わたしたちはなぜ、危険なワクチンを打ち続けているのか(11)

 厚労省が、生後6ヶ月から4歳までの乳幼児にワクチンの接種を開始しました。前回のブログでは、乳幼児への遺伝子ワクチン接種を、あろうことか、子どもの健康を守ることを使命とする日本小児科学会が推奨した問題について検討しました。

 日本小児科学会がワクチン接種を推奨した理由を分析すると、厚労省のワクチン分科会副反応検討部会の意見と、ファイザーが提出した資料をそのまま採用した提言に過ぎないことが分かりました。そこには、日本小児科学会が独自の調査や検討を行い、ワクチン推進派だけでなく、ワクチン反対派の意見を聞き、両者で議論を闘わせた痕跡は認められませんでした。

 本当にこんなことでいいのでしょうか。乳幼児の体内にmRNAワクチンを注入することの危険性を、どこよりも慎重に、そして詳細に検討し尽くして、世の母親や父親に安心感を提供するのが、日本小児科学会の使命なのではないでしょうか。

 今回のブログでは、日本小児科学会の提言では触れられていない、乳幼児期に遺伝子ワクチンを接種することの危険性について検討したいと思います。

 

乳幼児にワクチン接種はするけれど

 乳幼児期に、わたしたちは多くのワクチンを接種してきました。生まれたばかりの赤ちゃんは、母親の胎盤を唯一通過できるIgG抗体によって守られています。しかし、そのIgG抗体も3~6ヶ月で消失するため、この時期がもっとも感染しやすい状態になります。そのため日本では、感染症法で以下のようにワクチンを接種するように定められています。

 B型肝炎(生後2ヶ月~1歳未満)、ヘモフィリスインフルエンザB型細菌・肺炎球菌(生後2ヶ月~5歳未満)、4種混合ージフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ(生後3ヶ月~1歳までに3回、1年後にもう1回)、BCG(生後5~8ヶ月)、麻疹・風疹(1歳になったら1回、5~6歳で1回)など。

 これらのワクチン接種には、法的な義務はありませんが、多くの親が自分の子どもに打たせているでしょう。それにしても、こんなに多くのワクチンを接種しても、大丈夫なのか心配される方があるかも知れません。

 

安全性が確立されたワクチン

 これらのワクチンは、生ワクチンと不活化ワクチンに分けられます。生ワクチンは、毒性を弱めた病原微生物を投与するもので、BCG、麻疹、風疹、ムンプス(おたふくかぜ)、水痘(みずぼうそう)などがこれに当たります。生ワクチンは毒性が弱められてているとはいえ、まだ生きている病原微生物なので、細胞内に侵入、潜伏して時々増殖することがあります。その増殖の度に細胞性免疫が活性化されるため、結果として長い期間にわたってその病原微生物に対する免疫が保持されるのです。

 一方、不活化ワクチンは、病原微生物から抽出した抗原物質を投与するもので、B型肝炎ジフテリア破傷風、ポリオ、日本脳炎、そしてインフルエンザなどが該当します。不活化ワクチンは、抗原性だけを残して殺してしまった病原微生物を使っているので、ワクチンの安全性が高い一方で、免疫は短期間で失われてしまいます。そのため、不活化ワクチンは、一定期間をおいて繰り返し接種する必要があります。

 これらの従来型ワクチンは、いずれも10年以上かけて安全性が確かめられ、その後に一般的に使用されるようになったものです。開発されて2年余りの、しかもまだ治験段階の遺伝子ワクチンとは、根本的に異なるものであることを忘れてはなりません。

 

あらゆる細胞に侵入するmRNAワクチン

 ウィルスは、生物の細胞の中でしか増殖できません。そのため、ウィルスは細胞の中に侵入しなければ感染できないのですが、ウィルスが侵入できるのは、自分が結合できるタンパクを表面に持っている細胞だけです。新型コロナウィルスも例外ではなく、ACE2受容体がある細胞にしか侵入することができません。生ワクチンで使用される弱毒化されたウィルスも、やはり侵入できる細胞は限られています。

 これに対して、mRNAワクチンはあらゆる細胞に侵入できるように作られています。ワクチンのmRNAは、脂質ナノ粒子に包まれています。この脂質の膜は、細胞表面の膜にくっつくと、中のmRNAを細胞の中に運び入れる役割を果たします。つまり、脂質ナノ粒子に包まれたmRNAは、全身のどの細胞にも入り込むことができるのです。

 

全身の臓器が攻撃を受ける?

