日本政府はなぜ危険なワクチンを買い続けているのか(9)

 日本政府はワクチンの購入に莫大な予算を投じ、世界一のワクチン接種を行ってきました。そして今年の5月からは6回目の、さらに今秋には7回目のワクチン接種が予定されています。

 世界中でワクチン接種が行われなくなっている中で、日本人だけが延々と接種を続けています。その姿はまさに、ワクチンを無限に打ち続ける、ワクチン依存症そのものであると言えるでしょう。

 なぜ日本政府は、感染爆発を繰り返し、しかも死者を増加させてしまうワクチンを、そして多くの日本人をワクチン依存症にしてしまったワクチンを、今後も打ち続けようとしているのでしょうか。

 

ワクチン接種で世界をリードする日本

 日本がmRNAワクチンを世界で一番接種していることは、これまでに繰り返し述べてきました。それは、ワクチン接種先進国であったイスラエルと比較すると、より一層明確になります。

 以下のグラフは、日本とイスラエルの、mRNAワクチンの延べブースター接種率(人口100人当たりのブースター接種回数)の推移をを示したものです。

 

    『新型コロナウィルスワクチン接種率の推移【世界・国別】』より  

                  図1

 

 図1のように、ワクチン先進国であったイスラエルは、2022年2月頃からブースター接種をほとんど行わなくなりました。イスラエルはワクチン接種の効果をその都度検証してきましたから、この時点でmRNAワクチン接種には意味がないと判断したのでしょう。この検証結果から学んでいれば、日本でもワクチン接種を中止することもできたはずです。

 ところが、あろうことか日本はワクチン接種を加速させ、2022年5月にはイスラエルを抜き去り、それ以降は世界一を独走しています。

 イスラエルパレスチナ問題を抱え、パレスチナ暫定自治政府との和平協定が事実上破綻している状況にあります。そうした状況において、国民の命を左右する感染症対策は非常に切迫した問題だったでしょう。ワクチンの評価も、より現実に即した厳しいものであったと考えられます。ワクチンの評価を誤れば、経済的そして軍事的な側面に与える影響は甚大であるからです。もちろんそれは、日本においても同じことなのですが。

 

ワクチンを打ち続ける国には共通した特徴が

 2022年に入って各国がワクチン接種を行わなくなっている中で、ワクチンを打ち続けた国が日本の他にもあります。

 以下は、アジアの国々のmRNAワクチンの延べブースター接種率(人口100人当たりのブースター接種回数)の推移をを示したものです。

 

   『新型コロナウィルスワクチン接種率の推移【世界・国別】』より  

                  図2

 

 図2のうち、延べブースター接種率の高い国は、以下の通りです(3月13日時点)。

 

   日本      140.3 %

   台湾      103.8 %

   ブータン      80.4 %

   韓国        79.7 %

 

 人口が約87万人で、医療事情からワクチンが唯一のよりどころとされていたブータンを別とすると、アジアで追加接種の高い国は、日本、台湾、韓国です。この3ヶ国に共通することは何でしょうか。

 突拍子もないことと思われるかも知れませんが、それはこの3ヶ国が、アメリカの軍事力に依存しているということです。

 

アメリカでは接種されていないワクチン

 最近、『新型コロナウィルスワクチン接種率の推移【世界・国別】』から、アメリカのワクチン接種の資料が消去されました。完全接種率も、延べブースター接種率も表示されなくなったのです。これが何を意味するかは今の段階では不明ですが、表示されていた当時のアメリカの延べブースター接種率は40%に達していませんでした。この数字は、日本、台湾、韓国とはあまりにかけ離れています。

 つまり、アメリカは自国では打たなくなったワクチンを、海外に輸出していたのです。なかでも東アジアの3国、日本、台湾、韓国での接種率が際立っています。特に日本は、延べブースター接種率では世界一を独走しています。

 その結果、アメリカには何がもたらされたでしょうか。

 

ワクチンに2.4兆円の巨費を投じた日本 

 ワクチン接種は無料で受けられますが、ワクチンはタダではありません。ワクチンは日本政府が、ファイザー社やモデルナ社などから多額のの費用をかけて購入しています。

 以下は、財務省が昨年の4月13日に公開した、ワクチンの契約数とその購入金額です。

 

              『財務省 社会保障資料 2022年4月13日』より

                図3

 

 図3のように、日本政府は8億8,200万回分のワクチンの契約をしており、そのために2兆4000億円の国費を投入しています。

 日本政府は、国際的なワクチン獲得競争の中で、接種に支障が生じないよう多くのワクチンを確保したと述べていますが、見積もりを誤って、過剰に契約してしまったのではないでしょうか。この余剰分を何とか消費しようとして、政府は躍起になってワクチン接種を進めている側面があると考えられます。

 その結果、日本は延べブースター接種率で世界を独走しているにも拘わらず、さらにワクチンの接種を行おうとしているのです。

 

