なぜブースター接種は、今すぐ打ち止めにすべきなのか(1)

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 以前のブログでも指摘したように、集団免疫が達成されている日本では、ブースター接種は必要がないとわたしは考えています。mRNAワクチンは免疫力が一時的には非常に高まるものの、制御性T細胞の働きによって半年後には効果が消失し、それは自然免疫の抑制にまで及ぶため、却って新型コロナ感染症に罹りやすくなります。この事態を解消させるために、政府や厚労省は、ブースター接種をなんとかして推し進めようとしているのです。

 しかし、ブースター接種を行っても、その効果はやはり期間限定的です。そして、半年後には4回目の接種が必要になります。こうして接種を繰り返してゆけば、すでに指摘されている重篤な副反応や、今後現れるであろう長期的な副反応がますます顕わになってゆくでしょう。

 それだけではありません。ブースター接種は、期間限定的な効果すら失い、新型コロナ感染症を却って増やしている可能性があります。もしそうであれば、ブースター接種は今すぐ打ち止めにすべきです。

 

ブースター接種が進んでいる国は

 政府や厚労省は、ブースター接種によって低下した抗体価が復活することを強調し、3回目のワクチンを急ぐよう盛んに宣伝しています。

 しかし、抗体価が上昇することと、新型コロナ感染症に罹りにくくなることとは別の現象です。その理由は後に検討することとして、まずブースター接種が進んでいる国の現状を見ることから始めましょう。

 以下は、3月25日の時点での各国のブースター接種率です。

 

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  札幌医科大学医学部新領域医学 研究所医ゲノム科学講座 info@coronavirus.jpn.org。

                  図1

 

 図1のうち、ブースター接種が進んでいる上位6ヶ国の現状を見てみましょう。

 

感染爆発が起こっている

 ブースター接種が最も進んでいるイタリア(64.1%)、韓国(63.5%)、ドイツ(58.0%)の、3月25日時点での新型コロナの新規感染者数(正確にはPCR陽性者数)の推移は、以下のようです。

 

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                  図2

 

 図2のように、各国とも新規感染者数の減少が認められないばかりか、逆に増加しています。

 イタリアでは、オミクロン株の感染がピークアウトし、いったん感染者数が減少した後に再拡大する傾向が出現しています。

 韓国は、これまでにない感染爆発が起こっている最中です。3月35日の新規感染者数は33万5479人ですが、3月16日には62万1317人の感染者数を記録しました。これらは日本の人口でいえば、それぞれ81万7千人と151万4千人(!)に相当します。これほどの感染爆発が起こっている原因については、後に検討したいと思います。

 ドイツでも、感染者は増加しています。オミクロン株の感染爆発はいったんピークアウトしたかにみえましたが、最近になって再び増加に転じています。

 

感染の再拡大が

 次に、ブースター接種率の高いイギリス(56.8%)、フランス(55.3%)、オーストラリア(49.2%)を見てみましょう。

 

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                  図3

 

 イギリスは波が小さいように見えますが、3月25日の新規感染者数が7万8226人であることから分かるように(これは日本の人口では、14万9千人に相当します)、縦軸の目盛り幅が大きくなっているだけで、実数はフランスと大差ありません。

 図3のように、各国ともオミクロン株の感染爆発がいったんピークアウトした後で、再び感染が増加に転じていることが特徴です。

 以上から分かることは、ブースター接種が進むと、感染が終息するのではなく、むしろ終息しかけた感染が再拡大する(韓国では、感染爆発を加速させている)ことです。

 これに対して、ブースター接種を推進したい人は、感染の再拡大の原因は、これまで主流であったオミクロン株の「BA.1」が、より感染力が高いステルスオミクロンと呼ばれる「BA.2」という亜種に塗り替えられているからだと主張するでしょう。

 

ブースター後進国では感染は終息

 では、ブースター接種が進んでいない国ではどうなっているでしょうか。接種が進んでいる国と、同様の現象が起きているのでしょうか。

 ブースター接種率の低いインド(1.5%)、南アフリカ(3.4%)、インドネシア(6.6%)の新規感染者数の推移は、以下の通りです。

 

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                  図4

 

 図4のように、インドと南アフリカでは、オミクロン株の感染は終息に向かっています。インドネシアはまだ終息の途上ですが、今のところ再拡大の気配は見られていません。

 ステルスオミクロン「BA.2」が拡大しているのであれば、ブースター接種が遅れている国ほど、新規感染者の増加が起こるはずです。しかし、そうした気配はいっこうに現れていません。それとも、ステルスオミクロンは、ブースター接種を積極的に推進している国だけに出現しているのでしょうか(ワクチン接種を繰り返すことで変異が起こりやすくなると考えれば、この仮定はあながち間違っているとは言えませんが)。

 以上のように、海外の感染状況をみる限り、ブースター接種はオミクロン株の拡大を防止するどころか、感染の再拡大や感染爆発を招いていると考えられるのです。

 

日本とアメリカの違いは

 では、3月25日の時点で、ブースター接種率が37.6%である日本の現状はどうなっているでしょうか。ブースター接種率が29.2%であるアメリカと比較してみましょう(驚くべきことに、ファイザー社、モデルナ社の本社があるアメリカでは、3月25日時点でのブースター接種率は30%に達しておらず、2回接種率も65.3%に過ぎません)。

 

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                  図5

 

 図5のように、日本ではオミクロン株の感染はピークアウトしていますが、減少のカーブが緩やかになっています。デルタ株の際に、インドやインドネシアと同じように認められた急激な感染者の減少は、今の日本では見られなくなっています。

 一方で、ブースター接種率が29.2%に留まっているアメリカでは、インドやインドネシアのような感染者の急激な減少が見られています。

 日本とアメリカの違いは何でしょうか。アメリカではオミクロン株感染の減少に伴って、社会の正常化を目指す動きが加速しています。3月25日にはハワイ州でマスクの着用義務が撤廃され、ついに全米50州のすべてでマスクの着用義務がなくなりました。

 社会活動の正常化を目指しているアメリカで感染が急激に減少し、「まん延防止等重点措置」を続けてきた日本で感染の減少が鈍っているとすれば、その差はワクチンの接種率の違いしか考えられません。つまり、ブースター接種が、新規感染者の減少にブレーキをかけているのです。

 

日本は瀬戸際に立たされている

 それだけではありません。残念ながら日本では、ブースター接種が今も増え続けています。このままでは感染者の減少が鈍るだけでなく、減少が止まり、再び感染が増加に転じる可能性があります。接種率40%台後半のオーストラリアで感染の再拡大が起こっていることから、30%台後半の日本でも、これ以上ブースター接種が進めば、感染の再拡大が起こることが予想されます。

 つまり、日本は今、瀬戸際に立たされているのだと言えます。ブースター接種を中止すれば、新規感染者数はこのまま減少してゆくでしょう。しかし、政府や厚労省、そしてワクチン接種を推進する御用学者たちの口車に乗せられ、今以上にブースター接種率が上昇すれば、イタリア、ドイツ、イギリス、フランス、オーストラリアのように、感染の再拡大を招いてしまいます。

 そうならないために、わたしたちは、今すぐブースター接種を打ち止めにしなければなりません。(続く)