mRNAワクチンの副反応は問題にしなくてもいいのか(2)

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 前回のブログでは、ワクチン接種が始まった令和3年2月17日から12月17日までの間に、ワクチン接種後に亡くなった人の数が1,431人(ファイザー1,365人、モデルナ65人、アストラゼネカ1人)にのぼることを取り上げました。この死亡例に対して、第 74 回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会では、ワクチンが原因であったという統計的な有意差がみられなかったとして、「現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない」と結論しています。さらに個々の症例検討においては、「専門家による評価では、(ほとんどの症例において)ワクチンと死亡との因果関係が評価できない」として、ワクチンの危険性を認めない姿勢を貫いています。

 厚労省の分科会が検討しているように、本当にmRNAワクチンは、接種後の死亡例と因果関係がないのでしょうか。今回以降のブログでは、mRNAワクチンの特徴と副反応の関係について、疾患のレベルで検討してみたいと思います。

 

死因の特徴①

 厚労省の第 74 回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で、令和3年2月17日から12月5日までにファイザーワクチンの接種後に亡くなった人の死因を、以下のように発表しています。

 

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                 図1

 

  図1のように、死因として目立つのは、虚血性心疾患、出血性脳卒中、大動脈疾患、虚血性脳卒中、静脈血栓症といった血管が傷害される疾患です。これらの疾患だけで、死因全体の27.7%(65歳未満では40.8%)を占めています。さらに、心不全や致死性の不整脈の原因として虚血性心疾患が、心タンポナーデの原因として解離性大動脈瘤がありますから、この三つも血管に関連した疾患に含めると、全体の40.5%(65歳未満では58.7%)になります。

 

死因の特徴②

 一方、モデルナのワクチンはどうでしょうか。

 

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                  図2

 

 図2のように、モデルナのワクチンでも、出血性脳卒中、虚血性心疾患といった血管が傷害される疾患で、死因全体の32.2%(65歳未満では28.0%)を占めます。これに心不全不整脈、血小板減少を伴う血栓症を血管に関連した疾患に加えると、死因全体の45.8%に(65歳未満では44.0%)なります。

 以上のように、死因の3分の1から半数程度は、血管に関連した疾患になるという特徴が認められるのです。

 

スパイクは血管を傷つける?

 ワクチン接種後の死亡者に、血管に関連した疾患が多いのはどうしてでしょうか。その原因を考えるうえで、重要な報告がなされています。

 米国のソーク研究所のグループが、2021年3月の Circulation Research に、スパイクタンパク質が単独で細胞に侵入し、細胞内のミトコンドリアを断片化することを発表しました。

 これまでは、新型コロナウィルスが血管のACE2受容体に結合して細胞内に侵入することが知られていました。しかし、この研究によって、新たにウィルスのスパイクタンパク質が単独でACE2受容体から血管の内皮細胞に侵入し、細胞を傷害することが分かりました。

 では、血管内皮細胞が傷害されると、生体はどのような反応を起こすのでしょうか。血管内皮が破綻すると動脈解離や出血が起こり、これを防ごうとして血管内に血栓が形成されます。つまり、mRNAワクチンによってスパイクタンパク質が大量に形成されると、スパイクタンパク質それ自体によって血管が傷害され、出血や血栓症が起こる可能性が指摘されたのです。

 

スパイクは問題ないという反論

 mRNAワクチンが産生するスパイクタンパク質が、血管の内皮細胞を傷害するという主張に対しては、次のような反論もあります。

 まず、上記の論文はハムスターで行われた実験を基にしており、人で実証されたものではないという意見です。この意見の中には、ハムスターに投与されたスパイクタンパク質は高濃度であり、実際の人の血漿中のスパイクタンパク質の約4万倍高い濃度を使用してやっとみられる現象だと主張する人もいます。

 さらに、ウイルス感染によって血中にスパイクタンパク質が大量に存在し、それらが人体に害悪を与えることと、ワクチンとして少量投与されることが意味することは大きく異なるという意見もあります。そして、現時点までに、ワクチンとして投与された設計図をもとに体内で作られたスパイクタンパク質が血中に多く存在し、内皮細胞にダメージを与えるという主張を裏付ける証拠は示されていないという意見もみられます。

 これらの意見は、どう考えたらいいでしょか。

 

動物実験の意義は 

 「ハムスターで行われた実験を基にしており、人で実証されたものではない」という意見は、動物実験の意義自体を否定するものです。そもそも動物実験は、人に危険性がないかを試すために行われます。したがって動物実験は、しばしば極端な条件下で行われます。そのような極端な条件でも異常が起こらないことが分かって、初めて治験薬は人に使用することが可能になるのです。

 今回の実験結果のように、ハムスターで危険な事象が発見されれば、現在人で行われているmRNAワクチン接種をいったん中止しなければなりません。少しでも危険があれば、治験中の薬は使用しないというのが原則だからです。そして、「スパイクタンパク質が血管の内皮細胞を傷害しない」という実証が得られないうちは、ワクチンの接種を再開してはならないはずです。

 

スパイクが大量に作られている可能性は?

 次に、「ウイルス感染によって血中にスパイクタンパク質が大量に存在し、それらが人体に害悪を与えることと、ワクチンとして少量投与されることが意味することは大きく異なる」という意見はどうでしょうか。

 以前のブログで指摘したように、ワクチンに含まれるmRNAは、メチル基が化学修飾されたことによって、分解されにくい長寿命のmRNAに作り換えられています。長寿命のmRNAだからこそ、予防効果が90%以上という高性能のワクチンになっているのです。

 長寿命のmRNAワクチンは、高い抗体価を獲得するために、スパイクタンパク質を作り続けます。そのためスパイクタンパク質は、「ワクチンとして少量投与される」のではなく、「血中に大量に存在して、人体に害悪を与える」可能性が充分に考えられます。

 

実際に多発している血管が関わる疾患

 最後に、「現時点までに、ワクチンとして投与された設計図をもとに体内で作られたスパイクタンパク質が血中に多く存在し、内皮細胞にダメージを与えるという主張を裏付ける証拠は示されていない」という意見はどうでしょうか。

 確かに現時点では人において、ハムスターで行われた実験と同じような所見は得られていないのかも知れません。しかし、実際にワクチン接種後に、血管が関わる疾患で多くの死亡者が出ているという事実があります。

 上述のファイザーとモデルナの症例を合わせると、虚血性心疾患、出血性脳卒中、大動脈疾患、虚血性脳卒中、静脈血栓症といった直接血管が傷害を受ける疾患が死因に占める割合は、27.9%(65歳未満では38.2%)になります。さらに、心不全不整脈心タンポナーデ、血小板減少を伴う血栓症といった血管に関連した疾患を加えると、死因の40.7%(65歳未満では55.7%)にものぼります。

 この結果をみれば、mRNAワクチンの重篤な副反応として、血管が傷害される疾患が生じていると考えることが妥当ではないでしょうか。その因果関係については、病理解剖などによる、今後の詳細な検討が求められます。

 しかし、mRNAワクチンと血管が傷害される疾患の因果関係が解明されていないからといって、ワクチンの使用を継続していいことにはなりません。

 前回のブログで指摘したように、mRNAワクチンは特別承認された、まだ治験段階の薬です。ワクチンの使用を継続するためには、死亡の原因になっている疾患がmRNAワクチン以外の理由で起こっていることを証明し、ワクチンが安全であることを示さなければならないはずです。

 これだけ危険性の高いワクチンを安全だと判断し、さらには12歳未満の子どもへの接種までを奨励する厚労省からは、国民を守ろうとする意識が失われてしまったのでしょうか。(続く)