 mRNAワクチンは、これまでのワクチンが皮下注射だったのに対して、筋肉注射で接種されます。なぜ筋肉注射かというと、新型コロナワクチンのmRNAを筋肉の細胞に注入し、筋肉の細胞内で新型コロナワイルスのスパイクタンパクを作らせるためです。

 しかし、肩に筋肉注射されたワクチンは、想定とは違ってそこに留まりません。筋肉は動きますから、これがポンプの働きをしてワクチンを筋肉の外に押し出します。押し出されたワクチンは、筋肉細胞間の組織液→リンパ管→リンパ節→リンパ本幹→上大静脈→心臓→肺動脈→肺→肺静脈→心臓→大動脈 という経路を通って全身に運ばれます。運ばれたワクチンは、全身の臓器を巡ります。肩の筋肉に留まるmRNAは、ワクチン全体の25%程度だと言われています。

 こうして、脂質ナノ粒子に包まれたmRNAは体全体に循環します。循環した脂質ナノ粒子は、肝臓、脾臓、骨髄、副腎、卵巣、精巣上体の細胞に多く蓄積されることが分かっています。

 細胞に取り込まれたmRNAは、細胞の中でスパイクタンパクを作り続けます。このスパイクタンパクを抱える細胞は、細胞性免疫によって非自己とみなされ、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)から攻撃を受けて破壊されます。

 ワクチン接種後の心筋炎は、mRNAが入り込んだ心筋細胞を、非自己と見做した細胞傷害性T細胞が攻撃して起こっているのではないかとわたしは考えています。さらに、若い女性に生理不順が多く見られているのも、同様の機序で卵巣が攻撃を受けている可能性が考えられます。卵巣への攻撃は、将来の不妊への危険性を孕んでいるという点で、非常に憂慮すべき事態であると言えるでしょう。

 

新型コロナウィルスを異物と認識できなくなる

 一方で、乳児期にワクチンを接種することによって、新型コロナウィルスを異物と認識できなくなる危険性を指摘する研究者もいます。

 ミラノ分子腫瘍学研究所の荒川 央(あらかわ・ひろし)氏は、2022年2月8日のブログで、次のように指摘しています。

 

 「乳児に特異的な懸念としては、この時期はまだ獲得免疫が確立する前の段階だという事です。獲得免疫は自己と非自己を区別し、自分の体内を構成しないものを体内で検出した場合、外敵と判断し攻撃する仕組みです。乳児の時点で体内にスパイクタンパクがあれば、免疫は自己と判断し、免疫寛容が成立するかもしれません。

 その場合、乳児は今後スパイクタンパクに対する抗体を作らなくなり、コロナウイルス感染に対して非常に脆弱になる事が懸念されるのです。コロナワクチンの乳児への安全性は未だ検証されていません」

 

 荒川氏がこのブログで扱っているのは、母乳からコロナワクチンのmRNAが検出された問題についてですが、mRNAワクチンを乳児に直接接種すれば、危険性はさらに大きくなるでしょう。

 

乳児期は自己と非自己が決定される時期

 荒川氏は、「乳児の時点で体内にスパイクタンパクがあれば、免疫は自己と判断し、免疫寛容が成立するかもしれません」と述べています。

 免疫寛容とは、特定の抗原に対して免疫反応が起こらなくなる現象です。ところで、免疫が自分の細胞や組織を攻撃しないのは、自己抗原に対して免疫反応が起こらなくなっているからです。つまり、自己抗原に対して免疫寛容が成立しているのです。

 では、わたしたちの免疫機構は、何を「自己」と見做し、何を「非自己」と見做しているのでしょうか。この決定に重症な役割を果たしているのが、胸腺です。

 胸腺は胸骨の裏、心臓の前にある小さな臓器で、 T細胞 の分化、成熟など免疫系 に関与する 一次リンパ器官です。乳児期には、胸腺で未熟なT細胞のふるい分けが行われています。自己抗原と強く反応しそうなT細胞と、逆に自己抗原に全く反応しないT細胞は容赦なく除去されます。こうして、適度の強さで自己抗原に反応できるT細胞だけが生き残ることができるのです。その際に生き残るT細胞は、全体の3%以下に過ぎないと言われています。

 さらに、末梢のリンパ器官(二次リンパ器官)や末梢の組織でも、免疫が自己抗原に反応しすぎないための免疫寛容の仕組みが存在しています。このように胸腺、末梢のリンパ器官、末梢の組織のそれぞれで免疫寛容の仕組みが存在しています。そして、自己抗原に対して免疫寛容が成立する過程で、自己と非自己は免疫によって判別され、認識されてゆくのです。  

 荒川氏は、自己と非自己が認識される途上である乳児期に、体内にスパイクタンパクが存在することの危険を指摘しています。わたしは、スパイクタンパクを作り出している細胞が、免疫寛容によって自己と判断される可能性があるのではないかと考えています。

 もし、そのようなことが起きれば、将来新型コロナウィルスに感染した際に、感染細胞を非自己として認識することができません。すると細胞性免疫が働かずに、感染を却って重症化させてしまう可能性があるのです。

 

ワクチンのmRNAがDNAに組み込まれる?

