発言が本当に正しいのかを検証してみましょう。

 

デマを流しているのはどちらか

 河野大臣は、以下のように続けます。

 

「今回のコロナワクチンに関する具体的なものをいくつか挙げてみると、

『ワクチン接種された実験用のネズミが2年で全て死んだ』
実験用のネズミの寿命がそもそも2年程度ですから、ワクチンを接種した人間が100年で全て死んだといっているのに等しいことになります」

 

 この指摘は、そもそも例が間違っています。実際の実験は、「ワクチン接種された実験用のネズミが2年で全て死んだ」のではなく、「同一抗原を使ったワクチンを10回接種するうちに、全てのネズミが死んでしまった」という結果でした。ワクチン接種はすでに5回目に突入しています。今後接種を重ねるほど、副作用の発現頻度は高くなることが予想されます。超過死亡数も、年を経るごとに急増しています。ネズミの実験は、決して無視できるのものではありません。

 河野大臣の指摘は、笑い話にもならないでしょう。

 

「『ワクチン接種により不妊が起きる』
コロナワクチンに限らず、どんなワクチンに関しても流されるデマの一つです。

これまでのワクチンで、不妊が起きたことはありません。

今回のコロナワクチンでも、不妊が起きるという科学的な根拠は全くありません」

 

 これまでのワクチンで不妊が起きたことがないのは、当たり前のことです。それは長い年月をかけて、安全性が確かめられてきたからです。今回はmRNAワクチンであり、これまでと作用機序が全く異なっています。mRNAワクチンで不妊が起こるかどうかは、これから検証されるべきことです。なぜなら、mRNAワクチンはまだ「治験段階」の薬、つまり安全かどうかを臨床実験している最中の薬剤であるからです。

 治験段階のワクチンに対して、「不妊が起きるという科学的な根拠は全くありません」と断言できる科学者はいません。河野大臣は、この点に対する認識を欠いていると言えるでしょう。

 2022年の日本の出生数が、初めて80万人を割ることが指摘されています。出生数の減少にワクチンが影響を与えていないか、今後科学的に検証されなければなりません。

 

河野大臣の断定は続く

 さらに、河野大臣の断定は続きます。

 

「『卵巣にコロナワクチンの成分が大量に蓄積する』
ワクチンの成分が体内でどう拡散するかを調べるために、放射性同位体を付加したワクチンをマウスに接種してみたところ、総放射能回収率は肝臓で最も高く18%となり、脾臓では1.0%以下、副腎では0.11%以下、卵巣では0.095%以下と、肝臓と比較して著しく低くなり、ピークも48時間でした。

単にごく微量が卵巣に一時的に分布したということであり、蓄積というのは明らかな誤りです」

 

 この指摘には、3つの問題があります。

 まず最初は、そもそもmRNAワクチンは筋肉の中に留まり、臓器には移行しないと言われていました。各臓器にこれほどの移行が見られたことは、それ自体問題にしなければなりません。

 二つ目は、卵巣の移行率が肝臓と比較して著しく低いという指摘です。卵巣と肝臓では大きさと重量がまったく違います。卵巣が4~10gなのに対して、肝臓は1.0~1.5㎏あります。肝臓は、卵巣二つの約90倍の重量を持つことになります。それを考慮すると卵巣への集積は、肝臓の重量に換算すると8.5%になります。このように卵巣へに集積は、肝臓と比べても決して少なくないことが分かります。

 ワクチン接種後に、生理不順を訴える女性が多いことが指摘されています。ワクチン成分の卵巣へに集積は、決して無視してはならないとわたしは思います。

 三つ目に、この実験は48時間で打ち切られていることが指摘されていない点です。この実験は、放射性同位体を付加したワクチンをマウスに接種し、時間ごとにマウスを殺処分し、各臓器の総放射能回収率を計測しています。その計測は、なぜか48時間までしか行われていません。つまり、48時間がピークだったなら、実験を継続していれば、各臓器への集積はさらに増加していた可能性が高いと考えられるのです。

 こうした点を考慮していない河野大臣の指摘は、科学的根拠を欠いたものであると言えるでしょう。

 

本当に科学を理解しているのか

 河野大臣の指摘は、この後も続きます。

 

