mRNAワクチンの副反応は問題にしなくてもいいのか(3)

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 オミクロン株の感染者が、日本でも急増しています。それに伴って、PCR検査のさらなる拡充や、ワクチンのブースター接種の前倒し、さらには12歳未満の子どもへの接種までを声高に叫ぶ人たちが増えてきました。彼らは、オミクロン株の感染者数(実はPCR陽性者数)を強調し、どの程度重症者が生じているか、オミクロン株によって死者が何人出ているかはほとんど報道しません。例えば、1月22日に沖縄県で死亡者が一人発表されましたが、裏を返せば、沖縄県でオミクロン株が急増し、病院の機能が破綻したと不安を煽る報道が続く中で、それまでは一人の死亡者もいなかったということになります。

 わたしたちは、不安を煽るマスコミや、そこに登場する御用専門家たちの言葉を鵜呑みにすることなく、冷静に、客観的にオミクロンの感染拡大を分析する必要があります。そして、いたずらにワクチン接種を急ぐことなく、ワクチンの副反応にもしっかりと目を向けることが必要です。

 今回のブログでは、前回取り上げなかった、心筋炎の問題について検討したいと思います。

 

若年者の死亡例

 現在、12歳未満のワクチン接種について議論されていますが、その議論に欠かせないのが、若年者に対するmRNAワクチンの安全性です。まず、厚労省がホームページで発表しているデータを紹介しましょう。

 今年の1月21日までに、ワクチン接種後に亡くなった若年者は、10代5名(男性4名、女性1名)、20代27名(男性19名、女性8名)、30代26名(男性23名、女性3名)の計58名にのぼります。

 これに対して、新型コロナ感染症で亡くなった若年者は、10代4名(男性3名、女性1名)、20代26名(男性19名、女性7名)、30代85名(男性63名、女性22名)です。

 このように10代20代では、ワクチン接種後の死亡者の方が新型コロナ感染症後の死亡者数を上回っているという、驚くべき状況になっています。ワクチンは、健康な若者に接種されているわけですから、ワクチンさえ接種しなければ彼らは命を失わずに済んだはずです。これでは、何のためにワクチンを接種したのか分かりません。

 なぜ、ワクチン接種による若者の死亡という重大な出来事が、もっと大々的に報道されないのでしょうか。さらに、このような危険なワクチンを、12歳未満の子どもにまで接種することが、いったいどのような理屈で正当化され得るのでしょうか。

 

若者の死亡原因

 次に、なぜ若者がワクチン接種で亡くなっているのかを検討してみましょう。

 以下は、コロナワクチン副反応データベース検索から、30歳代までの死亡者を若い年齢順に表示したものです。図1が、ファイザー製のワクチンで、図2がモデルナ製のワクチンです。

 

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                  図1


 図1のように、ファイザー製のワクチンでは、10代では4名(男性3名、女性1名)、20代では19名(男性13名、女性6名)、30代では18名(男性16名、女性2名)の死亡者が出ています。接種から発症までの平均日数は、6.8日でした。

 

 

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                 図2

 図2のように、モデルナ製のワクチンでは、10代は1名(男性1名女性0名)、20代は8名(男性6名、女性2名)、30代は8名(男性7名、女性1名)の死亡者が認められます。接種から発症までの平均日数は、6.8日でした。

死因が特定されていない

 図1、2の症状名で多いのが、心肺停止 14例、突然死・死亡 10例、心筋炎 7例、急性心不全 5例、心筋梗塞脳出血、自殺 各3例・・・となっています。しかし、心肺停止や突然死・死亡、急性心不全は状態像を現しているだけで、その状態になった原因疾患が示されていません。つまり、表からは、「原因は分からないが突然死亡した」という症例が多いことが分かります。原因不明で死亡すれば、病理解剖によって死因を追求することが必要なのですが、実際には死因の検討が充分に行われていないことが窺われます。

 死因のはっきりしているものを多い順に挙げると、以下のようになります。

 

 7例 心筋炎

 3例 心筋梗塞 脳出血

 1例 血栓性血小板減少症 くも膜下出血 心室細動 肺塞栓症 白血病

 

 疾患別に挙げると、若年者の死因では心筋炎が多いようです。心筋炎は心肺停止や突然死・死亡、急性心不全、ショック、心室細動の原因となり得ます。さらに、心筋炎は特異的な所見が乏しいうえに急性の転帰をたどるために診断が難しいことからすると、死因に占める心筋炎の割合はもっと高い可能性があると考えられます。

 

心筋炎は男性の若者に多い

 では、心筋炎を検討するために、mRNAワクチン接種後に発症した重篤な症例(死亡例も含む)について取り上げてみましょう。

 1月21日までに発症した、ファイザーとモデルナにおける重篤な心筋炎の症例数は、以下の通りです。

 

 ファイザー      171名 (男性133名、女性38名)

      30代まで  115名 (男性101名、女性14名)

 

 モデルナ       118名 (男性108名、女性10名)

      30代まで  106名 (男性103名、女性3名) 

 

 全体         289名 (男性241名、女性48名)

      30代まで  221名 (男性204名、女性17名)  

 

 ファイザーはモデルナの約5.2倍の接種回数があるため、重篤な心筋の発症は、モデルナの方が全体で3.6倍、30代まででは4.8倍も高いことになります。

 また、重篤な心筋炎は、30代までが全体の76.5%を占めます。男女比については、全体では男性が女性の5.0倍、30代まででは男性が女性の12.0倍も多く発症しています。