 もう一つの懸念が、ワクチンに含まれるmRNAが、自分自身の細胞のDNAに組み込まれる可能性です。

 DNAの二重らせん構造の発見者の一人であるフランシス・クリックは、DNAの遺伝情報は、DNA→mRNA→タンパク質の順に伝達されるという、分子生物学の基本概念を提唱しました。この概念は、細菌からヒトに至るまでに共通するものだとされ、セントラルドグマと呼ばれています。したがって、ワクチンのmRNAが細胞のDNAに組み込まれることなど有り得ない、というのがワクチン推進派の意見でした。

 ところが、この有り得ないはずの現象が、試験管の中では起こることが明らかになりました。

 スウェーデンで行われた実験(『ファイザーBioNTech COVID-19 ワクチン GNT162b2 インビトロヒト肝細胞株の細胞内逆転写』 アカデミックエディター: スティーブン・マルニックカー。モル・ビオールを発行。2022, 44(3), 1115-1126;https://doi.org/10.3390/cimb44030073)によれば、日本人の肝臓のがん細胞を用いた実験で、ファイザー製のワクチンのmRNAが、わずか6時間(!)で肝細胞の核に入り、DNAに逆転写されることが世界で初めて実証されました。

 なぜ、このようなことが起こったのでしょうか。

 

核内では起こっている逆転写現象

 細胞の核にあるDNAの一部がコピーされたmRNAは、核膜を通り抜けて細胞質の中にあるミトコンドリアに到達し、タンパク質を合成するために働きます。ここで核膜が、mRNAが再び核の中に戻らないように「一方通行の整理」を行っているため、mRNAの情報がDNAに取り込まれることはありません。つまり、セントラルドグマが守られているのです。

 一方、核の中では、mRNA→DNAへ逆変換→別の場所に組込む、という「逆転写現象」が起こっています。それが可能なのは、ヒトのDNAには、レトロウィルスと同じく逆転写酵素の配列をもつLINE(long interspersed nuclear element:長い反復配列)と呼ばれる部分が存在するからです。DNAからRNAに転写された情報は、LINEによって再びDNAに逆転写されて別のDNA配列中に組み込まれることがあるのです。それでもこの現象は核の中だけで起こっているため、核の外に存在するmRNAの情報がDNAに組み込まれることはありませんでした。

 

分裂が盛んな細胞では起こり得る

 ところが、がん細胞を用いた実験では、ワクチンのmRNAがDNAに組み込まれる逆転写現象が起こりました。

 それは実験に用いられた細胞が、がん細胞だったことと関係しています。がん細胞は、細胞分裂が非常に盛んです。細胞が分裂する際には、一時的に核膜が消えてDNAが露出します。核膜が消失するこの時期には、細胞膜によって防がれていたDNA→mRNAという「一方通行の整理」は行われなくなり、さらにLINEがもつ逆転写酵素が作用します。mRNA→DNAという逆転写現象が、こうして細胞質内でも起こったのです。

 成人の細胞で細胞分裂が盛んな臓器と言えば、精巣があります。したがって、精巣の細胞にワクチンの成分が入り込むことがあれば、生殖細胞のDNAにスパイクタンパクのmRNAが組み込まれる可能性があります。

 乳幼児の場合にも、同様の危険があるでしょう。乳幼児では、全身の組織で細胞分裂が盛んに行われています。そうであれば、乳幼児の細胞のDNAにスパイクタンパクのmRNAが組み込まれる可能性は、成人に比べて格段に高くなると考えられます。

 

 以上で指摘してきたような、乳幼児へのワクチン接種の危険性は、実際にはどの程度の確率で起こるのかは分かりません。しかし、もし現実に起こったなら、その影響は乳幼児に一生にわたってつきまとうことになるのです。

 現在は重症化すら起こさない新型コロナ感染症に対して、そのような危険を冒してまで、乳幼児にワクチンを接種する必要が本当にあるのでしょうか。(続く)