「『ワクチン接種で遺伝子が組み換えられる』
mRNAワクチンが遺伝子に組み込まれる可能性はありません。

ヒトの遺伝情報はDNAの形で細胞の核の中に保存されています。

mRNAは細胞の核に入ることができません。

仮に、mRNAが細胞の核に入ったとしてもRNAをDNAに変換できませんし、それをヒトのDNAに組み込むこともできません」

 

 河野大臣は、mRNAワクチンが遺伝子に組み込まれる可能性はないと断定しています。これは、科学的に正しいでしょうか。

 DNAの二重らせん構造の発見者の一人であるフランシス・クリックは、DNAの遺伝情報は、DNA→mRNA→タンパク質の順に伝達されるという、分子生物学の基本概念を提唱しました。この概念は、細菌からヒトに至るまでに共通するものだとされ、セントラルドグマと呼ばれています。したがって、ワクチンのmRNAが細胞のDNAに組み込まれることなど有り得ない、というのがワクチン推進派の意見でした。

 ところが、この有り得ないはずの現象が、試験管の中では起こることが明らかになりました。

 スウェーデンで行われた実験(『ファイザーBioNTech COVID-19 ワクチン GNT162b2 インビトロヒト肝細胞株の細胞内逆転写』 アカデミックエディター: スティーブン・マルニックカー。モル・ビオールを発行。2022, 44(3), 1115-1126;https://doi.org/10.3390/cimb44030073)によれば、日本人の肝臓のがん細胞を用いた実験で、ファイザー製のワクチンのmRNAが、わずか6時間(!)で肝細胞の核に入り、DNAに逆転写されることが世界で初めて実証されました。

 なぜ、このようなことが起こったのでしょうか。

 

核内では起こっている逆転写現象

 細胞の核にあるDNAの一部がコピーされたmRNAは、核膜を通り抜けて細胞質の中にあるミトコンドリアに到達し、タンパク質を合成するために働きます。ここで核膜が、mRNAが再び核の中に戻らないように「一方通行の整理」を行っているため、mRNAの情報がDNAに取り込まれることはありません。つまり、セントラルドグマが守られているのです。

 一方、核の中では、mRNA→DNAへ逆変換→別の場所に組込む、という「逆転写現象」が起こっています。それが可能なのは、ヒトのDNAには、レトロウィルスと同じく逆転写酵素の配列をもつLINE(long interspersed nuclear element:長い反復配列)と呼ばれる部分が存在するからです。DNAからRNAに転写された情報は、LINEによって再びDNAに逆転写されて別のDNA配列中に組み込まれることがあるのです。それでもこの現象は核の中だけで起こっているため、核の外に存在するmRNAの情報がDNAに組み込まれることはありませんでした。

 

分裂が盛んな細胞では起こり得る

 ところが、がん細胞を用いた実験では、ワクチンのmRNAがDNAに組み込まれる逆転写現象が起こりました。

 それは実験に用いられた細胞が、がん細胞だったことと関係しています。がん細胞は、細胞分裂が非常に盛んです。細胞が分裂する際には、一時的に核膜が消えてDNAが露出します。核膜が消失するこの時期には、細胞膜によって防がれていたDNA→mRNAという「一方通行の整理」は行われなくなり、さらにLINEがもつ逆転写酵素が作用します。mRNA→DNAという逆転写現象が、こうして細胞質内でも起こったのです。

 成人の細胞で細胞分裂が盛んな臓器と言えば、精巣があります。したがって、精巣の細胞にワクチンの成分が入り込むことがあれば、生殖細胞のDNAにスパイクタンパクのmRNAが組み込まれる可能性があります。

 乳幼児の場合にも、同様の危険があるでしょう。乳幼児では、全身の組織で細胞分裂が盛んに行われています。そうであれば、乳幼児の細胞のDNAにスパイクタンパクのmRNAが組み込まれる可能性は、成人に比べて格段に高くなると考えられます。

 

 河野大臣の発言は、スウェーデンで行われた実験以前のものです。しかし、科学的な知識があるとは思えない意見を表明することは控えるべきですし、発信後に異なる事実が判明すれば、修正や訂正を行うことが政治家として誠実な態度ではないでしょうか。

 河野大臣の問題発言については、引き続き次回のブロウでも検討したいと思います。(続く)