無差別殺傷事件はなぜ起こるのか(5)

加藤のいう孤立への恐怖は、「世界からたったひとり取り残された感覚」として経験されました。彼は、「孤立の恐怖は耐えがたく、それよりも肉体的な死の方がまだ救いがある」とさえ述べています。それは孤立の恐怖が、幼少時の記憶、すなわち自らが消滅する…

無差別殺傷事件はなぜ起こるのか(4)

秋葉原無差別殺傷事件を起こした加藤智大の両親は、加藤が母親の意向に添っているときを除いて、彼が存在する意義を認めないかのように振るまいました。つまり両親は、彼の存在そのものを否認し続けました。そして、彼自身もまた、このような扱いをする両親…

無差別殺傷事件はなぜ起こるのか(3)

前回のブログでは、成育環境における母性の働きについてみてきました。 もし母性が乏しければ、安全な胎内から危険に満ちた世界へと投げ出された子どもの不安は、解消されるどころか増幅されることになります。それは、無力な子どもにとって、母親からの世話…

無差別殺傷事件はなぜ起こるのか(2)

前回のブログでは、秋葉原無差別殺傷事件を起こした加藤智大の成育環境について検討しました。加藤の幼少時代はまさに、母親からの驚くべき虐待と父親からの救われることのない無関心に、常に晒されていました。 こうした養育環境が個人の精神形成にどうのよ…

無差別殺傷事件はなぜ起こるのか(1)

6月9日の夜、東海道新幹線「のぞみ」で、刃物を持った22歳の男が突然乗客を襲い、3人が死傷する事件が起きました。この事件の全容はまだ明らかになっていませんが、容疑者の男は、「誰でもよかった」と述べているとのことですから、この事件は無差別殺傷…

日本人が誇りを取り戻す日は来るのか(5)

東日本大震災で人々が示した言動は、和の文化に基づいたものでした。多くの人命を奪い、東北のインフラを破壊し、原発の水素爆発と放射能被害をもたらした大震災は、日本社会に甚大な傷痕を残しました。しかしその一方で、人々の振る舞いは世界の人々を感動…

日本人が誇りを取り戻す日は来るのか(4)

東日本大震災は、日本に壊滅的な爪痕を残しました。しかし、社会秩序が崩壊した状況の中で、人々は和の文化に従って行動します。その行動は世界の人々を驚かせ、世界から賞賛を受けました。そのことで日本人は、和の文化の存在に気づき、和の文化の価値を再…

日本人が誇りを取り戻す日は来るのか(3)

太平洋戦争の壊滅的な敗戦から、日本は奇蹟的な復興を遂げました。経済的にさらなる成長を遂げ、世界有数の経済大国となった日本は、経済でアメリカを凌駕しようとしました。この野望はバブル期に達成されたかに思われましたが、結局アメリカに敗れて第二の…

日本人が誇りを取り戻す日は来るのか(2)

これまでもブログで検討してきたように、「バブルショック」は日本人の自尊心を大きく打ち砕きました。バブル崩壊が単なる経済的な問題にとどまらず、日本人の精神的な問題にまで大きな影響を与えたのは、そこに至るまでの長い歴史が存在するからです。その…

日本人が誇りを取り戻す日は来るのか(1)

バブルが崩壊し、日本社会は長い停滞期を迎えました。日本人は自信を失い、日本社会はうつ状態に陥りました。1,990年台から、失われた10年とも失われた20年ともいわれた時代は、なぜこれほどまでも長く続いたのでしょうか。そして、日本人がうつ状態から脱し…

バブル崩壊後になぜ日本は失われた10年を迎えたのか

バブル経済によって浮かれて日本社会は、バブル崩壊後に長い停滞を迎えることになります。1991年から始まった不況はなかなか回復せず、後に失われた10年とも失われた20年とも呼ばれています。 なぜ不況はこれほどまでに長期化し、日本社会は長い停滞を迎える…

日本はなぜ奇蹟の復興を遂げられたのか(2)

奇跡の復興を遂げた日本は、さらに経済発展を続けます。そしてアメリカの経済を脅かすまでに成長し、ついに「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称されるまでになりました。日本経済がこれほどまでに発展した背景には、日本社会の背後に渦巻く、先の戦争に対…

日本はなぜ奇蹟の復興を遂げられたのか(1)

戦後の日本は、GHQによって、それまでとはまったく異なった国家に改造されました。それはアメリカの望む方向への改造であり、軍事機構と国家警察を解体されたうえで、近代国家の基本的な骨格は踏襲されました。皇統神話が否定される一方で、日本は自由と…

マッカーサーは日本社会にどのような足跡を残したのか(2)

太平洋戦争において、緒戦における日本軍の快進撃は、日本人に言いようのない達成感をもたらしました。ペリーに無理やり開港させられた屈辱感、さらに遡れば、日本民族の無意識に伝承され続けてきた敗戦に対する屈辱感が、まさに晴らされんとしていたからで…

マッカーサーは日本社会にどのような足跡を残したのか(1)

日本は第二次世界大戦において、完膚無きまでの敗戦とその後の屈辱的な占領を受けることになりました。現人神を立て、中央集権国家としてひたすら近代化を推し進めてきた日本社会は、アメリカの占領政策によって劇的な変革を強いられることになりました。そ…

