ポリコレはなぜ危険なのか 国家を破壊しようとする人々(1)

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 アメリカでは昨年から今年のはじめにかけて、ポリコレによってワシントンやリンカーンといった歴代の大統領を非難する運動が起きました。こうした運動は歴史から誇りを奪い、さらにそれが子どもたちから自尊心を失わせる事態に繋がります。さらにポリコレは、アメリカ建国の神話を脅かす運動にまで発展しています。もし、アメリカの神話が傷つけられることになれば、アメリカ合衆国は国家の正統性が失われ、アメリカは内側から弱体化してゆくことになるでしょう。

 自分の国を弱体化させようとする人たちが存在するのは、実に驚くべきことです。彼らの目的はいったいどこにあるのでしょうか。

 

国家という壁が邪魔な人々

 国家という存在が邪魔な人たちとしてまず挙げられるのが、グローバリストです。

 グローバリストは、グローバリズムを推進しようとする人々です。グローバリズムglobalism)とは、地球を一つの共同体と見なして、世界の一体化を進める思想です。この思想は、自由貿易および市場主義経済を全地球上に拡大させる思想主義となって、多国籍企業や国境を越えて地球規模で経済活動を展開する人々の行動を支えています。彼らにとって、国家による経済の統制や国家間の関税は、経済活動の妨げにしかなりません。そのため彼らは、経済活動の障害になるような国家という概念は、なるべく弱体化させたいと考えているでしょう。

 グローバリストたちは、こうした狙いからポリコレを推進してるのではないでしょうか。彼らの活動は世界経済を発展させていますが、経済を優先する代わりに、国家の誇りを奪い、国民から自尊心を失わせていることを忘れてはなりません。

 

トランプ大統領の闘い

 ポリコレの活動に隠された、国家を弱体化させようという試みをみていると、トランプ前大統領の政策の本当の意味が理解できるようになります。

 トランプ大統領が掲げたスローガンは、

America First つまり、アメリカ第一主義と、

Make America Great Again アメリカ合衆国を再び偉大にする

 でした。

 このスローガンは、国際協調を損なうものだとか、自国の経済がよければそれでいいのかといった批判を浴びました。

 また、メキシコとの国境に壁を造ると宣言して、就任後には本当に壁の製造に着手しました。この政策は、グローバリストの思惑の対極に位置するものでしょう。

 2050年以降に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目標にしたパリ協定から離脱し、環太平洋パートナーシップ協定 TPP からも離脱しました。

 これらの政策によってトランプ大統領は、国内の雇用を守り、アメリカの製造業を復興させようとしたのだと考えられます。その目的はアメリカの国益を守り、アメリカを文字通り偉大な国として再生させることにあったでしょう。

 

アメリカの誇りを守るために

 トランプ前大統領は、宗教に関わる政策も実行しました。

 イスラエル建国から70年を迎える2018年の5月14日に、トランプ大統領は、アメリカ大使館を、商都テルアビブからエルサレムに移転しました。

 エルサレムユダヤ教キリスト教イスラム教の聖地と見なされており、イスラエルエルサレムは自国の首都であると一方的に宣言しています。トランプ米大統領エルサレムに大使館を移したことは、エルサレムイスラエルの首都だと認めたことになり、エルサレムの扱いはイスラエルパレスチナの和平交渉で決めるとしてきた従来の中東政策を大きく転換させました。当然パレスチナ側は猛反発し、朝日新聞などは、米国が主導する形での中東和平交渉は絶望的になったと報道しました。

 この政策の背景には、アメリカで多くの信者を有するキリスト教福音派の存在があります。福音派は聖書に書かれていることをそのまま信仰するプロテスタントの一派であり、彼らが聖書に基づいてエルサレムイスラエルの首都であると主張していることが、トランプ大統領の政策を後押ししました。

 当時の報道では、トランプ大統領は選挙の票目当てで福音派の主張を実現したと報じられましたが、本当の目的は、アメリカの信仰を尊重する、さらに言えば信仰に基づく人々の誇りを守ることにその目的があったのではないかと考えられます。

 以上のように、トランプ大統領が行った突飛にみえる政策は、実はアメリカ合衆国を強国として復活させ、アメリカ人に誇りを取り戻すことを目的にしていたことが分かります。

 

トランプをたたき落としたメディアの狙い

 昨年の大統領選では、アメリカの主要メディアは、トランプ大統領を徹底して叩きました。日頃から上記の政策に批判的な報道を行っていただけでなく、選挙期間には「科学者の助言を無視して経済活動の再開を急ぎ、コロナの蔓延を招いた。これが23万人もの死者を生んだ原因だ」などと非難しました。

 そして、郵便投票やドミニオンによる選挙不正の疑いには一切言及せず、米議会の乱入で死者が出た事件の責任を、一方的にトランプ大統領に押しつけました。こうしてトランプ氏は、絶好調の経済の下で“敗れた”史上初めての大統領になりました。

 メディアの目的は、自由で開かれた公正な選挙を保証することにはなかったでしょう。その本当の狙いは、ただただトランプ大統領をたたき落としかったのだと考えられます。

 それはトランプ前大統領の思想が、主要メディアの思想と対極にあったからです。メディアの思想とは、ニューヨーク・タイムズ紙の「1619プロジェクト」にみられるような、「奴隷制の結果と黒人アメリカ人の貢献を私たちの国家の物語の中心に置くことによって、国の歴史を再構築することを目指す」ような思想です。つまり主要メディアは、社会的正義が実現されるために、弱者やマイノリティに対する差別や偏見、およびそれに立脚した表現や制度までが是正されなければならないとするポリコレの立場に立脚しているのです。

 彼らは、グローバリストと並ぶ、アメリカを弱体化させようとするもう一つの勢力だと言えるでしょう。

 

 その正体については、次回以降のブログで検討したいと思います。(続く)