 このように重篤な心筋炎の発症は、モデルナ製のワクチンで、30代までの男性に多いことが特徴であると言えるでしょう。

 

モデルナワクチンの特徴

 mRNAワクチン後に発症する心筋炎の原因は、まだ正確には分かっていません。そこで上記の特徴を元に、心筋炎が発症する過程を検討してみたいと思います。

 モデルナとファイザーは同じmRNAワクチンですが、副反応の違いにおいて特筆されているのが、モデルナアームと言われる接種部位の腫れです。

 

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 上の写真が、モデルナアームです。

 モデルナアームとは、ワクチン接種後数日から1週間程度経過してから現れる、ワクチンを接種した腕のかゆみや痛み、腫れや熱感などです。多くの場合モデルナのワクチンで報告されていますが、ファイザーのワクチンでも稀に起こることがあります。原因は、T細胞リンパ球が免疫反応を起こすことで生じる炎症であると考えられています。

 モデルナアームが発症する原因として挙げられるのが、ワクチン中のmRNA含有量です。モデルナは1回あたり100マイクログラム、ファイザーは30マイクログラムです。モデルナワクチンのmRNA含有量が約3.3倍多いために、急性の炎症反応も強く、発熱や倦怠感の割合も高いと言われています。

 

若年の男性の特徴とは

 心筋炎が若い男性に多い理由として、ホルモンの違いを指摘する人もいるようですが、まだ明確な原因は分かっていません。わたしは、もっと直接的な理由ではないかと考えています。それは若い男性が、より活動的であるということです。

 活動的であるということは、肩を含め身体をよく動かすということです。つまり、よく筋肉を動かすということであり、それはワクチンが、接種部位に留まりにくいことを意味します。

 mRNAワクチンは、これまでのワクチンが皮下注射だったのに対して、筋肉注射で接種されます。なぜ筋肉注射かというと、新型コロナワクチンのmRNAを筋肉の細胞に注入し、筋肉の細胞内で新型コロナワイルスのスパイクタンパク質を作らせるためです。作られたスパイクタンパク質に対して、免疫反応を起こさせるという仕組みです。

 しかし、肩に筋肉注射されたワクチンは、想定とは違ってそこに留まりません。筋肉は動きますから、これがポンプの働きをしてワクチンを筋肉の外に押し出します。押し出されたワクチンは、筋肉細胞間の組織液→リンパ管→リンパ節→リンパ本幹→上大静脈→心臓→肺→心臓→大動脈 という経路を通って全身に運ばれます。運ばれたワクチンは、全身の臓器を巡ります。肩の筋肉に留まるmRNAは、ワクチン全体の25%程度だと言われています。

 これが活動性の高い若者の男性であれば、さらに少ない可能性があります。

 

RNAが心筋の細胞に入る?

 ワクチンのmRNAは、脂質ナノ粒子に包まれています。この脂質の膜は、細胞表面の膜にくっつくと、中のmRNAを細胞の中に運び入れる役割を果たしています。

 脂質ナノ粒子は身体全体に循環し、脾臓、骨髄、肝臓、副腎、卵巣に蓄積されることが分かっています。この蓄積が確認されることは、すなわちmRNAが蓄積されることを意味します。

 ちなみに、脂質ナノ粒子が蓄積される臓器には心臓が含まれていません。しかし、心臓は筋肉の塊であり、全身の血液が何度も集められる場所です。しかも、mRNAワクチンは、肩の筋肉細胞に取り込まれるように設計されている訳ですから、脂質ナノ粒子は別としても、mRNA自体は、心臓の筋肉細胞に取り込まれている可能性が高いのではないかとわたしは考えています。

 

心筋が細胞傷害性T細胞に攻撃される

 さて、ワクチンに含まれるmRNAは、メチル基が化学修飾されたことによって、分解されにくい長寿命のmRNAに作り換えられています。細胞に取り込まれた長寿命のmRNAは、細胞の中でスパイクタンパク質を作り続けます。

 ウィルスのmRNAが安易にヒトの細胞に侵入し、ウィルスのスパイクタンパクを作ることには問題があります。なぜなら、スパイクタンパクは紛れもない異物であり、異物を抱えた細胞は、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)クラスⅠ分子に抗原提示を行うからです。MHCクラスⅠ分子に抗原提示を行った細胞は、免疫的には非自己の細胞、つまり自分の細胞ではないと表明することを意味します。そのため、スパイクタンパクを抱える細胞は、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)から攻撃を受け、破壊されることになります。

 この過程が、心筋細胞で起こるとどうなるでしょうか。心筋細胞が非自己と見なされ、細胞傷害性T細胞から攻撃を受けます。そして、攻撃を受けた心筋は破壊され、破壊された細胞や放出されたスパイクタンパク質は、マクロファージや好中球によって処理されます。これが、mRNA接種後に起こる心筋炎の機序ではないでしょうか。モデルナアームが、まさに心臓で起こっている事態だと言えるでしょう。

 以上は心筋炎がなぜ発症するかの仮説ですが、このように捉えると、重篤な心筋炎の発症がファイザー製のワクチンで多く、30代までの男性に多いことの理由が説明できると思います。(続く)