空気とは何で、どのようにして作られるのか(4)

前回までのブログで、空気の特徴とその実体について検討してきました。 人々の無意識の記憶によって惹起された、共同化された欲望や感情が空気の本体であるとすれば、空気はどの集団にも、またはどの文化にも現れるはずです。事実、欧米においても空気は、ヒ…

空気とは何で、どのようにして作られるのか(3)

これまでのブログで、場の空気は、非言語的なコミュニケーションに導かれて形成されること、そして形成された場の空気の実体とは、人々に共通する無意識の記憶によって惹起された、共同化された欲望や感情であることを検討してきました。 今回のブログでは、…

空気とは何で、どのようにして作られるのか(2)

前回のブログで、空気は強固な支配力を持ち、抵抗することが困難で、その場にいる人々の判断に大きな影響力を与えること、そして、この判断は論理的な言葉では説明できないことことを検討しました。 空気が形成される過程では、非言語的コミュニケーション、…

空気とは何で、どのようにして作られるのか(1)

これまでのブログで、日本が満州国を建国し、日中戦争にのめり込み、さらには太平洋戦争にまでなだれ込んでしまった背景には、日本社会に蔓延した空気が大きな影響を与えたことを検討しました。 では、日本を破滅の淵にまで追いやった空気の正体とはいったい…

日本はなぜ超大国アメリカと戦ったのか(3)

これまでに検討してきたように、日本人は長年来抑圧し続けてきた屈辱感を解消するために、中国との、さらには超大国アメリカとの戦争に突入して行きました。その際に、戦いを避けるブレーキの役割を果たしてきた和の文化は、その姿を変容させることになりま…

日本はなぜ超大国アメリカと戦ったのか(2)

日本は中国と戦争を続けながら、超大国アメリカとも戦争を遂行しました。その無謀さを、時のリーダーたちも軍部もしっかり認識していました。それなのに、誰もこの暴挙を止めることができませんでした。 なぜ当時の日本人は、破滅への途を突き進んでしまった…

日本はなぜ超大国アメリカと戦ったのか(1)

満州国を建国し、中国と戦争を行った日本は、ついに世界の超大国アメリカとも戦火を交えることになります。 中国と戦争を続けることだけでも大変な状況であるのに、さらにアメリカやイギリスとも同時に戦争を行うなど、とても正気の沙汰であるとは思えません…

日本はなぜアジアに侵攻したのか(4)

国際連盟を脱退した日本は、ついに中国と戦争を始めることになります。この戦争も日本の国益を優先して行ったのではなく、日本人の屈辱感を晴らす目的で行われた側面が大きいと考えれらます。 今回のブログでは、日中戦争が行われた背景を、心理的な側面から…

日本はなぜアジアに侵攻したのか(3)

日本人は、戦いに敗れ続けたかつての屈辱感を解消するために、明治以降アジアに侵攻を続けました。満州国の建国は、この屈辱感に刺激された社会の空気によって、人々から圧倒的に支持されました。 この空気は、さらに日本を国際社会から孤立させることに繋が…

日本はなぜアジアに侵攻したのか(2)

前回のブログで、日本人が朝鮮半島や大陸への侵攻を繰り返した背景には、日本文化に受けつかれてきた無意識の記憶痕跡が影響を与えていることを検討しました。 日本民族は、戦いに敗れ続けて日本列島にたどり着いた人々の末裔であり、度重なる敗戦に対する屈…

日本はなぜアジアに侵攻したのか(1)

明治維新に邁進した日本は、西洋以外で初めて近代化を達成することに成功しました。日本は近代国家として、欧米諸国と肩を並べるようになりました。それは政治、経済の近代化だけでなく、軍事力の近代化にも及びます。むしろ日本においては、軍事的な側面の…

天皇はなぜ現人神になったのか(2)

明治維新以降、天皇の権威は徐々に高められました。そして、太平洋戦争において、ついに天皇の権威は神の領域まで達することになりました。 なぜ、天皇の権威は、この時期に究極の領域まで高められることになったのでしょうか。 一神教の戦争 太平洋戦争時に…

天皇はなぜ現人神になったのか(1)

天皇は、日本という国を一つにまとめるために不可欠な存在として、建国当初から連綿と受けつかれてきました。しかし、武家が実権を握ってからは事実上は権力を失い、権威のみを有する象徴的な存在となっていました。 明治の時代になると、天皇は権威に権力を…

日本はなぜ近代化を達成できたのか(3)

これまでのブログで検討してきたように、日本は擬似古代国家として再出発したのですが、明治の日本には、ここでさらに新たな要因が加えられることになりました。その要因とは、欧米と同様の社会制度と行動様式でした。 今回のブログでは、この要因が加えられ…

日本はなぜ近代化を達成できたのか(2)

近代化を目指した明治政府は、欧米諸国に倣った中央集権国家を創り上げました。しかし、その実態は、日本国の創成期に出現したものと同様の、天皇を中心とする中央集権国家でした。 ではなぜ、日本社会において、国家の創世期に起こった出来事が理想視され、…