アメリカ企業に多大な貢献

 日本政府のこの政策は、日本人の健康を害しながら、アメリカ企業の業績アップには大きな貢献を果たしました。

 以下は2021年の世界の製薬会社の売り上げを示したランキングです。

 

                図4

 

 ファイザー社は、製薬会社の世界の売り上げでトップに立ちました。その他にも、アストラゼネカが10位、ビオンテックが16位、モデルナが19位に躍進しています。ワクチンを販売したこれらの製薬会社の特徴は、2021年の増収分が決算の中で多くの割合を占めていることです。その大半はワクチンによるものと推定されますが、そうであればファイザー社とモデルナ社への日本政府の貢献は多大であったと言えるでしょう。そして、2022年以降もワクチンを接種し続けている日本は、アメリカの製薬会社の業績にさらなる貢献を続けていることになります。

 

新自由主義の宿痾(しゅくあ)

 1970年代以降に、新自由主義が世界中を跳梁跋扈するようになってから、世界経済には二つの特徴が鮮明になりました。

 一つは、グローバリズムの浸透です。グローバリズムとは、地球全体を一つの共同体と見なして、世界の一体化(グローバリゼーション)を進める思想です。通例では、多国籍企業が国境を越えて地球規模で経済活動を展開する行為や、自由貿易および市場主義経済を全地球上に拡大させる思想などを指します。主義主張としては美しいものですが、現実には国を超えた巨大企業が生まれ、これまでにない巨額な利益を出す企業が誕生しました。

 その結果、こうした企業のトップは、国家の指導者を超えた力、そして国を超えた意志を持つようになりました。良しにつけ悪しきにつけ、それが世界に大きな影響を与えることになったのです。

 もう一つは、企業活動から理念が失われたことです。新自由主義以前の企業には、「国民の生活を豊かにする」とか、「人々の幸せに貢献する」といった企業理念がありました。しかし、新自由主義経済が躍り出ると、こうした理念は必要なくなりました。理念よりも、いかに利益を上げられるかが重要視されるようになったからです。

 その結果、企業は利益を上げるために、いかに多くの商品が消費されるかを追求するようになります。その手段の一つが、消費者を依存状態にすることです。依存状態が高まれば高まるほど、商品が売れるからです。これこそが、新自由主義の宿痾(しゅくあ)であると言えるでしょう。

 

新自由主義の勝者は依存症ビジネス

 新自由主義のこうした構造的な問題を、デイミアン・トンプソンは、『依存症ビジネスー「廃人」製造社会の真実』1)で克明に分析しています。

 内容の詳細は同書に譲りますが、そのカバーのそでには次のように記されています。

 

 「うまくいかない仕事、ギクシャクする人間関係、進化しすぎて使いこなせない大量の新製品・・・・。21世紀になったからといって、輝かしい未来は訪れなかった。私たちの毎日は、相変わらずストレスにまみれているし、社会は不確かさを増しつづけている。

 そんな不安と戦い、なんとか自らの感情をコントロールしようともがく私たちの耳元で、ささやく声がある。『こっちに来て、これを使ってごらん。すぐに気分が良くなるよ』

 それは、いまお手持ちの iPhone に届いた、フェイスブックやゲームアプリ『アングリーバード』からの新着通知かもしれない。

 または、魅力的な写真で誘惑する、スタバの『フラペチーノ』や行列ができる店のスイーツの看板かもしれない。

 さらには、いつでもどこでも安く手に入るお酒のテレビCMや、安全なハーブだよ、と『危険ドラッグ』に誘うネットの書き込みかもしれない。

 そう、いつの間にか、私たちの毎日は『すぐに気分を良くしてくれるモノ』であふれかえり、ますますそうしたモノに依存するように促されているのだ。そうしたモノが快感をもたらすメカニズムは、MDMAやヘロインがもたらすものと同質だと気づかずに。

 企業も、より早く、大量に消費させるために、テクノロジーを駆使して『期待感』をあおり、いかに強い快感をもたらせるかを競いあっている。一方、無防備な消費者である私たちは、日々『自滅的な誘惑』にさらされ、『依存症』という習慣を身につけつつあるのだ」

 

 この指摘は、新自由主義の病理を見事に言い当てているのではないでしょうか。そう、現代社会は、構造的に依存症をつくり出しているのです。

 そして、mRNAワクチンもまさに依存症ビジネスの一角を担っており、日本人はその犠牲者になっていると考えられるのです。

 では、なぜ日本人は、ワクチンビジネスの犠牲者にならざるを得なかったのでしょうか。先に指摘した軍事的な問題とも絡めて、次回のブログで検討したいと思います。(続く)

 

 

文献

1)デイミアン・トンプソン(中里京子 訳):依存症ビジネスー「廃人」製造社会の真実.ダイヤモンド社,東京,2014.